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−28〜−26話:武器発見への……

 “(テネブラ)”としての第四日目。

 俺はいつもどおり、ベッドから起き上がって目をこすった。

 周りを見渡すと、今日もドア付近の壁に指令の紙張ってあるのが見えた。

 俺は起き上がり、ドアに近寄った。

 するとその紙には、


  今日は厳しいトレーニングになる。気を引き締め、トレーニングルームへ向かえ。


「厳しい……。なんか不安だな」

 俺はコレまで、なんとも無い修行?をやってきた。

 グノウが冗談を言うことは無いだろうから、多分厳しいって言うのは本当だ。

 俺はなんだか、不安になってきた。


 俺は、いろんな不安にかられながらドアを開けた。

 そしたら……

「え!?」

 廊下の白い柵に、ロウクゴットが傷だらけでもたれていた。

「お、おい! 大丈夫か?」

 俺はロウクゴットの肩を何度もたたいたり、揺さぶったりしたが何の反応も無い。

 でも息はあるようだ。

「どうしよう……」

 しばらく考えた俺は、一応俺の部屋にいれておくことに決めた。

 結構重い大人の体を引きずって、ベッドに寝かせた。

「何があったんだ?」


―――その頃、チェイグティもレグオズの部屋とは少し離れた反対の廊下の隅に倒れていた。


「くっ。まさか、本気でくるとはな」

 そこまで外傷は見られないチェイグティは、床に手を付き何とか起き上がった。

「もしこれがグノウにバレたらどうなるか……」

 チェイグテイは歯をギリッとかみ締めて、不安からくる苛立ちを露にすると、右腕を左手で押さえながら歩き出した。そしてそのまま自分の部屋へと入っていった。



―――

「誰かと戦ったのか?」

 俺は、ベッドに横たわるロウクゴットの体の傷を見て、そう分析した。

 そしたらその時、

「チェイグティとだ。組織内部での抗争など無様な事だ」

 突然俺の背後でグノウの声がした。

 俺はすぐに、後ろを振り向いた。その時俺はちょっと驚いたせいで、心臓の鼓動が早くなっていた。

 そこには予想通り、グノウがいた。

「グノウ……いつの間に」

「造作も無いことだ」

 俺に気づかれないように、後ろに忍び寄ったのか?

 でもそうだとしたら、ドアを開ける音が聞こえるだろうし。

(闇の渦か?)

 多分そうだと俺は、確信した。


「なんで……チェイグティと戦ったって分かるんだ?」

「傷だ。チェイグティの属性は“風”。ロウクゴットのこの傷は風で刻み込まれたんだろう」

「属性? 属性って何だ?」

「いずれ分かる」

 それだけで俺の疑問は片付けられてしまった。

 誰かとのトレーニングで分かるっていうことか……

「お前は早く、トレーニングルームに行け」

 グノウは右手を空間に突き出し、闇の渦を出現させた。

「ここから行ける。今日トレーニングは厳しいから気をつけろ」

 紙に書いてあったことと同じ事をグノウは言った。

 その言葉を聞いて、俺はさらに不安が広がった。

 と、そんなことを言うひまはなく、俺は闇の渦に入っていった。



――――

 闇の渦は、奇妙だった。

 見ているだけで吐き気がしそうな、黒い渦模様が道を作っている。

 俺は、なるべくそれを見ないように下を向きゆっくりと前へ進んだ。地面は渦模様じゃなくてただの真っ黒な道。それは見ていても何もない。

 その時、俺の目の前で突然光が輝いた。

 まばゆい光に俺は目を閉じ、腕で目を覆った。


「う……。 ここは……」

 静かに腕を下げて目をあけるとそこは、トレーニングルームだった。

「レグオズ、ようやくきましたか」

 誰かが後ろで俺を呼んだ。

 俺は声のした後ろを振り向いた。

「お前は?」

 俺がそう言うと、その男は腕を組んで、目を閉じた。

「第6の組織員ティーゴストです。よろしく」

 ティーゴストと言ったその男は、長く前にたれた紫色の髪をしている。深く染まった紫色の瞳はすべてを飲み込みそうな感じがする。

 見た目からして物静かな性格っぽい。


「さて、今日から実践的なトレーニングに入りますよ」

「実践的?」

「そうです。ですが、戦闘を行うためにはあなたには足らないものがあります」

「足らないもの?」

 ティーゴストはその足らないものが分からなかった俺にあきれたのか、目を瞑りため息を吐きながら頭を横にふった。

「答えは……武器です。ゴールドシルンと戦うにしろ、守護獣と戦うにしろ、武器は欠かせない存在です」

「じゃあその武器を見つけるってことか?」

「正解です」

 そう言うと、ティーゴストは後ろを向き、数歩歩いた。俺との間合いを取ったみたいだ。

「僕の武器ならあなたの武器を簡単に引き出すことができます。ですが、少し苦痛を伴うので気をつけてください……」

「苦痛?」

 すると、ティーゴストは目を瞑り、両手を体の前で合掌した。

「進む針に戻る針、我に時の魂を……」

 そうティーゴストがつぶやくと、ティーゴストの手が輝き始めた。まぶしいその光に俺は、目をくらませた。

「うっ……」

 思わず目を閉じた俺は、しばらくその状態のまま動くことができなかった。

 それから少し時間がたち、目をくらみも収まったころ、俺は目をゆっくりとあけた。

 すると俺の視界に、奇妙な形の鏡を持ったティーゴストが入ってきた。

「……なんだ? その鏡?」

 ティーゴストの持っている鏡の枠は藍色で、鏡そのものは銀色に光っている。

「これが僕の武器です。これで、あなたの力を引き出す」

「え?」

 俺は、何がなんだかもう分からなくなっていた。

 武器なんて本当に自分にあるのかも分からないのに、そんなことを言われても。って感じだ。


「それでは、儀式をはじめますよ」

 そう言ってティーゴストが何かを念じたら鏡が宙に浮いた。

 フワフワと浮く感じではなくて、空中に完全に付いている感じだ。

「これでどうやって武器を見つけるんだ?」

「……あなたは只、じっとしてればいいのです」

「……」

 こいつの言葉は意味が分からない。奥が深いというわけでもなく、只意味が分からない。俺をからかっているのか?っていうくらい、腹が立つ。記憶の中では一番の腹が立った出来事だ。


