歓迎会
何年かぶりの更新です。
歓迎会もクラブ紹介が終了したところで、各々が入りたいクラブについて話している。
かく言う俺たちも気になるクラブについて意見を交わしていた。
俺は護衛対象であるアリシアと一緒に行動する必要があるため、確認してみた。
「アリシアさんは何か入りたいクラブあった?」
「そうですね、私としては魔術研究クラブが気になりますね」
自分の得意分野を更に成長させたいということだろう。派手なものから日常的に活用したいと思える魔術を紹介していた魔術研究クラブに興味を持ったようだ。
俺としても使える魔術の幅を広げるために、様々な経験をしておくことは賛成だ。ましてや同年代の彼らがどの程度の魔術を使えるのか俺は知らないのだ。
なんていったって基礎がさっぱりな状態で禁書庫に魔術や魔法に手を出してしまっており、人には言えない魔術ばかり使えるようになっている。
「ですが、所属されている人数もかなりいらっしゃるようですし、私が入ってしまうと要らぬ混乱を招いてしまわないか…」
確かにその懸念もある。クラブは所属クラス関係なく誰でも所属出来る事となっている。
多数あるクラブの中でも、魔術研究クラブは学年問わずS~Fクラスの生徒が大勢所属していると説明があった。
その分、研究スペースは確保されているとも言っていたが、王女であるアリシアが入部してしまうと影響は計り知れないだろう。
「アリシア様の懸念通りになるかと、私も考えますね」
彼女の考えに同調する形でクラーも意見を挟んできた。
「そう。メディ君はどう思いますか?」
アリシアはクラーの意見など耳に入っていないと言わんばかりに俺へ意見を聞いてくる。
「自分としてはアリシアがやりたければ良いと思うよ。何か問題があれば俺がなんとかするし」
「メディ君…!」
その答えを期待していた様で、パッと笑顔を咲かせる。やはり可愛い。この笑顔の為ならドラゴンだろうか帝国だろうが蹴散らせる気がする。というか蹴散らす。
「では、魔術研究クラブに所属されるので?」
「いえ、即決はしません。一度見学してからでも遅くないでしょう」
この場ですぐに決めるということはせず、見学でクラブの様子を確認する。という事らしい。
アリシアが所属すると噂になれば、元々入る予定のなかった者たちまで引き連れてしまう可能性がある。
ただでさえ所属者が多いクラブへ更に増やしてしまう行為は、あまり好ましくないのは確かだ。
「既に魔術はお手の物のアリシアさんが所属しても、意味がないかもしれないね」
「ふふ、そんなことはありませんよ。皆さんと交流する事で得られる物も多いです」
魔術適性がA 且つ、城での勉強も欠かさなかったアリシアは、魔術に関する初歩的な知識は身に着けており、自分流に成長させていく段階にいる。
所属したことで逆に教える立場に回ってしまい、自分の成長に時間を使えない。なんてこともあるかもしれない。それを見極めるべく、一度は見学した方が良いとの判断だろう。
アリシアの言う通り、他者との交流で異なる視点、考え方など得られる物があるのも間違いない。彼女が決めた事であれば俺が口出しする内容でもないだろう。
「そういうクラーは入りたいクラブがあるのか?」
「僕かい?僕としては先日まで剣術クラブと決めていたけど、魔術…魔力量に関して改めて考え直さなければならなくなったから難しいね」
先日まで。と意味ありげに言うのは手に入れた魔剣を考えての事だろう。ダンジョンで発見した魔剣に魔力を吸い取られ、魔力欠乏症に陥り倒れてしまったのは記憶に新しい。
「現状アレを使うにはクラーの魔力量だと厳しいかもな。本人に直接聞いてみるのも手じゃないか?」
「そうだね。魔力量に課題はあるとしても、基礎となる剣術を疎かにしたくはないと思っているよ」
次は勝つためにね。とアイコンタクトで伝えてくるクラー。いや、勘弁してくれ。
思い出されるは入学試験時の模擬戦。
あの時は身体強化魔術に物を言わせ、ゴリ押しで勝ったに過ぎない。純粋な剣術では勝負にならないと考えている身としては当分の間、辞退したい所存だ。
あの後、全身筋肉痛になって大変だったんだからな…。
そんな雑談をしていると、視界の隅で登壇してく人影が見えた。あれは、コンス先輩かな?
