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第4回ゲスト 留め具界の伝説・洗濯バサミさん

菊木: 皆さんこんばんは。菊木萬太郎です。今宵も、本来なら話を聞くことが出来ない方々に、この菊木萬太郎が……


観客:NEHORI! HAHORI!


菊木: 聞いていきたいと思います。ではゲストを紹介いたしましょう。本来の用途のみならず、日常の様々なシーンで大活躍! 我々の生活を影から支えてくれる留め具界の伝説、洗濯バサミさんです!


洗濯バサミ(以降は洗濯): あ、どうも洗濯バサミです。えー、本日はよろしくお願いします。


菊木: 洗濯バサミさん、お待ちしておりました。


洗濯: ありがとうございます。


菊木: いやぁ、私はもう毎日のようにですね、あのー、洗濯バサミさんにはお世話になっていますから、今日は本当に嬉しいですよ。


洗濯: ……あ、それはなによりで。


菊木: ……はい。えー、それでは根掘り葉掘りと伺っていきたいんですけど、よろしいですか?


洗濯: …………えぇ、お願いします。


菊木: あの、どうかしました?


洗濯: はい?


菊木: いえその、何か気になることでもあり……ましたか?


洗濯: まぁ大した事じゃないんで……


菊木: いやいや、おっしゃってくださいよ! これから根掘り葉掘りとやっていくわけですから、引っかかるようなことは、先に取り除いておきませんと……


洗濯: そう……ですか? じゃあ、あの、質問が一つあるんですけど、いいですか?


菊木: もちろんですよ!


洗濯: これ、順番はどうにかならなかったんですかね?


菊木: 順番ですか? 何の順番でしょうか?


洗濯: なんのって、インタビューの順番……


菊木: …………(笑)


洗濯: いや、手で顔を覆ってますけど、肩が揺れている時点で笑ってるのはバレてるんですよ(笑)。


菊木: 笑うなんてとんでもないですよ! それにしても、そのインタビューの順番がどうかしましたか?


洗濯: まぁ僕もですね、始めは気にはならなかったんですよ。先程ね、前室のほうで、前回ゲストの江戸時代さんのインタビューを楽しく見ていたんですけど、そのインタビュー終わりに次回の予告用の撮影をしてましたよね?


菊木: はい、してましたね。


洗濯: その時に菊木さんが言った「現代日本文化の礎・江戸時代さんのお次は、留め具界の伝説・洗濯バサミさんです!」という言葉で、あぁこれマズイなと思って(笑)。


菊木: マズイことないですよ!


洗濯: いやマズイですよ! というか菊木さんたち番組の制作サイドもマズイことになりますよ?


菊木: えっ? どうマズイんですか?


洗濯: いや、江戸時代インタビュー後の洗濯バサミインタビューを誰が見るんですか?


菊木: (笑)


洗濯: 笑える立場じゃないでしょ! 菊木さん、ちょっと菊木さん(笑)。


菊木: 違います、違います! 洗濯バサミさんの今の言葉で、ちょっと昔の事を思い出しまして……


洗濯: 昔? どういうことですか?


菊木: 私も似たような経験をしてまして。


洗濯: どんな経験なんですか?


菊木: 高校の入学式の時なんですけどね。入学式を終えて、教室に戻って自己紹介が始まるわけですよ。あの、その場で立って、名前とか出身校とか言うやつですよ。


洗濯: すみません、洗濯バサミはまず高校に行か……


菊木: そうでした、すみません。とにかくそういう簡単な自己紹介がありまして。それで出席番号という番号順に言っていくんですけど、私の前の奴がとんでもないイケメンだったんです。


洗濯: (笑)


菊木: もうですね、座ってるだけで女子がザワついているんですよ。そのザワつきにイケメンが辺りを少し見ただけで更にザワついて。ですからもう立ち上がって自己紹介が始まったらもう……なんとなくお分かりいただけますでしょうか(笑)。


洗濯: さすがにわかります(笑)。


菊木: いやもうですね、そのイケメンのザワつきが収まらないうちに私が立ち上がって自己紹介するんですけど、女子は誰も聞いてないんですよ。早く休み時間にならないかなってキャッキャキャッキャ楽しそうにしているんですよ。うん、最悪ですよね(笑)。


洗濯: (大笑)


菊木: その後、班単位で行動するんですけど、隣に座ってた女子が開口一番、僕に言いましたからね? あれ、名前なんだっけって。さっき言ったばっかりだけどね! という言葉を堪えてもう一度名前を教える私でしたよ(笑)。


洗濯: でもね菊木さん。だったら尚の事インタビュー順番を変えてもらわないと。


菊木: (笑)


洗濯: その悲しみを知っているなら変えてくださいよ!


