朝〜はじまり〜
暗い・・・。
いつの間にか闇に包まれている、自分の手すら見えない漆黒。
だけど、オレの目の前には人がいるのがわかった。
痩身で銀髪の男・・・。
闇の中に浮かび上がるように立っている。
「誰だ・・・!」
「我は・・・・・・・・」
「・・・・・!」
轟音が耳を劈く、聞き取れない。
―――残念だ
哀しげな顔をしたその男はそう口を動かした。
突然な眠気に襲われたオレは、なぜか既視感を覚えた。
「あ・・ん・・・た、ど・・こかで・・・・・・?」
男が、口を動かした。
「な・・ん、き・・こえ・・な・・・」
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「ハ・ル・ちゃーーーーーーーーーーーんっ!!」
「ぐもふっ・・・!!!」
突然の胸の上の重みに目が覚めた。
「あっさっごっはん〜〜、あさごはーーーーん!!!」
朝っぱらからそれかよ、勘弁してくれ
「早くー、早くぅーー☆」
「なに、焦ってんだよ。そんなに急いだって、同じだぞ」
女神はオレの手を引いてキッチンへと小走りで向かっていく。
こいつの腹減り具合に合わせた生活にも慣れてきたな・・・・
「はるたん、あたし、カツ丼たべたーーい☆」
「朝から重いって」
そういって苦笑する。
「昨日買った食パンと卵があるから、フレンチトーストでもいいか?」
「ぜ〜〜〜〜〜〜〜んっぜん、おっけーーーーーっ!!!」
「おし、じゃぁ、その辺で邪魔にならんよう転がってろ」
「らじゃーーーっ!!!!」
と、食パンと卵と砂糖と、あと何か要ったっけ?
「きゃーーーーーーーーーーーーーぅっ!!!!」
『ガンッ、ゴンッ、ガシャンッ!!!』
「すまん、やっぱ、普通に座ってろ」
「ちぇーーーーーーっ」
我ながら要らぬことを言ってしまった。
登校前に掃除もやらないと・・・・
そういえば、今日は何か変な夢を見たような・・・・
思い出せねぇってことは、たいしたことでもないんだろうな
「ねぇ、まだーー、ごはんーーーっ」
女神の野郎が、ナイフとフォークをカシャカシャいわせながら叫んでくる。
えぇ、えぇ、わかってますとも、オレには人並みの考え事も出来ないんですよね、グラトニー君っ!!
「はいはい、今から作りますよー」
ま、とりあえずもう少しだけ付き合ってやるか・・・