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王女に暖かさを

「とりあえずは先に傷の手当てをしないとな。キル、適当な部屋と救護班に連絡を頼む。俺は仕事を片付けてくる。」

ジェラード皇子はそう言いながら、城の中のソファに私を下ろした。

「了解。ダリアちゃん悪いんだけど身支度は1人で出来る?メイドが城から逃げ出しちゃったみたいでね。」

「大丈夫です。それに歩けますから、、、」

「傷は深かったはずだろう。それに帝国まで道のりは長いから治療してもらってくれ。」

話の途中でジェラード皇子に頭を撫でられた。大きな手に暖かさを感じて、顔が熱い。なんだか恥ずかしくて顔を埋める。無言を了承したと思ったのか気づくとジェラード皇子は部屋を出ていった。



その後は綺麗な部屋に連れて行かれて、初めて治癒魔法を受けた。暖かく、優しい光に気づくと寝てしまっていた。起きると朝日が昇っていてキルさんが新しい服と食事を持ってきてくれた。

「可愛い服じゃなくてごめんね。1人で着れそうな服がなくて。」

「ありがとうございます。動きやすそうで助かります。」

「それと部屋にお風呂があるから入れそうなら使って?午後に女性の騎士をつけるからそれまでは1人でごめんね。後は食事もちゃんと取るようにってジェラードからの伝言〜。」

「わかりました。」

キルさんが部屋から出ていくのを確認してから持ってきてくれた食事をみるとパンにサラダにベーコンに豪華な食事だった。こんなに豪華な食事は初めてで、どう食べていいか考えてしまう。塔の中の食事はまるで残飯のようだった。野菜の端や硬いパンは時間をかけて食べるしかなかった。柔らかいパンに涙がこぼれた。少し食べるとすぐにお腹がいっぱいになってしまったので、お風呂に入ることにするとこれまた暖かいお湯が出ることに涙が出た。体中に傷跡が残っている体を暖かいお湯が癒してくれた。



治癒魔法のおかげか初めて身体が軽く感じふかふかのベットに腰掛けて窓から空を眺めているとドアをノックする音がした。


ーコンコンッ

「帝国軍のアリーチェ・リリーです。キル隊長からの命できました。」

「は、はい。どうぞ?」

「失礼します。」

キルさんの言っていた女性騎士さんだ。金髪の短い髪がよく似合っていて思わず見入ってしまう。

「あの〜、ダリア王女でよろしいですか?」

「えっ、あ、すいません。そうです。」

名前で呼ばれる事に慣れていなくて動揺してしまう。

「怯えなくても大丈夫ですよ。私のことはリリーと呼んで下さい。キル隊長からダリア王女の身の回りを頼まれたのですがなにか不便はありますか?」

「とくには、、、、あの王女は付けなくても、私のことはダリアと。」

「そういう訳にはいきません。この国の王女様と聞いていますので。」

「私にその資格があるのかは、、、」

「ではダリア様と呼ばせていただきましょう!食事をお持ちしましたから一緒にとりませんか?」

様付にもむずむずするが、王女よりはマシかと思って頷く。リリーさんは笑顔で食事を準備してくれた。

「私、人と食事をすることがないので綺麗にたべれるか、、」

「私も普段は騎士仲間と賑やかに食べてるので畏まらずに気楽で大丈夫ですよ。」

リリーさんは優しく言いながら、食べ始めた。つられて私もスープを飲む。

「ダリア様は痩せすぎですからゆっくりでいいのでたくさん食べて下さいね。あと、失礼ながら食べ終えたら髪を整えても?少し、、」

「みすぼらしいですよね。邪魔だと適当に自分で剣で切っていたので、、」

私の髪は今まで適当に剣で切っていたので右と左で長さがバラバラでグレーのはっきりしない色の髪は腰のあたりまでボサボサだ。

「剣で!?それでは傷んでしまいますよ。みすぼらしいなんて、、綺麗なグレーが赤い目と合っていて私は好きですよ。」

リリーさんの言葉にまた涙が出てしまう。気持ち悪いと言われていた赤い目から暖かいスープに涙が入ってしまう。

「あぁ、泣かないでください。やはり失礼でしたか?」

「いえ!嬉しくて。赤い目は気持ち悪いとしか言われたことがなかったので。リリーさん、髪を切ってもえますか?」

「はい。喜んで。それに赤い目は気持ち悪くなんかないですよ!まるで宝石のようです!」

リリーさんは笑顔で答えてくれた。食事中リリーさんが兄弟の話や帝国の流行などたくさん話してくれてとても楽しかった。せっかく用意してくれたのにあまり食べれなかったが、リリーさんが気を使って後で食べれるようにとパンを包んでくれた。


髪を切りながらもリリーさんの話は止まることがなく、私は相づちだけでも楽しかった。

「出来ました。こう見えて昔、兄弟達の髪を切っていたので腕には自信があるんですがどうでしょうか?」

髪を見ると左右対象になったグレーの髪が写っていた。

「嬉しい。ありがとうございます。」

「やっぱり長い髪は素敵ですね。今日からちゃんと手入れしましょう。」


リリーさんの言葉に鏡越しに頷くと、髪をくしでとかしていたリリーさんも笑顔を向けてくれた。

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