南新宿① 路地裏と過去語り
舞台裏で金を貰う。
「今日は多いな・・・」
いつもより札の数が5枚くらい多い。
「1、2、3、4・・・8。八千円か。」
「今日はいいお客様がいらっしゃってるんだよ。なんでもここの『自治政府』のお偉いさんだそうだ。」
「へえー。」
「お前の歌を気に入ったらしくてな。一千円『も』増やしてくれたぞ。」
「それは『も』じゃねえ。残りの四千は?」
「そいつの連れの方から。他国のこれまたお偉いさんだそうだ。接待だな、間違いねえ。」
「んなもん誰だって解るっつーの。普段は百もくれねえのに、今日だけってのはおかしいだろ?」
「それもそうか。」
「ここに五千円札はねえのかよ。」
「お前普段からバラで渡すように言ってるだろうが・・・」
「・・・そーだよ。」
「じゃ、『それ』手入れして帰りな。ほい、これ道具。」
「どーも。」
オーナーと話し終え、金をポケットに突っ込み、手に持つ『それ』を手入れしに楽屋へ行く。
この街は『日本国南関東政府:首都東京』の中央都市『東京自治政府群:新宿』の『南新宿』という町。昔は『日本』という国だったのだが、三百年程前『とあるもの』が世界に知れ渡ることになった。
新型核兵器でもない、大量殺戮兵器でもない、隕石とかの自然現象の類でもない。・・・いや、自然現象でもあるのか。『とあるもの』は死も、慈悲も、殺戮も、豊作も、幸福も、言葉も、力も、時間も、何もかもを操り、与える。そんな万能の力。
文字通り、『魔法』という。
現在は『魔法事変』と言われるその日、何があったのか、それは不明である。だが起きてみると『化け物』の様な力を操りだす者達がいた。それも世界中にだ。だがその日を境に、世界は混乱の渦の中へと落ちていったのだ。
日本にもそれは影響を及ぼしていた。日本国内で混乱、暴動、破壊、殺戮と順々に発生。力ある者は人々を束ね、殺し、国を作った。力無き者達は消えるか、力ある者の庇護下に入るかの二択しかなかった。そして、世界も同じようなことが発生した。度々情勢は変わっていったが、ここ五十年程変わりはないと聞く。
ここまでが今の世界の過去だ。
ここからは現在の話をしよう。
今現在、日本には九個の国がある。北海道と青森を支配する『北海道連合』。岩手、秋田、山形、新潟北部、福島西側を支配する『大日本東北政府』。福島県中東部、北関東と埼玉北部を支配する『日本国北関東政府』。東京、千葉、神奈川を支配する『日本国南関東政府』。長野、富山、石川、福井、新潟南部を支配する『大北陸新政府』。東海、岐阜、山梨を支配する『東海圏政府群』。兵庫を除く近畿地方を支配する『関西大商連合政府』。兵庫、中国地方を支配する『山陽・山陰軍業政府』。九州、四国を支配する『九州・四国大政府群』。これらの国が現在も争い続けているが、膠着状態に陥っているため、平穏が続いている。
それと、各国には『勇者』やら『魔王』やら『賢者』やら『聖女』やらが存在する。ファンタジー世界か?と思えるが実際はそうじゃない。大量殺戮兵器の『勇者』。破壊の権化の『魔王』。人体実験を繰り返す『賢者』。裕福な者にしか慈悲を与えない『聖女』。『魔法事変』から世界は混乱を繰り返す原因の一つが彼らだ。
核爆弾やICBMよりも危険なモノが飛び交う世界。なんて物騒な時代だ。
この物語はフィクションです。
実際とは全然違いますよ。というか東京行ったことが4,5回しかないので本当に全然違いますよ。




