プロローグ
小さな窓から火薬の匂いがして、この国が戦争に負けたことを知った。城はもう制圧されたのだろう。外がやけに静かで鳥の鳴き声すらしない。
ーもともと帝国に戦争を仕掛けるのが間違っていた。
この国の王は愚かにも勝てると信じていたようだが最初から負けるのは明らかだったのだ。
このバルハラ国は長きに渡る王の悪政により傾き続けていた。王家の贅沢による増税、逆らう者には不公平な死刑。民は今日を暮らすので精一杯の生活。街は活気などなく盗みや暴力で溢れていた。
誰が唆したのか、王に囁いた。
「帝国に戦争で勝てばもっと贅沢が出来きますよ。」
愚かな王はこの言葉を信じた。
ー「これで王家の人間は全員か?」
バルハラ国を一夜で制圧した帝国の第二皇子ジェラードが王座に座りながら聞いた。
広間には縄で縛られている王家の者達が膝をつけられている。
「王と妃はどうやら逃げ出したようですね。城に残っていたのは王子2人と王女3人。記録書に載っている者達はこれで全員です。」
ジェラード皇子の問いに、隣にいた騎士が答えた。
「王と妃は逃げ出したか、、愚かな王だな。」
言うと同時に睨みながら王子、王女を見ると全員震えながら床を見ていた。
贅沢な服を着てのうのうと城に残っていた彼らは愚か以上になんの感情も出てこなかった。
彼らの処分は任されているが、どうも面倒だと感じていた。
「お、恐れいりますが、、、もう1人王族がいます。」
震えながらに王子の1人が言い出した。
「か、かの者は私どもと違い戦争に出ていた首謀者にございます。記録書に名前は書かれていませんがす、全てはかの者にございます。私どもは何も関係してはいなかったのです!ど、どうか私どもには減刑を!!!」
何を言い出すかと思えばさらに呆れた発言をし始めた。震えながらに言い終えた王子は誇らしそうにしていて兄弟を見ていたので、愚かな王にして愚かな子だとさらに感じた。
部屋の騎士達に合図を送り、呆れながらに玉座を後にした。