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暗殺ヘン  作者: 林 広正
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 十数年前に起きた無差別殺人事件。その犯人が死んだ。死刑が執行されたってだけだけれど、少しの悲しみを感じるのは俺だけじゃない。

 多くの人を殺したとはいえ、その命を国民の意思として殺すには少し違和感がある。当事者やその家族が復習として殺すなら意味も分かる。俺なら当然のようにそうする。自らの手でケジメをつけなければ意味がない。哀しみが残るだけだ。

 その話を聞いた時、ようやく俺は思い出した。暗殺犯の顔が、なんとなくではあるけれど、似ていた。そっくりではないが、雰囲気が同じだったんだ。

 あいつの身代わりとして生きている。俺はそう感じている。今事情聴取を受けているのは、きっと整形手術を施されたその犯人だ。いいや、間違いない。

 けれどこの先はどうなる? 俺やお偉いさんの想像とは違う動きも起きている。これが意外と厄介なんだ。

 暗殺犯の背景がリアルすぎた。同情する動きが早くもある。裁判すら行われていないのに、情状酌量を求めている。

 死刑が妥当だが、免れる可能性もある。まぁ、よくても無期懲役だろうがな。

 もしもそいつが釈放されることになったら、騒ぎが起きるだろうな。素直に大人しくするとは思えない。可能性は少ないが、その事態に備えておく必要はあるだろうな。

 それからもうすぐ元総理大臣の国葬が行われる。批判はあるが、しなければならない。その為に犠牲になったとも言えるからな。裏社会のボスは、葬儀を仕切る会社と繋がっている。なんとも滑稽な事実だよ。

 まぁ、これにて事件は無事解決だ。今回は想像を超える報酬も得たが、それはこの先の危険をも意味しているってことを忘れちゃいけない。もっとも俺の仕事は常に危険と背中合わせなんだけどな。


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