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気まま渡り人の軌跡〜金髪美少女と異世界生活〜  作者: メディポ
邂逅とこれから
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新しい名前

今回もよろしくお願いします。


 誘導されるままソファーに腰掛けると、隣にアリシアさんがやってきた。


 俺が驚いていると、彼女はこちらを向きニコっと笑顔を返してくる。

 ずっと見ていたい気持ちになったが、正面からの視線が痛かったので仕方なく前を向くことに。


「さて、アリシアから話は聞いた。渡り人なんだってな?いつこっちに来たんだ?」

「大体半日くらい前ですかね」


 外にいたときは暗くなかったが、日が傾いていたのでもう暗くなってきている頃だろう。


「そうか。まぁ、お前みたいな小僧があの『ルークの森』で生活出来るとは思えんしな。ガハハハハ」


 俺に対してトゲのある言い方をしてくるな…。


「お、と、う、さ、ま?」


 ジト目で見つめる彼女。


「ふ、ふむ。では本題に入る前に自己紹介をしよう」


 そういって俺の方を向く。これは俺からした方がいいよな。


「俺は——」

「ああ、待て待て。訳は後で話すがお前は名前を明かさなくていい。」


 早速自己紹介をしようとしたところで止められてしまう。自己紹介をするって言ったのはそっちだろ…。


「では改めて」


 彼がコホンと咳払いをすると、一瞬にして場の空気が変わった。それは俺を襲って来た時とは違う威圧感。


「私は、カルスニア王国十一代目国王、カルザス・ホーン・カルスニアだ」


 薄々気付いていたが王様らしい。王としての威厳というか風格を感じる。


「その娘、アリシア・ホーンカルスニアと申しますっ」


 対照的に、笑顔で微笑みかけてくる彼女。天真爛漫と言う言葉が当てはまりそうだ。


「それでなんだが…お前さん、これからどうするんだ?」

「はい?どうする、とは?」


 質問の意図が分からなかった。てっきり名前の件を話してくれると思っていたんだが…。


「これから先、行く当てがあるのかと聞いているんだ。噂によると渡り人は使命を負っている、みたいなことを話す奴もいるみたいだが…」

「いえ、特には無いですが…」

「特にない?お前さん、冷静に落ち着いているからその口だと思ったんだが…まぁいい」


 使命を持った渡り人?そんな人いるのか。…待てよ、その使命がもし魔王討伐だとして、他の奴が魔王を倒してしまったらどうなるんだ?…やはり情報が少なすぎるな。一回その渡り人に会って話したい。


「お前さん、ここに仕えてみないか?」

「え?」


 予想の斜め上を行き過ぎて間抜けな声を出してしまった。この城に仕える…?


 それって…どうなんだ?この人は国王みたいだし、城の敷地も中々に広い。そこそこの規模の国なのかな?そうすると国の為と言われて強制的に働かされたり、一流の執事になるために様々なことを教育されたりしないかな…。


「まぁ今すぐというわけじゃなく、学園に通ってもらうがな」

「学園…ですか」


 やはり、こちらでも勉強しなくてはいけないのか。うーん、新しい事を覚えたり人付き合いとか面倒なんだよな…。だったら冒険者でも十分か…?




「因みにアリシアと同じ学園なんだがな…」

「通わせて下さい‼‼」


 即答だった。


 アリシアさんと同じ学び舎?最高じゃないか!こんな美少女と学園生活を送れるなら、勉強なんて苦じゃない。寧ろ、情報を手に入れるためにはその方がいいんじゃないか?うん。


「渡り人様!これで私たちも同級生ですね!」


 アリシアさんも嬉しかったのか、テンション高めに微笑んでくる。


「よしよし、この問題は解決だな。ではお前さんの名前について話すとするか」

「まずな、渡り人というのはお前さん以外にも数名確認されている。実際、この国にも居たという記録が残っていてな?その者たちはみな、驚異的な力を持っていたとされる。そんな渡り人の力を一つの国が独占するのは不味いと、複数の国で渡り人を管理しようという組織が創られたのだ。まぁ我が国に現れたのは何代も前の国王の時だったので今は加盟していないんだが…なんにせよ、渡り人は発見され次第その組織に保護という形で送られるようになったのだ。」

「え…そうすると俺が学園に通うのは不味いんじゃ?」


 学園内に内通者がいるいないは置いといて、渡り人となったら騒ぎぐらいは起きるだろう。そしたらいずれはその組織にも情報が伝わってしまうんじゃないか?


「そうだな、だから渡り人だという事を伏せながら学園に通ってもらうことになる」


 なるほど。…隠し通せるかな、俺。


「それは名前の件とどのような関係があるのですか?」

「お前さんが渡り人だと知っているのは極力少ない方がいいだろう?名前は一番ぼろが出やすいからな」

「そうですね」

「では私は何とお呼びすればよいのですか?」


 アリシアさんが尋ねてくる。確か彼女には教えようとしたところで邪魔が入ったんだよな。


「そうだな、こちらでの名前を決めなきゃな。…メディ、なんてどうだ?」


 ニヤニヤと何か企んでいそうな顔で提案してくる。視線は俺ではなく、隣にいるアリシアさんに向けられている。


「お、お父様…。それは流石に…」


 彼女は名前を聞くなり顔を真っ赤にして慌てだした。

 何だ何だ?この慌てぶり…まさか、婚約者の名前…もしくは初恋の相手の名前とかか!?!?


 …多分、そんな意地の悪いことはしないよな?


「どうだ、お前さん?こっちではメディと名乗らないか?」


 確認といった感じで問いかけてくる。アリシアさんはあまり乗り気じゃ無いみたいだが…


 メディ、メディ…。うん、あまり抵抗はないな。


「わかりました。今日からメディと名乗ります」

「……渡り人様が決めたのなら分かりました」


 アリシアさんも認めてくれたみたいだ。


 こうして俺は、こちらの世界で『メディ』と名乗ることになったのだった。


「ふむ、これで重要な事は片付いたな。…話を聞くにお前さんはアリシアの恩人だ。私は父親としてその恩を返す義務がある。だからと言ってアリシアに変なことをしたら…わかってるな?」

「は、はい」


 そうか、俺は一応アリシアさんの恩人という事になるのか。一国の姫を救ったんだからもうちょっと望んでもよかったかな…?


 いや、別に報酬が欲しくて助けた訳じゃない。感謝もしてくれているし、これからの事も手配して貰えるんだ。初日としては、生活の基盤を手に入れることが出来たので十分すぎるんじゃないか?


「それでは部屋に案内しよう。私はまだやることがあるのでな、誰か——」

「私が案内いたします!」


 アリシアさんが元気よく手を挙げた。


「そうか?なら頼んだぞ」

「はいっ!」


 今日は大変な目に遭っただろうに、不思議と疲れた様子を見せない彼女。


 それに関心しつつ、客間を後にしたのだった。


拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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