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優しさの温もりは

結局、リリーさんは夜ごはんも一緒に食べてくれて人生で初めてこんなに人と会話してる事に気づいた。


「ダリア様、明日は日が昇りきる前に帝国へ出発するとのことなので夜更かししないで早く寝て下さいね!私はこれで失礼致します。おやすみなさい。」

リリーさんが部屋を出ていって急に静かになった部屋でふと考えてみると私は誰かに「おやすみなさい。」なんて言われたことなんてあっただろうか?

今日一日、リリーさんとの出来事を思い出す。初めて聞く話ばかりで物語を聞いているようだった。


すぐには寝れそうにないので少し夜風でも浴びてようかと窓を開けると優しい風が頬を撫でた。目を開けると遠くのほうに街の灯りがちらほらと揺れているのが見えて今いる場所が城の中でも見晴らしのいい部屋だと気づく。オレンジ色の灯りが綺麗でしばらく何も考えずにみているとふいにドアのノック音が聞こえた。


ーコンコンッ「私だ。ジェラードだ。起きてるか?」

「っは、はい。」

「夜にすまないな。今日は少しでも食事がとれたか?」

「はい。」

ジェラード皇子が部屋にくるとは思っていなかったので、緊張で身体がこわばる。

窓の前で立ち尽くしていると頭の上から優しい声がした。

「街を見ていたのか?」

「はい。灯りが綺麗だなって。」

「この国の灯りは優しい色をしているな。帝国は明るすぎて私は苦手だ。」

「そうなのですか?」

「あぁ、まぁすぐにわかるさ。それより夜風にあたりすぎるのはよくない。その身体で風邪でもひいたら大変だ。」

そう言いながらジェラード皇子はゆっくりと窓を閉めた。

「髪を、、、揃えたのだな。」

「はい。リリーさんが揃えてくれました。変でしょうか?」

見上げながら言うと、私の髪を一房取りながら

「いや、似合っている。ダリアは覚えていないと思うが半月ほど前に私は戦場で君に会ってるんだ。倒れている兵を介抱している時に君は私の目の前にいて咄嗟に私はダリアの足に剣を向けたんだ。でもその後、君は私に「バルハラ国はこの後、北へ向かって後退するから南で介抱するといい。」と言ってその場からいなくなった。その後に最初から君は私達を攻撃する気などなかったと思って後悔したんだ。そしてその時の君の赤い目とその髪が忘れられなかった。」

顔が熱くなった。恥ずかしくて顔を上げれなかった。あの時の彼がジェラード皇子だったなんて。

「そう、そうだったんですか。すいません私、、」

大した返しも出来ずに立ちつくした私とジェラード皇子の間に無言が続いた。

「、、、急に悪かったな。明日は早いから早くに寝てくれ。おやすみ。」

と言って今度は頭を優しく撫でて部屋を出て行った。



部屋の扉をしばらく見つめてから暖かい手のひらの感触がまだ頭に残ってる気がして、自分でも頭を触ってみるけれど何も残っていなかった。

戦場で会っていたなんて思わなかった。今日一日で色々な事がありすぎて頭が追いつかない自分がいる。心臓の音が速い気がする。もう考えても考えてもわからない。もうこのまま寝てしまおう。きっと夢なんだ。起きたら私はまだ塔の中にいるはずだ。きっと!現実を受け止められないまま目を閉じても今日は寝れないかと思っていたが気づくと意識を夢の中へ飛ばしていた。

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