04 E.Grey 著 庭 『極秘文書の件 5 公設秘書・少佐』
//粗筋//
公設秘書佐伯祐が、婚約者である長野県月ノ輪村役場の三輪明菜を助手に、水野秘書官が閣僚である建設大臣・島村センセイの極秘文書を盗み、仮想敵国であるソヴィエトに亡命を図った。その陰謀を打ち砕くべく佐伯たちは奮闘する。
挿図/Ⓒ 奄美剣星 「気になること」
5 庭
佐伯は、ロールスロイスを検分するのを止め、腕を組むと、煙草を吸って遠くを見やった。視線の先には、山の青葉が……ではなく、テニスコートがあった。若い女の子たちが黄色い声を上げて、プレイしている。きっと別荘とかホテルに滞在している、ご令嬢たちだ。
頭を整理するフリして、何を見ているんだ、佐伯。――このむっつりスケベが!
テニスコートのご令嬢たちのスカートがはためいて中が見えた。もちろん中の白いショーツは、見せパンだ。とはいえ、形が下着のパンティーそのものだ。お股のスレスレまで見えているではないか! それにご令嬢たちがコート内を縦横無尽に走り回るたびに、シャツごしにオッパイが左右に揺れているのも見えた。
私は、佐伯の双眸に手をやって、視界を遮ってやった。ばーっか!
「明菜、眼鏡に油脂がついたじゃないか!」
「いいじゃない、祐さんは私のお手付きだもの」
そう言って、隙あらばと佐伯を狙っている泥棒猫・安田次官を振り返り、素敵な笑みを見せてやった。
「ねえ、佐伯さん。グライダーが見つかった、栃木県に行ってみませんこと?」
「ああ、そのことですか……」
佐伯の目線が安田次官に向かった。詳細を述べるならば、バスケットボール大の乳房二つにだ。それはブラウスに包まれ、さらに灰色のジャケットで覆われてはいた。だがジャケットは、キツキツに張っていて、前で止めたボタンを弾き飛ばしそうだ。安田次官は、ときどき佐伯に、悩まし気な視線を送っては、巨乳とデカ尻を左右に振って、プルンプルンさせていた。――この女は!
佐伯の眼球は、私の胸と、安田次官の胸を、テニスコートを往来するボールのように、ポンポンと行き来していた。
佐伯が私の貧乳を見て行った。
「明菜、やっぱりおまえは最高だ。僕にインスピレーションを与えてくれる! おまえは、オッパイが小さい!」
どつくぞ、ボケ!
「安田次官、謎が解けました、事件の全容をお話しますから、センセイたちのところに戻りましょう」
え、もう、謎を解いたの?
私と安田次官とは、顔を見合わせた。
次回「極秘文書の件6」で最終回になります。
//登場人物//
【主要登場人物】
●佐伯祐……身長180センチ、黒縁眼鏡をかけた、黒スーツの男。東京に住む長野県を選挙地盤にしている国会議員・島村センセイの公設秘書で、明晰な頭脳を買われ、公務のかたわら、警察に協力して幾多の事件を解決する。『少佐』と仇名されている。
●三輪明菜……無表情だったが、恋に目覚めて表情の特訓中。眼鏡美人。佐伯の婚約者。長野県月ノ輪村役場職員。事件では佐伯のサポート役で、眼鏡美人である。
【事件関係者】
●島村代議士……佐伯の上司で建設大臣、衆議院議員。センセイと呼ばれている。本事件の依頼者だ。
●岸本会長……某財団会長。島村センセイの学友。中軽井沢に広大な別荘を構えている。
●安田次官……建設省官僚。グラマラスな美女。
●水野秘書官……国務大臣秘書官。極秘文書を盗んで失踪したとされる。
5月号はここまで。
6月号は7月初旬に……。
皆様のご高覧に感謝いたします。