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メイドのおしごと!  作者: 東雲もなか
お帰りなさいませ
2/18

第2話 ご主人様をお出迎えします。

「チナさん、サクラさんに制服に着替えさせて来てクダサイ。ロッカーに準備してアルノデ」


「ほいほーい。それじゃこっちだよ」


 チナさんと呼ばれている方は、私の左腕をつかんでバックヤードに案内してくれました。



「うわぁ~」


 着せてくれたのは、私のメイド服です。

 でもこれ、なんだか、


「スカート少し長くないです?」


 私のスカートは、ふくらはぎくらいまであります。

 チナさんと比べても、それほど長さに差があるわけではないですが、私が小さすぎます。


「そんなもんだと思うよ」


 そう言いながら、よれていたネクタイを直してくれるチナさん。

 面倒見が良いお姉ちゃんみたいです。


「その子に合う衣装を店長が選ぶんだけど・・・さすがヘンタイの店長」


「変態?でも別に」


 鏡に映った自分を眺めてみる。

 別に、胸元も開いてなければ、それこそスカートも長い。


「わかってないな~ そこが良いんだよ!」


 両手で肩をつかんでくる。


「おっと、よだれが」


 いけない、と片手だけ肩から離して拭っています。

 汚いです・・・



「よく似合ってますヨ!」


 表の方に戻ると店長さんが褒めてくれました。


「えへへ、ありがとうございます。店長さん」


「あ、ワタシのことは、マスターって呼んでクダサイ。皆さんそう呼んで居ますのデ」


「嘘を吹き込むな嘘を」


 チナさんは店t、マスターをたしなめます。


「それにしても、どうしてこの服が似合うと思ったの?」


 「そのことならデスネ」と1枚の紙を引き釣り出します。


「コレコレ♪」


 取り出したものを私たちに見せてきました。


「コレなんですか?」


 出されたのはどうやら私の履歴書の用です。


「コレを見て想像したんデスヨ」


「うぇ・・・ 店長、控えめに言って気持ち悪い」


 チナさんから散々言われようなマスターです。


「オブラートに包んでそれデスカ?ショックデス・・・」


 マスターは肩を落としてしまいました。

 不憫に思った私は、頭をなでて上げようと手を伸ばします。

 身長差で届きそうにないので、ジャンプをしていたのですが、


「よっ、よっ、えぃっ」


[バチンっ]


 無理に跳ねていたものですから、その手がマスターのお顔に直撃してしまいました。


「マスターすみません!」


 私は急いで謝ります。


「うぅ・・・」


 マスターは許すでも怒るでもなく、ただその場にうずくまります。

 あわわ、どうしましょう。

 まっ、まずは救急車でしょうか?

 私はスマホを取り出します。


「あれ?スマホは⁉」


 そうだ、この服はポケットがないのでロッカーに置いていたんでした。

 こうしては居られないと、急いで駆け出します。


「まあ、待て」


 チナさんが急に襟首を掴んでくるので、首が絞まります。


「けほっ・・・何でですか・・・?」


「大の男が、小柄な女の子に多少ぶたれたところで、どうこうなると思う?」


「でも、現に・・・」


 そうです。

 マスターはへたり込んでいます。


「こいつはあれだ、心がイタいんだ」


「チナサン、言い方に悪意を感じるのはワタシだけでショウカ?」


 マスターの物言いを無視してチナさんは、


「そろそろ接客の練習をしよっか」


 接客、つまりマスターのお客さんと言うことでしょうか?


「どうしたの?」


「いえ、少し自身がなくて・・・」


 これまでの失態のこともあり、うまくできるか不安です。

 私が俯いていると、その顔をのぞき込んできます。


「大丈夫じゃない?多少失敗してもかわいいから許してもらえるよ」


 そんなことは無いと思うのですが・・・

 でも、チナさんが気を遣ってくれているとはわかります。

 なので、これ以上迷惑を掛けない為にも私は精一杯の笑顔で、


「わ、私、ガンバリマス」


「何で表情がさらに硬くなってんだよ。まっ良いか、それで入店してして来たら「お帰りなさいませご主人様」って挨拶する」


 チナさんは、大丈夫?って聞いてきます。


「はい、大丈夫です」


 ってあれ?


「お客さんにも、ご主人様と呼ぶのですか?」


「ん?」


 私が何を言ったかわからなかったのか、チナさんは首を傾げます。

 なので、さっき言ったことをもう一度、繰り返しました。


「もしかして桜、メイドカフェってしらない?」


「何ですか?それ?」


 チナさんはマスターを睨みつけています。


「えっと、あなた、ご主人様はだれ?」


「マスターさんですよね?」


 私がマスターと目を合わせると、彼はニコッと笑います。


「はぁ・・・、良い?こいつはただの店長で、マスターってのは自分の趣味で言わせてるだから」


「ひどいデスヨ。店主もマスターじゃないですか」


「とにかく、ここはメイドカフェといって、メイドになりきった店員が、お客様をご主人様に見立てて接客するお店なの。がっかりした?」


「それって・・・なんだか面白そうですね!」


「桜って、見かけによらず意外とたくましいわね・・・」

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