菊木: しかしですよ洗濯バサミさん! もう洗濯バサミさんと私がタッグを組んだら、最強タッグですよ?


洗濯: 悲しみ2つが肩組んだところでね、最強もなにもないんですよ(笑)。


菊木: (笑)


洗濯: もうインタビュー進めていきましょうよ(笑)。


菊木: そうですね(笑)。進めていきましょうか! えー、それでは……


洗濯: はい。


菊木: まず洗濯バサミさんはこれ、材質はプラスチックということでいいんでしょうか?


洗濯: プラ……スチックで構わないですかね。一応、プラスチックのポリプロピレンという種類です。


菊木: ポロプロピレン製ということですか?


洗濯: はい、そうです。


菊木: 確かポロプロピレンというのは紫外線に弱かった気がするんですが……


洗濯: あっ、ご存知でしたか。そうなんですよ、紫外線には弱いんですよね。


菊木: ということはですよ、仕事場といいますか現場というのは、洗濯バサミさんにとって過酷な環境になりますよね?


洗濯: そうなんですよ。あのー、まぁ、毎日のように日光を浴びながらの仕事、というのは聞こえは良いですけれども、紫外線を浴び続けるということになるんですよ。また、仕事が終わった後もですね、ベランダなどの現場で乱雑に放置され続けることも多いので非常に過酷ですね。劣化しやすくなってしまうんですよ。


菊木: しかもあれですね、放置されてしまうということは、雨風にもさらされてしまう……


洗濯: そうなんですよ。雨も僕らの劣化を早めてしまいますからね。


菊木: やはり使用後は、フタ付きの箱などで保管するのが理想的なんですね。


洗濯: はい。そうしてもらえると、僕らも長く皆さんのお役に立てるかと思います。


菊木: なるほど。えー、少し話が変わりますけれども、「洗濯バサミ」と一口に言っても様々な形があるわけですが、名称などはあるんでしょうか?


洗濯: もちろんあります。ただ、メーカーによってかなり違いがありますけど。


菊木: ちなみに洗濯バサミさんは?


洗濯: 僕は皆さんの予想通りA型です(笑)。


菊木: あっ、やはりA型という名称なんですね! もう形からしてアルファベットのAに似てますからねぇ! あの、物干し竿にバスタオルなどをかける際に使用する、少し大きな洗濯バサミがありますよね? あれは…… 


洗濯: クワ型といいます(笑)。


菊木: なるほどクワ型! 確かに似てますねクワガタに!


洗濯: えぇ、トンチが効いたネーミングで。名付けた担当者さんのユーモアですよね。


菊木: ではあの、クワ型のはさむ部分が二股に別れて、よりしっかり挟み込むことが出来るタイプは何というんでしょうか?


洗濯: あれはあのー、ダブル……型です。


菊木: おっ、ダブル型ですか。


洗濯: ……はい。


菊木: これは、担当者の方のトンチ切れですか?


洗濯: いえ、あの……


菊木: 担当者の方が変わったとか?


洗濯: いや、変わってない……


菊木: 上司の方が……


洗濯: クワ型がピークだったということでいいでしょ!


菊木: (笑)


洗濯: そうそう面白い名前なんて出てきませんよ。クワ型が奇跡だったんですよ。


菊木: あー、やっぱり昆虫の神秘ってものはすごいんですねぇ……


洗濯: いや昆虫が直接‥


菊木: 関係があるわけじゃないですね! えー、まぁ洗濯バサミという名前からしてそうなんですが、洗濯物を挟んで固定するために作られたわけですよね? ただ、冒頭のご紹介の時にもいいましたように、それ以外の様々なシーンでも使用されていますが、このことについてはどう感じていらっしゃいますか?


洗濯: まぁ実際、僕は洗濯物の現場から離れて仕事をしてまして。


菊木: そうだったんですか! ちなみに現在は……


洗濯: ちょっと前までは草加煎餅の袋を挟んでました。


菊木: そうか、煎餅の袋……違います! 違いますよ!


