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自作小説倶楽部 第18冊/2019年上半期(第103-108集)  作者: 自作小説倶楽部
第105集(2019年3月)/「蝶々」&「編み物」
14/26

03 E.Grey 著  編み物 『極秘文書の件 3 公設秘書・少佐』

   //粗筋//


 公設秘書佐伯祐が、リムージンで、長野県月ノ輪村役場にやってきた。そこに努める助手で婚約者の三輪明菜を無迎えにきたのだ。リムージンが向かった先は、某財団の別荘だった。重大事件があったようだ。

挿絵(By みてみん)

挿図/Ⓒ 奄美剣星 「ロールスロイス」



     3 編み物


 佐伯は、問題の公用車ロールスロイスを検分した。

 バールでこじ開けた様子とかはない。ただ、毛糸の編み物が後部座席にあった。

「やっだあ、センセイったらあ、銀座のママを乗せたんだわ。これはきっと、ママがセンセイのために、手袋かマフラーを編みかけたものよ」

 佐伯は苦笑すると、「そのことはさておき」と私のコメントには答えず、後ろを振り返って、グラマエラスな美女に訊いた。

(何さ、フン)

 失踪した建設大臣秘書官の水野ってどんな奴でしたか?」

 公用車まで案内したのは、グラマラスな美女である建設省官僚・安田次官だ。コホンと咳払いをした。

「極秘文書を盗んで、仮想敵国ソヴィエトに売り渡すなんてとても思えない、真面目な人でしたよ」

「極秘文書を盗まれたとき、運転手は?」

「ちょうど、化粧室に行って外していたときでした」

「センセイは?」

「島村大臣は、建設省の大臣室に行っていたところです」

 つまるところ、そこがポイントだ。大臣と運転手がいなくなった。その隙をついて、大臣秘書官は文書を奪って逃げたわけだ。

 佐伯は腕を組んで考え込んだ。

「日本の華族制度は戦後すぐに廃止されたが、官僚の中には数代に渡って世襲している、一種の貴族家系がある。水野もそうだ。東大を上位で卒業し、大臣秘書官の職を得、いずれは自身が立候補してもおかしくない。そんな水野が、現在の身分と将来を捨てて、極秘文書を奪い、ソヴィエトに逃げ込む? よほどの見返りがあるはずだ」

 ソヴィエトに亡命……。何をするのだろう? いや、男の考えそうなことは決まっている。カスピ海に臨む豪邸とロシア美女を与えられ、ハーレムにするのだろう。

 佐伯は、編み物をハンカチに包んで、内ポケットに突っ込んだ。

 巨乳の安田次官が前かがみになった。ブラウスなので、胸の谷間こそ見えないが、両の乳房がブランとなった。

(佐伯の気をひこうってわけだな、変態女!)         

          つづく

  //登場人物//


【主要登場人物】

佐伯祐(さえき・ゆう)……身長180センチ、黒縁眼鏡をかけた、黒スーツの男。東京に住む長野県を選挙地盤にしている国会議員・島村センセイの公設秘書で、明晰な頭脳を買われ、公務のかたわら、警察に協力して幾多の事件を解決する。『少佐』と仇名されている。

三輪明菜(みわ・あきな)……無表情だったが、恋に目覚めて表情の特訓中。眼鏡美人。佐伯の婚約者。長野県月ノ輪村役場職員。事件では佐伯のサポート役で、眼鏡美人である。


【事件関係者】

●島村代議士……佐伯の上司で建設大臣、衆議院議員。センセイと呼ばれている。本事件の依頼者だ。

●岸本会長……某財団会長。島村センセイの学友。中軽井沢に広大な別荘を構えている。

●安田次官……建設省官僚。グラマラスな美女。

●水野秘書官……国務大臣秘書官。

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