忘備録=MCU
魔法使いが経営する企業国家についての忘備録。
この世界の魔法について簡単に説明しています。
次にマクサコフ機械公社と対立し、当時西側連合の救世主となったMCU(magic confidentiality union=魔法機密保持組合)が経営する企業国家であり、現在世界の三分の一を占める国家MCU合衆国についての記録を残しておく。
MCUは第三次世界大戦途中から西側連合に参加した秘密組織とされていて、もとは魔法に関する技術を秘匿し、管理するための組合であった。しかし、組合本部があるスイス近辺が戦火の危機に瀕した為に秘匿と徹底した管理を投げ捨て西側に魔法技術を公開した。初めてこの魔法というものを聞いたときには、息子に付き合って鑑賞した映画のように派手で大規模な魔法なのかと思っていたが、意外と地味で難しいようである。
MCUが世界各国で指導している魔法という技術は文面通りだとこのように説明される。「我々が示す紋章を刻むか、文章を朗読することにより生物、物質、現象が持つアレテーを大幅に強化する」…何を言っているかよくわからなかったので、インターネット上にあった「よくわかる魔法の教科書(小学生向け)」を読み、理解できたことを次のようにまとめた。
まずアレテーというのは、生物や物質の魂に備わる優秀性や徳を意味する言葉であり、この世界における魔法はその優秀性や徳を術者が解釈し、恣意的に(思うままに)増幅させる技術のことを指しているようである。
例えば、世界中のおおよその刀剣類は「よく切れること」をその優秀性としているが、その「よく切れる」という性質を増長させて「だいたいなんでも切れる」ようにするのがこの魔法である。これのひどいところは、アレテーの解釈は術者に大きく依存するところであり、銃弾のアレテーを「よく飛ぶ」「大体のものを貫通する」など好き勝手に魔法を発動し、多くの死傷者を生み出した。魔法使いは魔法で攻撃するのではなく、魔法で強化された肉体や武器で戦闘するのである。
魔法の発動手段はすでに刻印やペイントされた魔法の発動式(紋章)に魔力を流すことか、特定のアレテーに干渉しやすい言葉を効率的に並べた文章の朗読(詠唱)で行われる。
紋章による発動は対象のアレテーを単純に強化するだけだが、さまざまなアレテーに対応しやすく、刻印された銃や弾丸を用いると射撃の正確さや弾丸の威力が向上する。
ガス台に使えば火力が上がり、発電機では生産電力が向上する。魔法は今では非常に身近なテクノロジーとなった。
一方で、詠唱による発動は状況に応じたアレテーの婉曲な解釈が可能であり、紋章による発動よりも爆発力が高い。大戦中ではある魔法使いのミスによってが空気中の酸素のアレテーを「他の物体を酸化させる」力として発動したことによって半径二キロメートルにわたってあらゆる物質の電子を酸素が奪い取り、あらゆる生物が一瞬にして死亡し、不毛の地となったことが公開されている。戦争犯罪者として裁判にかけられた魔法使いの話では酸素の毒性を強化して敵を酸素中毒にするつもりだったとかで、魔法による大量破壊や虐殺の危険性を危惧され、現在は詠唱による魔法の発動は資格が必要とされている。
アレテーをどれだけ捻じ曲げることができるかは術者の精神力と、魔力と呼ばれる謎のエネルギーによって左右されるらしい。魔力の量は近年研究者によって単位化され、水を「お湯」だと認識した状態で魔法を発動し一気圧下で一リットルのお湯を一度上昇させるのに必要な魔力量を1kcalとされた。これによって、1日でどれだけの温度上昇をさせられるかで一人当たりの魔力量を数値化出来るようになり、個人ごとの魔力量というものが個人情報として測定、記録され、履歴書にも記載欄ができるようになった。この単位の制定にはMCUからは魔法の神秘性や権威を損ねるとして猛反発があったが、他の分野にも使用される一般社会に受け入れやすい単位として優秀だったために、「あなたの1日の総カロリーは〇〇kcalです」のような魔法の神秘さの薄いやりとりが市役所にて行われるようになってしまった。
魔力はある程度満足する程度に睡眠を取ることで回復することから、体力や精神力を消耗しているのではないかと予想されているが、生命力を消費しているため寿命が縮んでいるという噂もある。
この魔法技術は、サイバネティクスと同様に大企業で働くためには必須の職能であり、現在俺の眼球に入っているグライアイⅢにも活用されている技術である。俺の進学先でもこの魔法授業はあるらしいのが、魔法の才能がないとなった途端に次年度から普通校に転出しなくてはならないので、自分の才能に期待するほかない。
企業国家の話から魔法の話へとそれてしまった。MCU合衆国は東側に占領された各国をMCUが取り返し、恭順していったことによって形成された国家で、終戦後にそのままMCUが起業し、魔法技術の研究・指導によって食糧生産や機械工業を発展させる中で成長していった。MCU社内の序列はそのまま魔法使いとしての実力や研究成果の序列となっていて、簡単に出世することは難しく、時間がかかるようだ。ミクリマがMCUのプログラムに自分を酸化させなかった理由がよくわかる。
学生として、営業マンとして今後のライバルになることはわかっているため、今後も情報収集と研究が必要になることを再確認し、忘備録を閉じる。
この世界のさまざま機械に魔法により制御シルテムが組み込まれており、高級車には魔法によって速度や硬度、ブレーキ性能が向上するような紋章が刻まれています。そのため、車両自体の研究はあまり発展しておらず、2000年代からあまり車自体の性能などは向上していません。そのため、制御系のシステムや自動運転などの技術はマクサコフ公社が、車両自体の設計や整備はMCUの技術が使われることが多いようです。




