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第1章‐第1話:脱退


第1章の始まりです!

レグオズ視点で書いてきましたが、これからは3人称で書いていきます。

これまではレグオズの回想ということで……。

 グノウに負けてから一週間後、ようやくレグオズは静かに目を覚ました。


「ん……。ここは、俺の……部屋?」

 レグオズはまだ今の状況がつかめていなかった。

 それもそうだ。

 意識を失ったままずっと眠っていたのだ。頭が働かないのは当たり前のことだ。


「そうだ……俺グノウに負けたんだ」

 レグオズは体に巻かれた包帯を見てそのことを思い出した。

「でも、これ誰が……」

 レグオズはあの時確実に死んだと思っていた。

 だが今、自分は治療されて、ちゃんと生きている。

 誰かが助けてくれたんだろう。と、レグオズは心で呟いた。


 レグオズはやはり落ち込んだままだった。

 グノウに負けた事よりも、自分の無力さに心を沈ませた。

(これからどうしようかな)


 その時、静かに音を立ててドアが開いた。

「!」

 レグオズがドアに顔を向ける。

 するとそこには、手に小さな紙切れを持ったベゴンが立っていた。

「あ……」

「おぉ! 起きたのか! ちょうど良かった。今すぐ大広間に行くぞ」

 ベゴンは指令書をレグオズの部屋に持ってきたところだった。

「え……あ、あぁ」

 レグオズはゆっくりと体をベッドから起こし、まだ少し痛む体を動かしベゴンに近寄った。

「よし、行くぞ」


―――部屋を出た2人は大広間に向かって歩いていた。

「大丈夫か?」

「うん……」

 ベゴンはレグオズの体の具合を気にしながら、レグオズの歩く早さにあわせている。

「今日新メンバーが来るんだとよ。どんな奴だろうなぁ?」

「新メンバー……」

 レグオズは心の中で、自分がもう用済みだから新メンバーを入れたんだろうか。と考えていた。

「よし、着いた」

 ベゴンは大広間の扉を勢いよく開いた。

 そこにはいつもどおり組織員が椅子に座っていた。

 行方不明だったロウクゴット、チェイグティ、エイグスの姿もある。

 扉の音に反応した組織員たちがベゴンたちを見つめている。

 グノウは鋭い視線でレグオズをじっと見つめている。

「座るぞ」

 ベゴンはレグオズにそういって自分の席に着いた。

 レグオズも一旦周りを見渡すと、自分の席へと移動した。


「今日、新メンバーが“(テネブラ)”に加入する」

 グノウがそう言うと、ゆっくりと扉が開き始めた。

 そして外から新しいメンバーである男が入ってくる。

「!」

 メンバー全員がその男の風貌に驚きを隠せなかった。

「第12の組織員としてお前達と仲間になることになった、ゴーテンスだ」

 組織員達が驚いたのは、その年齢だった。

 ゴーテンスという男は、すでに年老いていた。体型はガッチリしていて、顔にも迫力がある。白く太い髭を鼻の下に生やし、左目は戦闘で負ったであろう傷跡が付いている。

「じじいじゃねぇか」

 ロウクゴットが、ついそう漏らしてしまった。

 それにゴーテンスが鋭い目つきで睨み返す。

「そしてこれからの任務は2人1組で行動してもらう」

 グノウはそういうと、机の下から大きな紙を取り出した。その紙には誰と誰がペアを組むかが書かれていた。


   エグトル&ドグエ

 ロウクゴット&チェイグティ

 ティーゴスト&ニグゲク

   オゴット&ベゴン

   エイグス&ゴーテンス


「以上、解散だ……」

 グノウは椅子から立ち上がり扉に向かい歩いていく。

「……グノウ! 俺の名前が無いぞ?」

 レグオズが勢いよく椅子から立ち上がりグノウを呼び止めた。その時の衝撃で椅子が後ろに倒れてしまっている。

「お前はもはや役に立たない人形だ。どこにでも行け……。―――期待しているぞ、ゴーテンス」

 レグオズに強くそう言い放つと、ゴーテンスとのすれ違い際にそういい残し大広間から出て行った。

 レグオズは顔を下にうつむける。

「レグオズ……」

 ベゴンが心配そうな顔でレグオズを見つめている。

 レグオズは倒れた椅子を直すと、そのまま大広間を出ようとし、扉へ向かった。

「ワシが憎いか?」

 ゴーテンスがレグオズとのすれ違い際にそう言い放つ。

 レグオズは足を止め、ゴーテンスの顔を見る。

「ワシが入ったことでお前の格が成り下がったのは必然。そんなワシが憎いか?」

 ゴーテンスは別にレグオズを茶化しているわけではなかった。もちろん心配して声をかけたわけでもなかった。ただ、レグオズに興味があった。それだけなのだ。

