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梅雨前線北上中

作者: 武田道子

梅雨前線北上中



気がつくと

庭は若葉に覆われて

家の軒下ではツバメの子たちの小さな頭が

ピアノの鍵盤のように浮き沈みするたびに

自分たちの頭よりも大きな口で

必死で生きていることを主張する


どこに置き忘れたのか

傘が見つからない

やっと見つけて買った空色の傘


ナメクジが

バナナを装ってみても

南国を知らない彼らには無理なこと

それでもさらさらと塩を降らせれば

南国も夏も遠い夢

さわさわと紫陽花の茂みが

乾いたナメクジの上で揺れる


南から厚く膨らんだ羽布団のような雲が

迫ってくる

もう逃げられないと

傘を忘れた人は軒下に雨宿り

親ツバメがぬれた羽を震わせる暇もなく

大きく開けられた口を満たしてやる


新しい傘を買わなければ

絶対に空色の傘を

急速にスピードを上げて

梅雨前線北上中




バナナが古くなると茶色の斑点がつきますよね。それとそっくりのナメクジが雨が降るとどこからかやってくるのです。本当に。

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