西之巻香菜
教壇にたっている教師が黒板に文字を書くかつかつという音だけが響いていた。すこし前に目をやりながら、私は机の下で携帯をいじっていた。いつものこと。一番後ろの席だからばれることはほぼないし。ん?吉野が拡散希望を呟いてる。珍し。いい便利屋がある…って。なにこれ、ただの宣伝じゃん。怪しすぎ。でもそういや最近吉野、清水達と仲直りしたっぽいよな…。案外ほんとかも。
「はいじゃあ今日はここまでね。号令。」
あ、授業終わった。吉野に聞いてみよ。
「ねぇ」
「ん、あぁ俺?」
「そ、ねぇあの便利屋の事がち?」
「あぁあれ、がちがち。結構いい感じの便利屋だよ。あの辺にある喫茶店みたいなとこ。居心地もいいし」
「ふーん…ありがと」
「はーいよ」
帰り道、私は親友の倉盛明音と例の便利屋近くの道を通る事にした。チャラい感じの私とは違い、明音は清楚な感じの女子生徒だ。でも何故か気が合うから不思議。
「ねぇ香菜。どうしてこっち通るの?」
「んー、なんかねこの辺に便利屋が出来たらしいんだよ」
「昨日吉野くんが言ってたやつ?」
「そうそう、気になっちゃってさー。あ、ここじゃない?」
「え、これ喫茶店じゃないの?あ、でもなんでも屋って書いてあるね」
「うん。ここだよ。なんかあったらさ、今度入ってみようよ」
「えーなんか怪しいよー」
「じゃあさ、しばらくこの店見張ってみようよ」
「見張るってどうやって?」
「明日の土曜さ、あそこの図書館から見張るの。ちょうどここが見える位置に窓があるし。どう?」
「どうって…怖いと思ったらすぐ逃げるからね私」
「よし、決まり!明日の朝8:45ここ集合ね」
「なんでそんな中途半端なの」
「あそこが9:00開店だからだよ。早く来るのも面倒だし、うち朝苦手だし。」
「はいはい。わかりました」
~土曜日・pm9:30~
「ねぇ、香菜全然誰も来ないじゃん」
「おっかしいな。年中無休って書いてあったのに」
確かに昨日は書いてあった。私の見間違い?今日はまた改めて確認もしてないし…。
「明音。ちょっと見に行ってこようか。」
「うん」
階段を降り、喫茶店の目の前まで少しスピードをあげて歩くと衝撃的な文字が目に入った。
『私情により、本日はお休みとさせていただきます。なんでも屋~AU~』