洗濯: いや、まだ何も言ってないですけど(笑)。


菊木: 本当に違うんです! 草加煎餅でダジャレを言ったわけじゃないです!


洗濯: わかりましたよ(笑)。


菊木: 私のダジャレはそんなものではないですから! そんな安易なダジャレは言いま‥


洗濯: わかりましたよ! わかりました!


菊木: 本当ですね!? 本当にわかっていただけたんですね! あー良かった。


洗濯: インタビューを進めてもらってもよろしいですか?


菊木: あっ、申し訳ありません! えーそれでは、今ですね、煎餅の袋を閉じるという用途が出ましたが、他に少し例を挙げて見ますと……接着剤を使用した後の圧着の時、食パンの袋の口を閉じる時、複数本のコードをまとめる時、ゲストの資料をまとめる時、カーテンやレースを端でまとめる時……


洗濯: 明らかにご自宅での菊木さんの洗濯バサミ使用方法ですよね?


菊木: わかります?


洗濯: ゲストの資料をまとめる時で大体の人がわかりますよ! というか今回はゲストの資料をゲストでまとめちゃってるじゃないですか(笑)。


菊木: (笑)


洗濯: 何がそんなに楽しいんですか(笑)。


菊木: いえあの、それで、どうですか? 洗濯バサミの本来とは違った使われ方については?


洗濯: うーん、もちろん、少しこう、複雑なところもありますけどね。やはり、洗濯物を固定するために作られたわけですから。ただ、僕らが必要とされているという事実や、実際に皆さんのお役に立てているということは、素直に嬉しいですね。


菊木: ただ、水中での作業は大変なんじゃないですか?


洗濯: 水中……ですか?


菊木: はい、水中での作業……


洗濯: …………フッ(笑)。シンクロで使っているのは僕らじゃないですよ!


菊木: えっ!?


洗濯: ちょっと待って下さいよ、本当に驚いてるじゃないですか(笑)。


菊木: 違うんですか!?


洗濯: 違いますよ! あれはノーズクリップと言って、専用に作られてるんですから。


菊木: 本当に違うんですねぇ……あっ、ノーズ、鼻で思い出しましたけど、鼻を高くする時に! ねぇ!


洗濯: いや「ねぇ!」と言われましても(笑)。


菊木: よく耳にしますよ? 低い鼻でバカにされるから、鼻を高くしようと洗濯バサミで挟むという話。鼻を高く変えたいというやつで。


洗濯: あー、僕もそんなような話を聞きますけどね、鼻を高く変えるんじゃなく、低い鼻だと言って人をバカにする人たちの意識を変えるべきですよ。


菊木: 洗濯バサミさん…………


洗濯: 人それぞれ、そしてモノぞれぞれに良さがあるわけですよ。自分と違うからといってバカにして見下すというのはおかしいですよ、やっぱり。

 それに僕らも本来の用途とは違う使われ方をされる時もありますが、いつだって僕らは「自分らしさ」を失ったことはありませんよ。


菊木: 確かに洗濯バサミさんの仰る通りかもしれませんね。


洗濯: あと、つまらないダジャレしか言えないようなインタビュアーはどんどん変えていくべきだと思いますよ。


菊木: 洗濯バサミさん…………(笑)


洗濯: なんですか?


菊木: 渾身のダジャレを聞いてから判断してくださいよ!


洗濯: わかりました。じゃどうぞ。


菊木: 冬のある日、洗濯バサミが言った。「冬の洗濯場さみー」。


洗濯: こういう事はですね、早急に手を打つべきだと思いますね! 実行あるのみ。


菊木: いや、あのですね(笑)。


洗濯: 時は来た! 今しかない! こう言っておきましょう(笑)。


菊木: さぁ、そんな鼻つまみ者の洗濯バサミさんですが……


洗濯: 誰が鼻つまみ者なんだよ! 鼻をつまんでやってんだコッチは!


菊木: いやいや、でもですよ洗濯バサミさん。やはりこう自分に無いものを持っている人を羨ましく思ったり、憧れたりするものですよ。


洗濯: そりゃそうですけど。


菊木: よく言うじゃないですか、隣の芝生は青いって。


洗濯: 芝生? あぁ、芝生ですか…………


菊木: あれ、どうされました?


洗濯: いえね、いま私が働いている現場が、まぁ集合住宅でしてね? まだ洗濯物を挟ませて頂いている時は同僚と一緒に働いていたわけですよ。ベランダで。


菊木: 同僚の方ですか。ということは角型ハンガーの一員だったんですか?


