14.睡眠って、どんな感じですか
今回区切り悪くて短めです
アイリスと共にやってきたのは、アエラ最大の国ロクスソルス王国だった。人口が多いだけに、僕と同じ様な境遇にある人や、機械に詳しい人がいるかもしれないと踏んでのことだった。
「さあ、どうしますか?掲示板にでも張り紙をしていきます?」と、アイリスは人探しに積極的に協力してくれる様子だ。
「どうしようか。まずは張り紙をして、後は聞き込みかな」
僕の言葉にアイリスは「了解です」と言って、掲示板に呼びかけの文言を書いてくれる。いくつかの掲示板を回った後、僕たちは聞き込みを開始した。
それにしても、非効率的な作業だ。一人ひとりに聞き込みをして、人物に当たりをつけては また聞き込みをして。あまりの作業効率の悪さに嫌気が差していたところで、やっと果物屋の店員から有力な証言が得られた。
なんでも、そういう機械系に詳しい人の集まる酒場があるらしく、毎週そこに集合しては議論を行っていると言う。それも、丁度明日がその曜日のようで、僕は内心かなり喜んでいた。気味が悪いので追い出してくれと言われたが、苦笑いを返して お礼の変わりにいくつかの果物を購入した。
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果物を齧りながら、適当に泊まれる場所を探す。睡眠や食事は、このゲームにおいては欠かせないものだ。例えば、それに関するペナルティも設定されている。とはいっても、行動が鈍くなる等大層なものではないが、動けないよりは動けるほうがいいだろう。
都合よく宿は見つかったが、都合の悪いことに部屋は一つしかないらしい。僕は休んでいる状態のままログアウトするからということで、アイリスと同じ部屋を取ることにしたが、この気まずい雰囲気。どうにかならないものだろうか。
「アイリスは、そっちのベッドを使ってくれて構わない。僕は床ででも適当に寝ておくから」
部屋に入った所で立ち尽くしているアイリスに、僕は声をかけた。すると、アイリスが「それはいけません」と意見した。
「女の子なんだし、ベッドで寝てくれ」ともう一度頼むと、「だから中身は中年男性かもしれませんってば」と反論されてしまう。暫くそのままで、どちらがベッドを使うのかを言い合っていると、アイリスの口から、衝撃の事実を耳にすることになる。
「というか、そもそも睡眠ってどんな感じなのか分かりませんし」