「皆、クラブ紹介は如何だったかな?所属に関して強制はしていない為、興味のあるクラブを覗いて見ると良い」
アリシアが考えていた様に、即決するのではなく体験して見ることを推奨している様だ。
周りでは複数のクラブに興味を持っていた生徒たちが安心している。
「ここで2点、指導部より連絡事項がある」
コンス先輩は連絡事項を続けた。会場の照明が消され壇上にプロジェクターで映したような映像が展開される。あれも魔法だろうか?
「1点は今後の学園行事についてだ」
映像が切り替わり日程表が表示された。4月から来年の3月まで月毎に行事予定が記載されている。
この世界の暦はなんと日本と同じであった。異世界なのに元々と同じ暦なのは少し不思議に思ったが、新しく覚える必要が無いという点で好都合な為、深く考えない様にした。
ちなみにだがこのカルスニア王国には四季が存在していると教えられた。この世界がどうなっているのか分かっていないが、精霊や大気の魔力の流れが関係しているとの事。この辺りは学園で習う内容になるため、城での勉強では概要のみ教えられた形となっている。
「先日入学したばかりの諸君はまだ説明されていないだろうが__」
コンス先輩によると、新入生が学園に慣れた頃にはランキング戦というシステムがある様だ。
模擬戦の結果を個人とチームのそれぞれで順位にしたものらしく、学年問わずの成績となるため、上位者にはそれなりの特権が与えられる。
それは寮で広い部屋を使用出来たり食堂のスペシャルメニューを味わえる等、学園生活を豊かにする施設の優先利用権であった。
少し良いなと感じていると、注意事項として学園外にも上位者が公表されるらしく、あまり目立つことをしたくない俺としては進んで参加することはないだろう。と考えそれ以降は話半分で聞き流していた。
その後の紹介ではクラス内での親睦を深める行事として宿泊研修も計画されているらしい。
宿泊研修ではなんと温泉がある場所に泊まれる様だ。露天風呂付きとも言っていたが警備はどうなんだろうか。覗きなどを考える不届き者に対処出来るか心配だな…。
他には中期テストや秋にはお楽しみなイベントがあるとの事であった。
そして2点目。
「Sクラスの諸君なら問題無いと思うが、成績によってはSクラスからの降格もあり得る。他クラスに足元を掬われない様、精進を忘れないように」
というのも過去、学業を怠った生徒がクラス降格となったが、貴族の権力を使い揉み消そうした結果、退学処分まで至った事例がある。
入学時の説明でも口酸っぱく言われたが、この学園では貴族だからといって特別扱いされる訳ではない。流石にアリシアやクラーのレベルで贔屓目が無いと言えば嘘になるが、その立場を悪用すれば罰が下る可能性がある。
貴族というステータスに甘えてきた者にとってはあまり好ましくない風土であり、不満を秘めている者も少なからずいるとは思う。
まぁそういう輩にはランキングで上位に入ってから発言してくれるか?というのがこの学園のスタイルである。
「では、これにて歓迎会は終了とする。まだ歓談したい者はそのまま残っても良し。クラブを見学しに行くなり自由に過ごしてくれ」
降壇していく先輩を見ながら、今外に出るとクラブの勧誘が待ち構えていそうだな。と考えアリシアとの歓談を選択したのであった。
設定に矛盾が出てきていたり後のストーリーに影響しそうなので、設定を練り直しています。
なかなか創作の神様が降臨してくれないので…
反応が良ければすぐ降りてくるかもしれないです。




