忘備録=マクサコフ機械公社
これから忘備録という形で主人公が知り得た情報や考えていることなどを共有していきたいと思います。
本編にも関連はしますが必要のない方は読み飛ばしてください。
俺の名前は神前孝。もと52歳で商社勤務の営業マン。家族優しい妻と高校生の娘と高校受験を控える息子がいた。ある日、天使と呼ばれる存在に転生して信仰力なる者の生産に協力して欲しいと依頼され、死んだ身好みでも家族の行先を見守ることができるならと、協力することにした。
つい先ほど、この世界に転生して3時間だが、私の眼球はグライアイⅢという機械に置き換えられた。これからはこの眼球の機能を活用して、活動の記録を忘備録という形で蓄積していきたいと思う。この眼球はインターネットへの接続や視線や思考で画面を操作することができ、体は未だ新生児である自分でもこの世界について調査を進めることができる。天使のミクリマが現地の情報は転生後にわかると言っていたのはこのことなのだろう。
これから俺の活動のライバルとなる二万人の新生児が言語を獲得し成長していくまでのおおよそ三ヶ月の間にこの世界のことについて理解を深め、リードを広げていくことができなければ先は明るくないだろう。
この世界は今大企業によって運営される三つの企業国家によって統治されている。
一つは俺が参加する(している?)エリート人材育成援助プログラムを実施しているマクサコフ機械公社が運営するマクサコフ国。通称公国と呼ばれる。
この国家は通称の公国という呼び方は名前の実態にそぐわない。母体がほぼ100%国家からの支出で賄われているマクサコフ機械公社であったため通称が「公国」となっただけである。マクサコフ機械公社は第三次大戦前まで東側連合のうちの一国家が運営するただの校舎の一つであったのだが、戦争の激化に伴っての重要性の向上や戦争特需による収入の増加があり、その資金力を持ってサイバネティクスの研究だけでなく貧困に喘ぐ近隣国家への投資と買収を行い、ついには「国が運営する会社」から「会社が運営する国」へと成長した化け物である。
現在公国の最高権力者は選挙ではなく公社内の社長が兼任することになる。インターネット上の噂では社長の上にいる会長は世界大戦前から完全義体を乗り換えながら生きている同一人物だとか、社長になった人間は会長に脳を取り替えられているだとか恐ろしい噂が確認されている。
主要な産業はもちろんサイバネティクスなどを筆頭とした先端科学技術の研究。生産であり、成長速度という点では他の二国を大きく上回っている。大戦中はニンジュツによって強化された人間に対しては機械化した体だけでは強度が不足し、劣勢であったり、個人で携行する銃火器では魔法に対して制圧力で劣っていたりと、戦闘能力は低いことが判明しているが、生産力や兵士の教育能力は特出いる。
一般的なニンジュツ使い(忍者とは言わないらしい)が戦場で活躍するには幼少期から最低でも修行に10年から15年はかかる。魔法使いについても十分に言語を獲得してから魔法の学習を開始し、実践練習などを始めても戦場に入れるのは18〜20歳とされていて、魔法使いの育成には時間がかかった。しかし、サイバネティクスによるエージェントの育成は新生児からサイバネティクスを移植して教育を行うことでおおよそ12〜15歳くらいの子供でも前線での戦闘に耐えうるようになる。そのため能力の不足を兵士の数とサイバネティクスの連動による部隊連携によって解決して戦線を維持してきた。
俺が参加する人材育成援助プログラムは単純な人材育成だけではなく、今後の戦時における兵力の増大方法の模索の一つであるというのが収集した情報をまとめた上での結論である。これから私は知力と暴力を兼ね備えた知暴兼備のエリート営業マンにならなければいけない。この会社の中で出世していき、宗教を世界に広げなければいけない…。
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