依頼
吉野君の話を全て聞いた後、俺は武者震いをしていた。これだ。こうゆうのだ俺が求めていた依頼は。
「よし!君の話はよく分かった。なんとかしてみるよ」
「ほんとですか。ありがとうございます」
彼のありがとうはとても乾いていた。どうやら試しているらしい。一か八かいい方に転んだらラッキーって算段か?なめるなよ。
「君そこの学校の学生なんだよね?んで、お金はいいからさ、成功報酬として一つお願いいいかな?」
「え、犯罪とかはやですよ」
「大丈夫だって。簡単なこと」
「き、聞くだけ聞きます。」
「俺らのことさ、周りのみんなに広めといてくんない?結構いい便利屋が出来た位でいいから」
「そんなんでいいんですか?」
「うん。じゅーぶん。」
「じゃあ、約束です。僕らの仲が元通りになったら宣伝しますよ。」
「決まりだ。」
なおさらやる気がでた。何事もスタートダッシュが肝心。そこでこけたやつはいくら頑張っても並みと並ぶことで精一杯だ。ここが正念場。
「君は今日は帰りなさい。途中経過が知りたければいつでも寄るといいよ。」
「分かりました。よろしくおねがいします。」
「あっ!私お見送りしてきますよ!」
さて、どうしたものか。いきなり学生たちに聞いてもしらばっくれられるだけだ。じっくり練るべきだな。
「やりましたねっ!」
花ちゃんの声でやっと目の前の風景が戻ってきた。
「うん…やったね!」
「学生の線でいって正解ですよね!」
「そだね。花ちゃん正しかったよ」
名前通り、彼女は花のように笑った。なんの嘘も含まれていないような笑顔を僕は久しぶりにみた。
…子供のときあいつの笑顔をみたっきりか、懐かしいな。
「そういえばとーまさん、どんな学生だったんですか?」
「…よくわかんないや、どんな学生だったんだろうね…とーまさんは」
「変なのー」
昔話は嫌いなんだ。特に子供のときの話はね。