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気まま渡り人の軌跡〜金髪美少女と異世界生活〜  作者: メディポ
新たな出会いは難題へと
21/42

合間の出来事

 学園で入学試験をしてから一週間ほど経った。


 その間、俺は禁書庫に入り浸って魔導書を読み漁って魔法の勉強をしていた。

 もちろん鍛練も怠ることなく行っていたがある日、


「基礎の基礎はもう教えた。あとは自分自身で実践とかで学んでいってくれ」


 と言われてしまい、その日から一人で鍛練をすることになってしまった。

 実践ならアンタが一緒にやってくれよと思ったのだが、どうやら本業である冒険者の方の依頼があるそうだ。残念。


 城にいる兵士の人たちと鍛練をやろうと思いお願いしてみたのだが、やんわりと断られてしまった。


 …俺強くなってきたはずなんだけどな。


 気を取り直して、城の庭園で剣を振っていると意外な訪問者が現れた。


「わんわん」(ちゃんとやってるな)


 ポムちゃんだった。

 地面に座りこちらの鍛練を監視しているようだ。


「わん」(続きをどうぞ)


 前にアリシアさんがポムちゃんと普通に話していて驚いたことがあった。

 普通に吠えているだけに聞こえるが、だんだん俺もポムちゃんの言っていることが分かってきたような気がする。


 視界の端で気にはなるが、日課である鍛練をやめるわけにもいかず剣を振り続けた。


 ふっ、ふっ、ふっ、


 鍛練を始めてからどのくらい経ったか、時間を忘れるくらい剣を振っていた。

 すると不意にアドバイスが話しかけてきた。


【アクセスを要求されました。応答しますか?】


 アクセス?なんの事だろう。要求って…誰から?


【光の玉からです】


 光の玉…ああ!俺をこちらの世界に送った謎の光か!

 連絡を取れるようにしてくれるはずだったのだが今まで取れていなかった。


 向こうから連絡をしてきてくれたのは正直嬉しい。

 このあとは確かダムスさんの座学があるからそれに間に合えばいいだろう。


 剣を振るのをやめ、ポムちゃんに挨拶をする。


「ちょっと行ってくるね」


 そういってポムちゃんの頭を撫でた。もふもふしてて気持ちいいな。


「わふ?」


 よくわかっていない様子のポムちゃん。まぁしょうがないか。

 さて、アドバイス。頼むよ。


【承知しました。応答します。……クリア、切り替わります】




 アドバイスが告げると視界が霧のようなモヤに包まれるようにして白くなっていく。そしてふと気がつくとあの光の玉と話していた空間に移動していた。


 この空間は不思議だ。白い空間なのだがちゃんと奥行きがあるのがわかる。


「突然呼んですまないな」


 頭上から光の玉が話しかけてくる。相変わらずふわふわしたままだ。


「いえ、大丈夫です。僕もちょうど時間が空いていたので」

「そうか。あちらでの生活は順調か?」

「はい、お姫様と知り合ったり魔法が使えるようになったりして楽しいです」

「それはよかった。何か危険な目に遭ったりしなかったか?」


 何だか上京した子どもを心配する親みたいだな…。


「そうですね…。あっ、向こうについたとき森にいたんですけどそこにオークマスターが現れたんですよ。あれは危なかったです」


 あの時は転移する準備が出来ていたから良かったものの、戦闘になっていたら間違いなく死んでいただろう。


「ふむ、オークマスターか…。これは予定より…いや、なんでもない。それより何か聞きたいことはないか?前に連絡を取ろうとしてきただろう?」


 急に話題を変えられて戸惑う。なんだっけかな?確かアドバイスが…そうだ、


「アドバイスなんですけど、最近あんまり出て来なくなったような気がするんですが?」


「あぁ、元々アドバイスは最初の頃のナビゲーターとして用意したからな。次第に緊急の時にしか喋らなくなるぞ」


 そんな……。一人の時に他愛もない話で盛り上がっていたのに。


「自分が喋りかけても反応しなくなってしまうんですか?」

「いや、あくまで自発的に喋らなくなるだけだ。まぁ例外もあるみたいなので私にもはっきりしたことは不明だが」

 

 最後は投げやりに答えてくれたが、アドバイスとは今後も付き合っていける事が判明して良かった。これからもアドバイスを使っても問題なさそうだ。


 だがあんまり頼りすぎるのもあれなので時と場合を考えて使おう。…緊急時には勝手に発動するみたいだけどね。


「他に聞きたいことはないか?まだ時間はあるからな。」


「えーと、そういえば貴方とはいつまで連絡がとれるんですか?俺が向こうの世界に行ってから一ヶ月ぐらい経ったとおもうんですけど…」


 光の玉は少しの期間なら連絡を取れるようにしようと言っていたはずだ。一ヶ月は少しの期間を過ぎていると思うのだが…。


「それならもうとっくに過ぎているぞ」

「えっ?!」


 驚愕の事実。ここ一週間ほどは連絡を取ろうとしていなかったから知らなかった…。

 でもこうやって話せているのは何故?


