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メイドのおしごと!  作者: 東雲もなか
お帰りくださいご主人様
18/18

第18話 自分らしさを見つけました。

「最近気がついたのですが、メイド長の襟元、クローバーのマークが付いているのですね」


 もしかして、自分の制服にも付いているのでしょうかと確認してみても、私の物にはありません。

 他の皆様も同様です。


「ええ、そうね」


 素っ気なく答えたのは、メイド長です。


「私のにも、ほらここに」


 千奈さんが自分の肩甲骨あたりを指しています。

 確かめて見れば、青いホウセンカのような花です。

 でも少し違うような感じがします。


「これは・・・何ですか?」


「これはチドリソウって言うの」


 チドリソウですか・・・

 あっ、なるほど


「千奈さんだから、それに掛けてるんですね」


「それもありマスケド、他にも。ネ、香葉」


 マスターがメイド長にウインクします。

 メイド長はそれを、うざったくかわしながら、


「チドリソウの花言葉は、陽気、快活、活発ね」


「へー、千奈さんにぴったりな花なんですね!」


「そうなんデスヨ〜」


「そんな事無いわよ・・・」


 同意するマスターと、それを受けて照れているのは千奈さんです。


「そういえば、私の制服にもあるんですかね」


 今まで注意して見たことは無かったのですが、探してみます。

 そうして、袖に桜の刺繍が入っているのに気がつきます。


「私の花は桜なんですね。桜の花言葉は確か、優雅な女性でしたっけ?」


「そうよ。ぴったりね」


 「えへへ〜」


 自分から言い出しておいて何ですが、少し恥ずかしいです。


「他の人にも付いてるんですかね?例えば花恋さんとかも」


 注文を運んでいる花恋さんを見ていると、こちらに気がついたみたいです。

 証拠に、向かってきています。


 彼女の制服にはどこに刺繍が入っているのか観察してみると見つけました。

 エプロンの裾あたりに、オレンジのユリです。


「ユリの花言葉ってどのような物でしたっけ?」


 メイド長に聞こうとしましたが、花恋さんがこっちに来たので代わりにホールに出て行ってしまってました。

 代わりに、マスターを見つめます。


「ユリの花言葉は純粋、無垢、威厳デスネ」


 マスターは鼻高々に言います。


「なるほどぴったりですね!」


「照れますわ〜」


「オレンジ色だと、可憐という意味もありますネ」


 なるほどです。

 ますますぴったりでは無いですか。


「実は他の意味もデスネ・・・」


 マスターが何か言おうとしたところで、千奈さんが店長の頭をぶったたきます。


「あわわわ、マ、マスター⁉大丈夫ですか?」


 私が心配しますが、千奈さんは構わず奥へ引きずって行きます。


「これは、助けに行った方が良いのでしょうか」


「必要ありませんわ〜」


 そう言われても、私が質問したせいもありますし・・・

 一緒に謝らないといけないと思います。


「やっぱり私も・・・」


「必要ありませんわ」


 どうしてと聞こうとしてやめます。

 花恋さん、いつもと同じ笑顔なのに、雰囲気が全然違います。

 なんだか怖い感じです。


「そ、そうですね」


 ここは同意して仕事に戻るが吉です。


「あ、そういえばマスターは刺繍されて無いんですね」


「言われてみればそうですわね」


 私達だけと言うのもなんだか寂しい気がします。

 マスターが皆さんのイメージで決めていますので、彼には無いと言えば当然かもしれませんが。


「私達で考えて見ませんか?」


「マスターのイメージでですかぁ?」


 私が提案しても、花恋さんはあまり乗り気ではなさそうです。


「やりましょう!絶対その方が良いです!」


「仕方がありませんね」


 私が多少強引に説得すれば、花恋さんは折れてくれました。

 それにしても、何が良いのでしょうか?

 菜の花とかでしたら、確か明るさ、快活でしたので合う気がします。


「ん〜、それでしたら雪の下など如何でしょうか〜」


 私が提案するよりも早く、口を開いたのは花恋さんです。


「雪の下ですか?」


 残念ながら聞いたことがありません。


「別名キジンソウと言うのですよ」


「え⁉奇人ですか?」


 それはちょっとあんまりでは無いでしょうか・・・


「冗談ですわよぉ」


 何だ冗談ですか。

 びっくりしました。


「花言葉は、博愛ですわ」


「なるほど!それならピッタリです!」


「キジンソウって言う名前ですのに、良い花言葉ですわよね」


 あ、名前自体は冗談じゃ無かった訳ですね。

 まあでも、別名も含めて似合ってる気もして来ました。


「わかりました。それで行きましょう」


「決まりですわね〜」


 そこでようやく戻ってくるマスターと千奈さん。


「何話してたんデスカ?」


『秘密です(わ)』


 私達は2人で顔を見合わせて笑いました。

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