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遭遇

学校までの道はほぼ真っ暗で、ところどころに灯る街灯がほんのりと一部を照らしているだけだった。不思議と恐怖感はなかった。むしろ暖かい気持ちがあった。

学校が近づくにつれその暖かい気持ちは増していった。

15分かけて学校までの道を歩く。いつも通っている道なのに暗いというだけでここまで雰囲気が変わるものだとは知らなかった。


学校に着くとあたしは迷わず例の渡り廊下へと向かった。

北校舎へと続く渡り廊下。なぜか他の場所よりも寒く感じる。

夜の校舎は真っ暗なのに渡り廊下のところだけほぅっと青白い明かりに照らされているようだった。

近づくとそれは月光によるものだとわかり、さらに不思議な気持ちが押し寄せてきた。


あたしが聞いた噂。「真冬の4時きっかりに渡り廊下に四つ葉のクローバーを押し葉にして持っていくと〔モウヒトリの自分〕に遭遇する」それだけだ。白いチョークで書かれた印などこの噂にはなかった。



一歩ずつ渡り廊下に近づく。コンクリートの段差を一段上り地面を見た時、足がすくんだ。

印がかすかな光を帯びて浮き上がって見えているのだ。しかし、ここで引き返すわけにはいかない。

あたしはモウヒトリの自分になんか会わないし、何も起こらず家に帰るのだ。そう心の中で唱え続けた。



「来てくれたんだね、夏美。」急に背後から声がして振り返るとそこには…やっぱり怜奈がいた。

こういった現象は信じない。信じたくない。が、怜奈は何かに取り憑かれているような目をしていた。

いつも教室で会う怜奈とは確実に違う人物だった。

そう、たまに見せていたあの不思議なオーラをまとった怜奈だった。


(もし、本当に取り憑かれているのだとしたら…怜奈ではない怜奈がクラスメイト二人をなんらかの形で消した…もしくは殺してしまったのかもしれない)


そんなことを真剣に考えてしまうほど怜奈の目は冷たく、あたしを見つめていた。

「怜奈、いったい何をしたの?」じりじりと近づいてくる怜奈に少しひるんでいるあたしは後ずさりをしながら話しかけた。

「あたしは何もしていないよ。ここに呼んでいるのは…あたしたちのお母さんだよ。」

彼女の言っている意味がまったくわからなかった。



「あたしたちの…お母さん?」


あたしには母親はいない。そして怜奈の言っている「あたし『たち』」という言葉。

あたし一人ではない、あたしと怜奈?それとも…


「あたしのお母さんは死んでるのよ?それにあたしたちって何?意味がわからないよ。」

話をしながらも怜奈は少しずつ近づいてくる。目の奥には以前に見た鋭い光。


――怖い


恐怖心が心の中を埋め尽くす。頭の中は疑問でいっぱいのはずなのに、言いたいことが一つも口から出てこない。それほど今までに見たことのない怜奈の顔は冷えていた。

笑顔を浮かべているのに、手に触れれば凍えてしまいそうなほど冷えていた。



「夏美、前に話したよね、この学園の校長の話。校長先生があたしたちをここに導いたのよ。この世に作り出してくれたのよ。」

また怜奈が良くわからない事を言った。さっきまで母親がここに呼んだといっていたのに、今度はこの学園の校長。怜奈自身が混乱しているのだろうか?


思い切って彼女に近づいてみようと足を動かそうとしたとき…あたしの足はぴくりとも動かなかった。

まるで足全体が重い鉛のように地面にへばりついているようだ。



足元を見ると、そこにはかすかな青白い光を帯びた印があった。少しずつ後ずさりをしたせいで、あたしは印の真上に来てしまった。

そして、そこから一歩も動けなくなってしまったのだ。

これは心の中の恐怖心から動けなくなっているのだ、そうに違いない。



「…ッ」


声が…出ない…。

怜奈に話しかけようとしたのに声が出ない。

まるで金縛りにかかってしまったような。

背筋を冷や汗がつたう。


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