「今回は私が呼んだから特別に、な」


 なるほど、そういうことか。


「そうなるともう話せなくなるんですよね。少し寂しいです」

「基本的にはそうなるが…。まぁたまに覗いたりするから安心しろ。君はやりたいことでも見つけて楽しんでくれ」


 やりたいこと、ねぇ。あ、そういえばこれも聞いておかないと。


「スキルに関してなんですけど、もう一つゲットできたスキルがテクニシャンって名前で、属性が関係無くなると…」

「おぉ、いいスキルじゃないか。属性が関係無くなるというのは全属性持っていると言い換えることが出来るからな。それにしてもスキルの詳細が見れるという事はモンスターを倒したのか?」

「そうですね、オークを何体か…。ですが特異体質の詳細が見れないのですよね…」

「…そうか。スキル自体は発動していると思うが…」


 そういうと光が強く点滅をする。


「む…、またか。すまないがこれで終わりにしよう」


 予定が入ったのだろう。それならば無理に続けるのも申し訳ない。


「そうですか…わかりました。あの、ありがとうございました!楽しく生きれるよう頑張りますね」


「…じゃあな」


 光の玉がそう告げると、来たときと同じように辺りは霧に包まれ視界が白で染まっていく。

 優しい温もりに触れ、自然と目が閉じていく。そして次に目を開いたときには白い空間ではなく俺が鍛錬していた場所、城の庭に立っていた。


「わんわん!」


 ポムちゃんが鳴いてお出迎えしてくれた。心配するように足元に擦り寄ってきたのでわしわしと撫でてあげる。気持ち良さそうに「わふー」と声を上げた。


 どうやら少しの時間しか経っていないようだ。日の位置があまり動いておらず、まだダムスさんの座学まで余裕がある。

 そこで少し昼寝でもしようかと思ったところにまた新たな訪問者が現れた。


「あれ?メディくん、それにポムちゃんも。珍しいですね」


「ん、アリシア。もう稽古事は終わったの?」


「はい!今日はお料理でクッキーを作ったので、後ほどメディくんにも差し上げますね」


「おぉ!楽しみに待ってるよ」


 心の中ではしゃぐ。女の子の手作りを食べれるとかめっちゃ幸せだ…。

 アリシアさんは料理が出来る。今までに何回かお菓子を貰ったがとても美味しかった。


 料理も上手とかやはりアリシアさんは天使なのか…。


 何だか貰ってばかりで申し訳ないな。俺も何か返せるものがあればいいんだけど…。


「アリシアは欲しいものってある?」


「え?そうですね…。特には…ありませんね」


 少し考えるような仕草を見せたものの、簡単には口に出してくれない。


「そう…。じゃあ好きなもの、とかは?」


 好きなものならそれに関係することでアリシアさんが欲しがっているものがわかるかもしれない。単純に好きなものが知りたいってのもあるけどね!


「好きなものですか…?それなら…」


 視線を動かし花壇の方へと歩いていく。そしてしゃがむと咲いていた花に触って「これです」と答えた。


「その花が好きなの?」


「ええ。正確にはアメジスト色のこの花、ですけどね」


 今この庭に咲いているのは白とピンクの種類しかなくアメジスト色の種類は見当たらない。


「何か特別な花なの?」


「この花…パニュラと言うんですが、森の奥深くからしか発見されないのです。また、採取しても踏みつけたり燃やさなければ数年は美しいまま咲き誇っているとの噂です」


 そう言って白色のパニュラを愛でるようにして優しく撫でる。


「いつかこの庭にも咲くようになるといいね」

「ふふ、そうですね。ところでメディくん」

「はい?」

「あの森に行っては駄目ですよ?」

「はい…」


 いや別に森の奥に探しに行こうとしたわけじゃないよ?ただ転移魔法の制御を間違えて森の奥に行ってしまうかもな〜って、考えてただけで。


 …まぁ確かに危ないことはするもんじゃないよな。行くにしても、もっと力をつけてオークマスターと戦えるようにしてからじゃないと。


「あ…えぇっと。あっ!そろそろダムスさんの座学が始まるからそろそろ行くね。また後で!」


 地面に落ちていた剣を拾って城へ向かう準備をする。


「はい、お夕食のあとにでもクッキーを持っていきますね」


「ああ!楽しみにしてるよ!」


 そういうと、俺は何だか見透かされているように気恥ずかしくてその場をそそくさと立ち去った。


「渡り人様とパニュラ…。もしかしたら……ふふ」


 そんな独り言を呟いた彼女はとても幼く見えた。

拙い文章を読んでいただきありがとうございます。

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