表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗殺ヘン  作者: 林 広正
8/14

08



 俺は朝まで待って辺りの住人に聞き込んだ。聞き屋は話を聞くのが仕事なんだよ。

 結果は良好だった。俺の嫌な予感は当たらない。なんせ俺は勘がいいんだ。いい予感しか当てないことにしている。

 あいつは確かにここに住んでいた。家族もいた。あれは偽物なんかじゃなかったってことだ。

 けれど一週間程前から急に姿を見せなくなったそうだ。大きなトラックが家の前に止まっていたとも聞いた。

 引っ越したんじゃないかとの意見が多かったが、挨拶もせずにいなくなるような家族じゃなかったともみんなが揃って言っていた。

 俺は少し矛先を変えてみることにした。

 自分から連絡を取るのは初めてだが仕方がない。番号はずっと以前から知っている。電話をかけながら、いつもの場所に向かい始める。

 この事件、真相を知りたいんだが・・・・ 俺にはその権利があると思っている。

 電話越しでもその側近の歪んだ表情を感じられた。やっぱりだ。その側近はなにかを知っている。

 俺は結局いつもの場所に戻った。やっぱりここが落ち着くんだよな。ここには多くの情報が舞い込んでもくる。俺はその側近を待つ間に幾つかの情報を得ていたよ。

 事件の詳細が明らかになっていく。殺人犯は暗殺者に鞍替えしていた。暗殺の理由も明らかになっていく。

 犯人は宗教団体に恨みを持っていた。その団体との黒い噂が絶えない元総理大臣を狙ったらしい。学生時代には応援団に所属していたとか、自衛隊での所属はどこだとか、住んでいるアパートで自作の銃や火薬が発見されたとか、なんとも無意味な情報が多い。

 宗教団体の名前もすぐには発表されなかった。

 俺のもしかしてって思いが、少し現実に近づいた。

 犯人の情報は全てが曖昧だった。以前の職場の知り合いや学生時代の同級生なんかの反応が作り話のように聞こえてくる。

 それは俺だけの反応ではなかった。

 暗殺っていう言葉は、その響きが恐ろしいだけではない。裏になにかあるってことだ。

 けれど不思議だよな。その言葉は海外で使われた言葉で、日本では後出しに過ぎなかった。

 その後出しもすぐに消えてしまいそうだよ。それは全く恐ろしいことだ。暗殺っていう言葉を消そうとする理由は一つしかない。

 そこに真実があるっていうことだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