日常の変化
初投稿です。お手柔らかに
リセットボタン…
それは基本的にゲーム機に搭載してある機能であり、もしプレイヤーがルートを間違えたり、気にくわなかった時に使用するものである。少し前まではこの機能を当たり前のように使っていた人は多いのかもしれない。だがしかし、最近では、こまめにセーブポイントがあったり、オートセーブなどの機能が搭載され、その使用率は低く低くなっていった。
ゲームの中では………。
春の日差しが暖かく吸血鬼にとっては地獄のような今日このごろ、学年末試験を越え大月高校の2年生と無事に進級できた俺は、のそのそと真っ直ぐな桜街道を歩いていた。「はあぁぁ。」溜め息が家を出てから止まらない。これだけは入学してから、変わらずにいる。「おっはよう!」と後ろから突然馴れ馴れしく肩を組んでくる茶髪で制服も崩している同じクラスのチャラ男が話し掛けてくる。
「そんな、深い溜め息ついてたら幸せが逃げるぞ。」
テンプレなこといわれ、少しだけいらっとくる。俺は、いまだにこいつと仲良くなったきっかけを思い出せないでいる。つまり、この茶髪チャラ男は俺の中ではモブ男にあたる。
「うるせーな。俺は幸せすぎて逃がさないと周りが不幸になるんだよ。」くだらない屁理屈を言う。
「確かに、そうかもしれない。」真面目な顔で頷かれる。
モブに馬鹿がプラスされた瞬間だった。
そんな、面白くもない世間話をしながらも学校に着き席に座る。また、授業の始まりと終わりを繰り返す。
「はぁぁぁ」こうして溜め息とともに今日が過ぎていく。
学校の終わりチャイムが鳴り、帰路につく。もちろん一人だ。モブであり馬鹿はいつも誰かしらの女子と一緒に帰っている。ここで、非リア民の人たちは「爆発しろ!」というかもしれないが、根本的に興味がない俺には、どうでもいい。 ……ホントだよ。
同じようなことを繰り返し一週間が過ぎていつも通りぼちぼち歩いて家に着くと家の前に一人の女の子がいた。息を呑んだ。身長は標準だが手がストッキングに包まれた足がスラリとしていて白く、細い。そして、白さを際立つように魅せる艶のある黒髪。そしてトドメといわんばかりの整った顔立ち。何ひとつとっても一級品であるのは、間違いない…。
そして、驚くことにうちの学校の制服だった。
(やべぇ、まじで誰だよ。親しい女の子はいないし、幼馴染みなんて以ての外だ。うーん……。もしかして……従妹?)これほどの美少女に免疫のない俺は、思考回路がショートする。
だが、これでは家に入れない。勇気を持って話し掛ける。
「あのぉ、うちに何か用ですか?」声が上擦る。
美少女は、驚いてこちらを向く。そして、
「貴方が御坂 周ね。」
凛とした声で名前を呼ばれる。なんで名前を…。
そして彼女は、確認しに来ただけとでもいうように、
俺をあとにして行ってしまう。なんとも言えない圧倒的なオーラを感じ、ただ、立ち尽くしていた。
次の日、モブで馬鹿なチャラ男に、初めてだろう自分から話しかけた。もちろん、昨日の美少女のことについて聞くためだ。さすがに、あそこまで美しかったらこの男も知っているだろう。
「あぁー。多分というか、絶対に高峰 統華だ。」
聞いたことがあった。同級生に美少女がいると、それはなんでも、男子の7割が告白し玉砕した、と入学当初ざわめいていたことを思い出した。まさか、あの人だったなんて。「でかした。モ馬チ男」そう言って俺は席に座る。
「モ馬チ男?…なにそれ?」知らん顔、知らん顔。
でも、一体何のようだったんだ?高峰 統華は。
疑問符を頭に浮かべながらの帰り道いつも通りに一人で帰っていると、「くさっ!!」急に汚臭がただよってくる。
(どこからだよ、まったく。)生憎、この辺りには俺しかおらず、この愚痴を誰かに聞いてもらうことができなかった。少し進むにつれ臭いがキツくなる。ここまで臭いと何があるのか気になってしまう。
(ここの路地裏からだ。ホント臭いな。)
しかめっ面のまま俺はその路地裏に進んでしまう。
「暗くてあんま見えないな。気を付けよ。」
ぴちゃぴちゃと水溜りを越えていく。
「ん?、まぁいいか。」
そして、角を曲がったさきに真っ赤に染まった腕があった。
「へっ?」
少し前を向けばそこには、
残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸
残骸残骸残骸……。
「うごぅうぇぇえええええ」盛大に嘔吐する。
そして、残骸のひとつに高峰 統華の顔があった。
生気がなく、虚ろな目をしている。だが、俺が馬鹿なのか、高峰 統華が凄いのかこの状態でもこの状況でも、美しいと思ってしまった。
な…んで。どうして?わからない。わからない。
ここで、さっきの些細な疑問が晴れる。
(さっきまでの水溜りは……血?臭かったのは腐臭?これは、殺人?いや、それより、まず、救急車?もう死んでるか…じゃあ、警察?どう説明すればいい。)頭の中がごちゃごちゃになる。
そして、なにもかもわからず…………………逃げた。
走りに走った。走って走って走って走って走って走った。家に転がるように入っていく。運良く親はいない。
「いったい、なんだってんだよ。」ふらついた足がもつれ倒れる。
そして、玄関で現実から逃げるように気を失った。
びしばしコメントお願いいたします。
ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。