盗聴
「本当ごめんなさい!!」
「だからもう大丈夫だって」
花ちゃんはさっきからずっと謝っている。まぁ俺が不機嫌じゃないのは依頼解決の兆しが見えたからだ。花ちゃんにも話すか…そうすれば機嫌も直るだろう。いや、これ立場逆だな。
「花ちゃん、収穫の結果話すからさ意見聞かせてよ」
「分かりました…」
~二時間前~
俺は花ちゃんを諦め一人で三人を追うことにした。彼らは周りのように談笑している様子もなく、早足で歩いているわりにはずいぶんと駅へは遠回りしていた。おかしいな。電車に乗った。混んでる様子もなかったため、あまり接近はできなかったが会話の内容は十分把握できる位置関係だった。今日はこれからくろぶちメガネ君の家へ行くらしい。名前は確か、山久透これは吉野君からの情報で確認済みだ。あまりこの中でリーダーという存在の者は居なさそうだが強いてあげるなら清水隆之助だろう。ついこの前までサッカーのクラブチームのキャプテンを務めていたそうだ。まぁ運動で負ける気はしないが。運動神経には自信があるんだ。それで、残った一人が永山詠斗。ルックスはかなりいいほうだ。きっとモテるだろう。これに関しての自信はない。
彼らは降りる用意をし始めた。次で降りるのか。会話からしてこの後は永山の家に集まるのだろう。家での会話を聞く算段は整っている。えーと…永山の家だから、こっちだな。俺は少し周り道をすることにした。もちろん、部屋内での会話を聞く細工をするために。
俺が彼らの会話を聞いていると…
「ちょっと待ってください」
花ちゃんに話の腰を折られた。
「なに花ちゃん、今からがいいとこなのに」
「細工って何したんですか」
「盗聴器だよ」
「とっ、盗聴器って!どうやって部屋に入ったんですか!」
「入ってないよ、鞄にいれたの」
「鞄って部屋までもっていく確率低いじゃないですか!ギャンブルですか?」
「いーやちゃんと計算だよ」
「ど、どうゆうことですか?」
「そりゃあ下校してきたらそのまま鞄を玄関に置いていく可能性があるでしょ?」
「はい…?」
「んでもそうならないときがあるだろ?」
「あ!遊びにいったとき!」
「ビンゴ!友達の家に来て玄関に置いていくやつはまずいないよ」
「なるほど…!で、どうやって仕込んだんですか?」
「そんぐらい楽勝だよ、英雄ですから」
「教えてはくれないんですね…」
「まぁまぁ、その方がかっこいいじゃん。で、ここからは俺が部屋で聞いた話ね」
俺は花ちゃんへの話を続けた。…最後のあれは言いにくいなと思いながら。