「そんなのどうでもいいんだ。俺はもう組織を抜ける。だから……この服も、もういらないんだ」

 と、レグオズはゴーテンスの言葉を否定すると、着ていた組織服を脱ぎ捨てた。服を脱ぎ捨てたレグオズは、ここに初めてきた時の元の服になった。

 そしてレグオズは大広間から出て行き、闇の渦が大量にあった場所・トリップ場に向かった。


 レグオズのいなくなった大広間では残りの組織員たちが何やら会話を始めていた。

「レグオズが“鏡”に入ってきてからというものの何かと事件が多かったなぁ」

 エイグスがそう呟いた。

「ククク、確かに……俺は直接話したことは無いがアイツからは、嫌なオーラを感じるからな」

 エグトルがそれに同意し、奇妙に笑う。

「これで良かったのかもしれないわね」

 オゴットも同意し、静かに目を瞑った。

「でもアイツどこにいくんだ? 行く場所なんてあるのかよ?」

 ロウクゴットが机に肘を突きながらそう言った。

「トリップ場に行くだろな……。前の任務であそこを使ったからな」

 ベゴンはそう分析すると、突然席から立ち上がり、大広間から出て行った。


「……やれやれですね。ベゴンはどうもレグオズのことが気になるようです」

 ティーゴストはベゴンの不可解な行動に呆れ、頭を抑えている。

「ところでチェイグティ、上級守護獣は見つかったのか?」

 ニグゲクがこれまで行方不明だったチェイグティに話を振った。

「お前には関係ない」

「ちっ、冷てぇ野郎だな……」

 ニグゲクは眉間にしわを寄せて軽く舌打ちをした。

 そんなニグゲクにチェイグティは横目でギロリと睨みつける。

 少し場の空気が悪くなり始めたところで、ロウクゴットが話を切り出す。

「ま、別に気にすることねぇだろ。組織を従うも抜けるも個人の自由ってもんだろ」

 ロウクゴットはポケットに手を入れたまま椅子から立ち上がり、大広間を出て行った。

 それと同時にチェイグティも大広間から出て行く。

 また上級守護獣の捕獲任務に向かうのだろう


―――

「待てよ、レグオズ!」

 トリップ上に向かう途中で、ベゴンが息を切らしながらレグオズのところまで追いついてきていた。

「ベゴン……」

 レグオズは振り返ると静かにそう呟いた。

「組織を抜けるのか? 行く場所はあるのか?」

「ない。でももうここにいる理由も無くなった……。だからこれからは自分で旅して記憶を取り戻す」

 レグオズの目は決意の光に満ち溢れている。誰がどう言おうとこの決意は変わらないだろう。

「俺たちを敵に回したら死ぬぞ……。恐らくグノウはお前を殺しに来る」

「構わないさ……。人はいつか死ぬんだから……」

「そこまでして抜けたいのか。なら俺は止めねぇ。これから俺とお前は……敵同士だ!」

 レグオズにとってベゴンは仲良くしてくれた唯一の存在。ベゴンもこの言葉を発するのに、どれだけの勇気を使ったのか分からないくらい、ベゴンにとっても大事な存在なのだ。

「……」

 レグオズはベゴンから顔を背けると、トリップ場に向けて高くジャンプした。

「ふっ……」

 消え去ったレグオズの姿を見て、ベゴンはニヤリと口角を上げた。

 笑っているのか、呆れて笑ってしまっているのか。答えはもちろん……前者だ。


 

 トリップ場から適当に闇の渦へ入ったレグオズは、新たな世界に来ていた。

「ベゴンの言うとおりだな……。いざ外に出てみると行く場所が無いな」

 レグオズは広大な世界を見渡した。

 この世界の名はハギト。宇宙最大の金持ちの国で、住人全員がリッチな生活を送っている。宿屋で一泊するにも、普通の10倍以上の金がかかるが、住人は簡単に支払うという国だ。

「とにかく町に行ってみよう」

 レグオズが適当に方向を決めて進み始めたその時、遥か前方から猛烈な勢いで何かがに突進してくる。

「え? 何だ?」

 その何かはぐんぐんスピードを上げて、

「うわっ!」

 レグオズと正面衝突した。

「いてててて……。あれ? 君は……」

 衝突してきたのは、サラだった。

 サラはレグオズの顔を見て、あのときのやつだと思い出した。

「っつ……。お前……あの時の」

 それはレグオズも同じだった。

「ちょうど良かった。あなたを連行するわ!」

「……え?」


読んでくれてありがとうございます!

ちょっとネタに詰まりつつあるんですけど、何とか頑張っていきます!

個人的にはサラは好きなキャラなので、どんどん出していく予定ですが……

ではこれからもよろしくお願いいたします!

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