第3話 職場 休日交渉なう
「ユキくーん、コルコバードもう一杯ちょうだ~い」
「飲み過ぎですよ~」
なんだかんだいってもう三杯目ですよ~
「飲まなきゃやってられるかっつーの
あんのセクハラじじぃがぁ~!」
今日も はじまったよ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ
午後7時、定時で終わらせてきた人たちが
さっそくいらっしゃった。
んでもってさっそく出来上がってらっしゃる。
「ハクちゃん モヒート もう一杯・・・」
こっちの人は静かでいいんだけど、
しれっと、飲み過ぎてることがあるから注意しとかなきゃ。
といってもまだ一杯目だからまだ大丈夫かな。
「ハクちゃん 今日もかっこいい 男の娘みたい。」
やっぱり、ダメか、下戸でしたか・・・・・・・・・
というか僕は男子です。というか、男の子の発音おかしかったような?
いやいや、気のせい気のせい
「ねぇねぇ ユキ君そろそろ夏休みでしょ
一緒にお出かけしな~~い?」
「生憎としばらくはここでアルバイトです 残念」
はぁ、毎度毎度このお三方はお早いことで、
特に示し合わせているようなことはないが
自然とこの時間になるとやってきて飲み始めている。
全くいい大人が夕方から飲んだくれて・・・はぁ
ま、でもそれが僕のお給金に化けるんだし何ともいえん気分ですなぁ。
「え~けちくさ」
そんなこと言われましても、しょうがないんですよ 稼ぎ時なんだから。
「うぃーっす ユキちゃん元気か~い」
また、お客さん さてと今日も頑張りますか。
そして、今日の業務が終わりやっと一息・・・・・・
「はぁ、疲れた」
何でこんなに客層偏ってるんだろう・・・・・・
僕 目当てのお客さんもいるような気がする・・・・・・
「お疲れさん」
「お疲れ様ですヤギさん」
そうこう考えてるうちにヤギさんが戻ってきた。
「あっ、そういえば来週末の花火大会の日
僕 半勤でしたよね?」
「ああ そうだがどうしたのか
空いてるときまで来なくてもいいって言ってるだろ?」
昔は休みなく働いていたのでシフトの調整ができない
と綾香さんに怒られてしまい。渋々休むようになったという過去がある。
それからというもの無理やり休みを付けられるようになった。
ただ、今年は半勤がやけに増えた気がする・・・・・・綾香さんに聞いたら
進路の為に勉強しようね~ と言われた
むむむ それを言われると痛いのですが・・・・・・
閑話休題 話がそれてしまった。
「いやぁ そう言われましても・・・・・・」
僕はヤギさんに並々ならぬ恩義がある。
中学生の頃 母さんが死んで父さんが倒れて、
そんなときにヤギさんが現れた。そして、僕と愛理が暮らせるよう
アパートと生活費を用立ててくれた。
子供だけの生活はいけないだろうという事で
ときどき綾香さんが来てくれていたが、
もともと、母さんの手伝いをしていたこともあってかメキメキと
家事の腕は上達し現役主婦(綾香さん)が舌を巻くほどだった。
それから、貰いっぱなしはいけないと思い
去年からヤギさんのお店でアルバイトをさせてもらている。
あと、僕は定休日以外で休むときは
極力ヤギさんに報告するようにしている。
シフトを組んでいるのは綾香さんなので
伝わっていなかったりするという事はないのだが・・・・・・
最初は何をそんな事をといった感じだったが
最近は特に何も言われなくなった。
これは僕の自己満足、
こうでもしないと僕が休みを貰った気になれないから・・・・・・まぁ
あんまり考えない方がいいな僕の精神の健全性を保つためにも。
「まぁとにかく、友達に呼ばれたのでちょっと夏祭り行ってきます。」
でもね、ヤギさん今回ばっかりは止めてほしいんです、
行かないでくれと言って欲しい
そうじゃないと、社会的に死んじゃうぅ・・・・・・
何か理由がないと断れない小心者のぼくをお助けください(迫真)
でも、日頃から働き詰めな僕を引きとめて働かせようとする鬼畜は
若干一名を除いていないんだなぁ
はぁ、自業自得かぁ・・・・・・
「そうか だったらちょっと頼みたいことがあるんだが いいか?」
何ですか、この救いの神はもしかすると、
僕はヤギさんの頼みごとをダシにうまいこと脱出できるかもしれない。
さすがに、頼み事は無下にできないからなぁ・・・・・・となると、
浴衣は邪魔になるもとい不要となる はっはっはー
これで僕は助かるぞ 女装なんてしなくていいんだぁぁぁぁぁああああああ!!
ココで無言のガッツポ~ズ入りま~す。
「なんだその喜びは女装するのがそんなに楽しみか?」
ナニイッテルノコノヒト?
デジャウ デジャヴュ 何この既視感
「優華君から聞いたぞ浴衣着て街を歩くんだってなぁ 若いねぇ」
優ちゃんもうここまで外堀埋めてたのね、
道理で半勤が増えてた訳だ、となると、
みなさんにも知られてるで・・・・・・・・・・・・・・・
もう、やだ、恥ずかしさで死ねる 恥ずか死する~~~~
「それは置いといて、杠葉が夏祭りに行きたいと言いだしてな」
「ああ」
ゆずちゃん偶に我儘言ってるからなぁ。
「しかし、俺も綾香も手が離せない」
「はいはい」
確かに夏祭りの日は一番の稼ぎ時店長夫妻は店を離れられない。
「そこでだ、もう言いたいことは分るだろ」
なるほどなぁ
「ゆずちゃんの身の安全は僕が全身全霊全力でお守りいたします。」
「分ったんならよろしい」
「それとな、浴衣は絶対着用だからな杠葉がお前の浴衣姿見たいらしいからなぁ」
この、親馬鹿 娘の為に店員に何をしても許されると(無言の圧力) ・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はぁ
「了解しました」
どうやら僕は押しに弱いらしい