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−3話:覚醒〜戻った声〜

 あれから2週間が経った。

 謎の少女ニールス・サラ・アルハンゲリスクと出会い、任務が中断してからちょうど2週間。

 俺には何も任務が与えられていなかった。

 部屋には誰も入ってこなかったし、俺が部屋を出ることもなかった。あったとすれば食事の時だけだ。

 ここでの食事は時間になれば自分の部屋の前に用意してくれている。誰がやってるのかは知らないけど、片付けもその誰かがやってるから楽だ。


 俺は2週間前からずっと悩み続けていた。突然俺の口から出てきた“フィング”という単語。それが人の名前か物の名前か地名かは分からない。

 でもどこかで聞いたような、何か懐かしい感じだ。

 あれから俺の中でモヤモヤが消えない。


 それに、ガロンも俺の中から突然消えた。

 あれから毎日のように話しかけてたけれど、たったの1回も返事は無かった。


「どうしたらいいんだよ、ホント……」

 俺はもう本当にそんな気持ちだった。というよりかは、そんな気持ちしか今は出てこない。


 今日もこれからずっと悩み続けて気がついたら寝てて、次の日になる。って感じなのかな……。

 

 俺は目を瞑った。

 もう何も考えないでいよう。ただ悩んでいても解決はしない。

 今は、俺がこれからどう行動すればいいのかを冷静に考えるのが先決だ。

 でも―――

「あー、もう分かんないよ!!!!」

「なぁにが分かんないんだ?」

「!」

 俺は声のした右方向にすばやく顔を向けた。

「ベ、ベゴン!」

「よぉ」

 ベゴンが久しぶりって感じで手を上げた。

 2週間ぶりだ、ベゴンにあうのは。

「何だよ、何か用か?」

「んー、まぁ用があると言えばあるな。…………レグオズ、お前この2週間何してた」

「何って……ずっと寝てた」

 悩んでたなんて余計なこと言っちゃいけない。ベゴンも極悪組織の一員なんだ。まぁ、俺もそうなんだけどな。でも俺の心理が分かるようなことは漏らさないでおこう。ってこの2週間で決めていたんだ。

「暇なやつだな……。っとそれより、グノウが呼んでるぜ! 何か大事な話らしいぞ?」

 俺の心臓がバウバクし始めた。

 怒られるのか、新しい任務を与えられるのか。もしかしたら戦えない俺のことを全部わかってて殺すつもりなのかもな。

 俺はそんな事を心のうちに秘めながら、グノウの部屋へと向かった。


「失礼します」

 俺が部屋に入るとグノウがいつもどおり椅子に座っていた。

「レグオズ、武器を出してみろ……」

「え?」

 出来るわけが無い。今の俺には力の核であるガロンがいないんだ。武器を出せるはずが無い。

「どうした」

 でも今はダメもとでやってみるしかない。

「煌めけ、光の魂を……。―――」

 やっぱりダメだ。出ない。

「なぜ武器が出ないのだ、レグオズ」

「あの任務の時から反応が無いんだ」

 俺はついに本当のことを話してしまった。グノウには全てを見透かされているような気がして、うそがつけない。

「レグオズ。我々“(テネブラ)”の目的を知っているか?」

「礎ってやつを破壊して、守護獣も殲滅させる」

 礎はその世界のもっとも大事な部分におかれているでかい玉らしい。俺はまだ見たことが無いけれど……。今、“鏡”は現時点で約40の世界の礎を破壊してきたらしい。

 懐かしいな。この記憶は俺が機関に入って1日目の任務でチェイグティが教えてくれたことだ。

「それは、目的ではない。目的を達成するのに必要なものだ」

 そんな事いわれても俺は目的なんて聞かされていないから、答えられない。

 俺は下を向いて黙った。

「まぁいい。その守護獣を殲滅するには何が必要だ?」

「力。武器……」

「今のお前は……」

「武器がない」

「つまり、お前はもうこの組織にいても意味が無いと言うことだ」

「!!!」

 もっともな意見だ。力の無いやつなんて必要ない。グノウはそんなやつだ。

「決めろレグオズ。今ココで死ぬか、組織を抜け1人で生きていくか……」

「分からないな。グノウ、あんたは何で俺を拾ったんだ! 必要ないならあの時から捨てていれば良かったんじゃないのか?」

 俺は内に秘めていた思いをぶちまけた。

「あの時は、お前に何か特別なものを感じた。だがそれは私の勘違いだったようだ……」

「前まで俺はあんたに感謝していた。多分俺はあんたに会ってなかったら死んでたし……。でも今は違う! 俺は少しずつ記憶が戻ってる! このまま何も思い出さずに死ぬわけにはいかない!」

 そうだ。それが俺の今するべきこと。記憶を取り戻し真実を知る。

 フィングとは何なのか。化け物を斬った時に脳裏をよぎった、謎の映像。そして……俺の正体を……。

 そのためには死んだらいけないんだ。

「記憶が戻ってきている……か。それが本当かは知らないが私には関係の無いこと。お前の過去など知ったところで何のためにもならない」

「グノウ……。グノウ!!!!!」

 怒りが俺の頭で爆発した。グノウは許せない。その言動が頭にくる。

 その時俺の中で何かが蘇った。

(ガロン?)

『ようやく気づいてくれたかレグオズ。私はずっとお前の問いに答えていた。だがそれに対してお前の返事は無かった……。それは恐らくお前が色々思いつめていて、それが私の存在を押し潰しかけていたんだろう。だが、今お前は怒りで全てを解放させたことによって私も蘇った』

 久しぶりに聞いたガロンの声は懐かしくて、涙が出そうだった。

 俺の良き理解者……。俺の唯一の大切な仲間だ。

(ガロン、俺に力を貸してくれ!!!)

『あぁ』


「煌めけ、光の魂を!!!」

 俺から今までで最大の光が漏れ出した。腕、腰だけだった前までの光とは違う。今の光は俺の体を全て包み込んでいる。

 この光は俺にとてつもない力をくれてる感じがする。何か暖かい光……。

 光は徐々に収束していき、俺の剣と銃2挺に変わった。

 光は武器に変わってもまだ俺の体に纏ったままだ。大きすぎて収束し切れなかったんだろうか。

 でもそれも俺の力として、俺を強くしてくれてる。


「グノウ…………勝負だ!!!!!!」

 俺は剣の切先(きっさき)をを勢いよく、グノウに向けた。


「いいだろうレグオズ……。力の差を思い知らせてくれるわ!!!!!」

 椅子から立ち上がったグノウの体から黒い禍々しい闇の風が部屋全体に放たれた。

 俺を含め、全ての家具が吹き飛ぶ。壁にも少しヒビが入ってる。


「くっ……」

 でも今の俺は光に守られているから大丈夫だ。俺は黒い闇の風に何とか耐えることが出来た。



 ―――ここから(レグオズ)(グノウ)の壮絶なる戦いが幕を開ける。

序章でもある「ー〜話」が終わりを迎えています!

次回は見て分かるとおり、レグオズVSグノウ。題名もコレになるのではないでしょうか??


序章が終わったら、登場キャラ紹介とかの番外編を行いますのでよろしくお願いします。


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