洗濯: えぇ。同僚たちと一緒にタオルなどを挟んで干してました。風に揺られ、洗剤や柔軟剤の華やかな香りに包まれ、同僚も僕も活気に満ちていました。


菊木: いいですねぇ、爽やかな情景が目に浮かんできますよ。


洗濯: 遠くには同じような集合住宅が見え、豊かに生い茂った木々たちは人々が行く道を見守り、駐車場の車の下では猫がまどろみ、静かで穏やかな景色が広がっていました。ただ……


菊木: ただ?


洗濯: 眼下に広がるは終焉(しゅうえん)の地、芝生。


菊木: はい?


洗濯: 僕の働く集合住宅はですね、ベランダ側の方に芝生のエリアがあるんですよ。各棟ごとにね。


菊木: はい、わかりますよ。庭じゃないですけど、それなりの広さがあって。でも何故その芝生のエリアが‥


洗濯: 終焉の地と呼ばれているかですか? 簡単な話です。僕らの仲間が無数に落ちているんですよ、その芝生エリアに。


菊木: …………


洗濯: 洗濯物を干していて、ちょっと手を滑らせた拍子に、時には強い風が吹いて洗濯物が煽られた拍子に、僕ら洗濯バサミはいとも簡単に芝生エリアに真っ逆さま。


菊木: …………


洗濯: 洗濯物が落ちたときや、取り込む時に一枚服が足りない。そんな時、人はベランダから下を覗き込み、必死になって探します。そして近くに落ちていた時には拾いに行きます。ただ、僕ら洗濯バサミは拾われない。

 色形が似ている僕らです。いま芝生の上に落ちている洗濯バサミが自分の家の物なのか、他の家の人の物なのか、見分けられないんですよ。もし拾った洗濯ばさみが他所の家のものだったら、今まで他の人のタオルや服を挟んでいたとしたら……


菊木: 関節バサミになっちゃいますもんね?


洗濯: フッ、いやあの、真面目な話が出来ないんですか(笑)?


菊木: (笑)


洗濯: 菊木さん(笑)。 真面目な話を、出来ないんですかって、聞いてるんですよ、僕は(笑)。辛辣(しんらつ)な表情で「関節バサミになっちゃいますよね」じゃないんですよ(笑)。


菊木: すみません洗濯バサミさん、今のはボ、ボケてません……(笑)


洗濯: (笑)


菊木: なにか、本当に、すみません。「気持ち悪い」という表現を避けたかったんですけど、瞬間的に出せたのが関節バサミということでして(笑)。


洗濯: いえいえ、そういうことでしたらもう、何の問題もありませんよ(笑)。いや、やっぱり瞬間的とはいえ、関節バサミは……ヒドイですね(笑)。


菊木: いやぁ、洗濯バサミさんの芝生の話が、あまりに悲しみ溢れるものだったので、もう言葉が出てきませんで……


洗濯: まぁ、洗濯バサミもですね、いろいろと大変なんですよ。そうそう、ジャーニーマンもいますからね。


菊木: ジャーニーマン。旅人なんかの意味ですが……あっ、もしかしてスポーツで使われるような意味ですか?


洗濯: 鋭いときもあるんですね(笑)。


菊木: いやぁスポーツよく見るんで(笑)。移籍が多い選手のことをよくジャーニーマンと言いますから、元の角型ハンガーから他の角型ハンガーへということですか?


洗濯: そうなんですよ。元の角形ハンガー自体が壊れてしまうことがあって、そうなると、その角型ハンガーについていた洗濯バサミは言ってみればFA、フリーエージェントになるわけです。ただ移籍先は自分で決められないですから歯がゆいですよ。


菊木: なるほど、他の角型ハンガーに移籍なのか、それともピンでやっていくのか、ということですね?


洗濯: あと、洗濯物以外を挟むようになるのか、ということもあります。


菊木: そうでした。もしかしたら、洗濯バサミさんもそういった経緯で?


洗濯: そうです。二回ほど角型ハンガーに籍を置きまして、その後しばらくはピンでやってまして。風の強い日にですね、普通のハンガーにかけられているシャツがズレないようにと使われましてね。その後、ハンガーごと取り込まれまして、家の中でハンガーから落ちて、気がつけばお菓子類の袋を挟んでました。


菊木: いやぁ、そうだったんですね! そういえば、ポリプロピレン製の洗濯バサミさんより、丈夫な洗濯バサミがあるとか?


