詮索
依頼解決に当たって、俺らはまず例の三人組を探ることにした。吉野君から出来うる限りの情報をもらい、通学路を張ることにした。顔は割れてない。俺らは特に変装する必要もないから比較的楽な張り込みだ。近くに公園があったので道路を見張れるベンチに座ることにした。
「とーまさん。暇ですねこれ」
「うん…時間帯は合ってるはずなんだけどね」
「あとこの写真見にくいですし、見逃しちゃうかもですね」
「バカ言え。俺はそんなへましないの」
しばらくの沈黙が続くと思いきやずっと彼女が話してくれていた。やっぱりこの子を雇って正解だったかもしれない。というよりはこの子しか志望者がいなかったんだけど…。そういえばなんでこんなへんな所に就職したのだろう。面接のときはいっぱいいっぱいであまり内容が頭に入ってない。
「ねぇ、花ちゃんってさなんでここに就こうと思ったの?」
花ちゃんはこの質問に少し悩んだようだった。
「うーん…私女優目指してるんです」
「女優?」
「はい。子供の頃からの夢で」
意外だった。確かに女優は変わった人が多いと聞く。案外向いてるかもしれない。
「それで、上京してきたんですけどとりあえずアルバイト探さないとって思って…人助けるのは好きだしここいいなーって思って!」
「そーだったんだ」
「はい!あと私携帯AUなんでぴったりだったんですよ!」
「なにその理由」
笑った。やっぱり和む。お、高校生が少しずつ帰りつつあるな…そろそろか。
「花ちゃん、あの辺の道歩いてきてくんない?」
「え、一人ですか?」
「寂しいとか言うなよ?三人組らしき生徒を見たら静かにそいつらの後ろを歩いてきてくれ」
「はーい」
よし、俺は彼女が見逃した場合の保険だ。じっと目を凝らす必要もないだろう。あんな感じだが意外と彼女は抜け目ない。しばらくのんびりしてよう。
集団であるいている男子生徒には気を付けて、しばらく俺は気を休ませていた。10分ほどたった時だった。俺はあの三人組らしき集団を見つけた。
花ちゃん見逃したな…。急いでかけていき、花ちゃんが行ったであろう方向を見てみると、彼女は校門前の教師と仲睦まじそうに話をしていた。