「心のすべてを解き放て!」

「!」

 ティーゴストがそう叫んだとほぼ同時に浮いている鏡が、俺に向かって輝く光を放出した。

 これで何度目だろうか。光に目をくらませられるのは……。 

 今回の光は今まで一番きつかった。なかなか収まらないし、威力も強い。

 

 そしてようやく、光が収まった。

 俺が目をあけるとそこは……

 たくさんの不気味な時計がたくさん浮いている、真っ黒な、トレーニングルームとは別の部屋だった。

 部屋というよりかは空間かもしれない。

 明かりはないけど周りの景色はすべて見える。

「どこだ……ココ?」

 俺が一人でそうつぶやいたその時、

『お前の精神世界だ』

 俺の背後で聞いたことの無い男の声がした。

 すぐさま後ろを振り向いたがそこには誰もいない。

「誰だ!」

 そう叫んでも返事はこないし、姿も見せない。

「ティーゴストはいるのか?」

 そう言っても返事はない。

 いったいどうなっているんだろうか。

 そう思った俺は、とりあえず歩いてみることにした。

 真っ暗なこの空間には道はない。それでも俺は手がかりを見つけるために歩いた。


 すると……

『私が見えるか』

 またさっきの声が、今度は前方から聞こえた。

「見えない」

『そうか』

「お前は……誰なんだ?」

 そう聞いても返事は返ってこなかった。

 その時、ふっと俺はさっきのティーゴストの言葉を思い出した。


   只、じっとしてればいいのです。


(それだ!!!)

 もしそれが、この声の主を見るためのかぎなのだとしたら。動かないことが重要なんだ!

 俺は歩みを完全に止めて、その場でじっと立ち尽くした。

 

――――

 あれからどれくらいの時間がたっただろう。歩みを辞めた時からもう丸一日は経過してるはずだ。

 はじめはつらかったけれど、慣れればそれほどきつくはなくなってきていた。

 でも反応がこれだけないのは、おかしい。やっぱり動かないのは間違いだったのか。あきらめて体を動かそうとしたその時……

『待て!』

 あの男の声が俺にそう叫んだ。そして俺はすぐに動こうとするのを止めた。

 やっぱりこの考えは間違っていなかったんだろう。

 

―――

 それからまた一日ほどが経過した。

 もう何も食べてないし、ずっと動いてもない。そろそろ体も精神も限界が近づいてきた。

(もうだめだ)

 そう悟った俺は、ついに意識を失いかけた。それでも俺は何とか踏ん張って、耐えた。

 ここであきらめたらこれまでの辛さがまったく意味を持たなくなる。

 でもやっぱり俺の体は限界だった。痛さを超え始めた足、ムズムズする体、クラクラし始めた頭。どれをとっても、もう限界は超えていた。

 

(も……もう、限界だ!)

 俺は、何とか耐えようとしたがもう無理だった。

 重いものを吊るした糸がプツンと切れるように、力なく俺はその場に倒れた。

 倒れた俺にはまだ意識があった。だが体の状態は、目も開けられないほど最悪だ。


 するとその時―――

『よく頑張ったな』

 あの男が久々に話しかけてきた。

 その声の後は、それまでは開かなかった目が突然開くようになった。

 

 開いた目で倒れたまま上を見上げると、

「わっ!!!」

 そこにいた者の姿に俺は思わず声を上げた。見た目は人間じゃ無かった。

 

 骸骨だ。


 その骸骨は、体全体にボロボロになった黒い布を纏っている。

『驚いたか? この姿に……』

 声は、今まで俺に話しかけてきていた男の声だ。

 骸骨は口を動かしている。骨だけが動くのは気味が悪い。

「誰でも驚くよ……」

『ふっ』

 骸骨は全く表情を変えずに鼻で笑った。

 まあ、骸骨が表情なんて変えることなんて無いだろうけど……。


『もう一度聞こう。私が見えるか』

「あぁ」

 前までは姿は見えず、声しか聞こえなかったけど今はハッキリ見えてる。

 

「お前は誰なんだ? しかもココが俺の精神世界だって」

 俺は今頭に浮かぶ疑問を全て骸骨に投げかけた。

 骸骨はそれに少し困った表情になった。目の空洞が少し下がっている。

 骸骨でも表情は変わるのか……。

 さっき俺は表情は変わらないものだと思っていたけど、どうやらそうではないみたいだ。


『私は……お前自身だ』

「えっ……?」

 ますます謎が深まった俺は、目を丸くしたまま暫く動かなかった。


読んでくれてありがとうございます!


まだまだ始まったばかりで、キャラのことも良くかけないままです。

今回初登場の骸骨キャラは、本来出す予定じゃなかったんですが、出しちゃいましたww


一段落したら、キャラの設定紹介などを行う予定です。


もし、ここまでプロローグからここまで読んでくれた人がいたならば是非是非感想をお願いします!

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