菊木: はい、僕らポリプロピレン製より丈夫な洗濯バサミはあります。


菊木: それは何製の洗濯バサミなんでしょう?


洗濯: 皆さんも見たことがあるかと思いますが、オールステンレス製の洗濯バサミです。


菊木: ステンレスですか!


洗濯: はい。もう名前の通りですね、サビにも強いですし、頑丈なので、経年劣化で使用中に洗濯バサミが砕け散ることはないです。


菊木: なるほど。ですが、お値段的には……


洗濯: 当然、僕らポリプロピレンより高くなってしまいます。大体3倍から5倍の値段になってしまいますかね。


菊木: 結構なお値段になってしまうんですね……


洗濯: ただですね、紫外線に強くポリプロピレン製より丈夫で、ステンレス製のものよりリーズナブルな洗濯バサミもあります。


菊木: そうなんですか! それは何製なんですか?


洗濯: ポリカーボネート製の洗濯バサミです。


菊木: ポリカーボネートですか! 私、釣りをやるんですが、ルアーにも使用されている丈夫なプラスチックの一種ですよね。


洗濯: すみません、釣りをしたことがないので(笑)。


菊木: あ、そうですよね、すみません(笑)。ただ、ポリカーボネート製なら確かに丈夫ですね。


洗濯: まぁ、それぞれのメリット・デメリットを考慮して購入して頂けたらと思います。


菊木: えー、それではですね、本日は洗濯バサミさんに色々とお話を伺ってきたわけ…………


洗濯: どうしました?


菊木: あっ、すみません! 忘れていました! 洗濯バサミをですね、いかがわしい事に使用している方々へ対してですね、何かありましたらどうぞ。


洗濯: あぁ、えーっと。あのー、罰ゲームとかで洗濯バサミを耳とか唇につけて引っ張るなんてことをしてる方がいますがやめてください。唇を挟まなきゃいけないコッチの身にもなってください。気持ちの悪い。


菊木: いや、洗濯バサミさん! そうではなく!


洗濯: えっ? あぁ! あのー、怪我しますのでやめてください! 耳や唇などが切れてしまう可能性がありますので、絶対にやめて下さい! あと詳細は省きますが、もうですね、変な使い方はやめて下さい!


菊木: 詳細を省いていただきありがとうございます。省いていただかないことには、もうアレなんで。さて、洗濯バサミさん(笑)。


洗濯: はい(笑)。


菊木: 今回、インタビューをしてきたわけですが、最後にお聞きします。


洗濯: はい、なんでしょう?


菊木: 洗濯バサミ道とは?


洗濯: そんなもん無いですよ(笑)。


菊木: いや、洗濯バサミさん! 洗濯バサミさん、そこをなんとか!


洗濯: そこをなんとかで語れる「道」なんて僕は行きませんよ(笑)。


菊木: いやぁ……それが洗濯バサミ道ですかぁ!


洗濯: 無いって言ってんだろ(笑)。


菊木: (笑)。


洗濯: まったくもう。じゃあ僕が仕事をしている時に気をつけていることをお教えしますよ。


菊木: 是非お願いします!


洗濯: 洗濯バサミという名前から、とにかくモノを挟むと思われがちですが、僕らとしては挟んでいるつもりはありません。つまんでいるというつもりもありません。我々は寄り添っているのです。

 洗濯物が飛んでいかないよう、袋の封が開かぬよう、それがそれでいられるように、あるがままの姿でいられるように、僕ら洗濯バサミはこれからも、支え、寄り添っていきたいと思います。

 とまぁ、こんな感じですが、いいでしょうか?


菊木: いやー、とても深みのあるお言葉、ありがとうございます。


洗濯: いえいえ、とんでもないです。


菊木: それでは、本日のインタビューも終了のお時間のようです。では改めましてご紹介しましょう。本来の用途のみならず、日常の様々なシーンで大活躍! 我々の生活を影から支えてくれる留め具界の伝説、洗濯バサミさんでした!


洗濯: どうも、ありがとうございました!


菊木: さて番組をご覧の皆さん、次回はこの菊木萬太郎がアナタの事を!


観客: 『NEHORI!』 『HAHORI!』


菊木: 聞いちゃうかもしれませんよ。それではまた次回、ごきげんよう! さよなら!

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