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RPG風の世界で、色々みなさん頑張ってる物語

がーるず?とーく -”呪われました”の11作目-

作者: 茶屋ノ壽

 とある辺境の”お山”、とある”呪われた”娘さんである所のシルフィさんは、ヤマトさんの”神社”にいました。社務所の縁側で、一人、無発酵の茶葉で入れられた、緑色の熱いお茶を飲んでいます。日課である修行の”狩り”が一段落しましたので、休息に訪れたのでした。

 とそこへ、さくさくと砂利道を歩いて、”堕天使”のエルさんがやってきます。手には何か荷物をも持っています。

「こんにちはシルフィさん。ヤマトさんは?」少女のシルフィさんを見つけた黒い翼のエルさんは、社の神主であるヤマトお爺さんの行方を尋ねます。

「こんにちはです、エルさん。奥の方で、お掃除をしているそうです」シルフィさんは、社の裏手を指し示して、応えます。

「鍛冶屋さんから、荷物を預かってきたんだけど……」

「ちょっと時間がかかるかも?っていってました。お茶でも飲みますか?」

「……そうですね、喉も乾きましたし、お願いできますか?」

 シルフィさんは、かって知ったる、他人?の家と、いった感じで、さっと湯のみとお茶のお代わりを入れて、お盆で運んできます。手慣れたものです。

「手慣れてますね」縁側に置かれた、お盆のお茶に、座って、手を伸ばしながらエルさん。

「そうですね、結構頻繁にお邪魔していますから?」

「居心地いいですからねー、この”お社”」初夏の陽射しの中、ぬるめに入れられたお茶をすすりつつ、のんびりと言うエルさん。”神社”(聖域)ですよここ。

 それでいいのか”堕天使”、というツッコミがどこからか(地の文より)入ります。

「まあ、私は定期的にナギさんに、身体を診てもらっているので……」

「”呪い”でしたっけ?たしか”Level Up不可”でしたっけか?」

「正確には、午前零時にレベルと経験点がリセットされる呪い、だそうですよ?まあ、そちらの方は、何とか、対処療法?が見つかりましたから。というか、ビリー師匠のおかげで、レベルに関係なく強くなれて、結果自然に、対処できてましたし」にぱっと笑いながら言います。見た目10歳くらいの、健気な笑顔の少女、シルフィさんです。

「よかったですね」ふんわり笑いながらエルさんは言います。

「はい、ただ、いろいろ複雑な形式の呪いらしくて、ナギさまでも解くことが出来なさそうなんですよ。たぶん一生付き合うことになるでしょうね、なので、呪いの影響が他にどんなふうに働いているのか、定期的に検査してるんですよ」

「悪影響が少ないといいですね」

「まあ、生きているだけ、儲け物です。実際一度、死にかけていますし」暗い話題を、屈託ない笑顔とともに話すシルフィさんです。

「”幸いなるかな”」聖句を口にする”堕天使”さんでした。


***


「で、ですね、検査のときにナギさまに触られると、なんかぞわぞわと、くすぐったいのです」シルフィさんが話の種に、診察の様子を話しています。

「へ、へぇ」エルさんは、ナギさんの診察を描写されて、少し引いています。

「でもですね、真剣に、念入りに、丁寧に、検査してくれて、とっても感謝しているのですよ、で、気持ちもよいのです(ちょっと安心する感じが)」

「うん、ちょっと私、ナギさんと個人的に話をしたほうが良いような気がしてきました」あ、”堕天使”らしい笑みです。

 その時、社の方から、背の高い女性が歩いてきました。ぱりっとした、”パンツスーツ”の美人さんです。

「あ、ナミさん、こんにちは」シルフィさんが、声をかけます。

「やあ、シルフィお嬢さん、と、エルさん」にこりと笑いながら、近づきます。

「こんにちは、ナミ様」立ち上がり礼をするエルさん。

「”様”はやめておくれよ、なんだか大げさだ」

「そう言うわけにも……」”柱”で数えられる存在に対して、どう接するか迷うエルさんです。

「だいたい、”四大”のかたに、敬われるというのは、なんだか違う気がするし」

「なんのことです?そんな存在が簡単に”堕天”するわけないじゃありませんか。私はただの”元天使”の”エル”さんです」微妙に視線をそらす、黒羽根の、金髪美女さんです。

「ああ、そういうことにしているんだね……」にやりと男前に笑う美人さんです。

「???」よくわかっていないのは、銀髪美少女のシルフィさんです。


***


「ところで、うちの宿六をしらないか?」

「ナギさんなら、ヤマトさんと一緒に奥でお掃除していますよ」シルフィさんが、お茶の追加を持ってきつつ応えます。

「ナギさまも”顕現”されてたんだ……気がつきませんでしたよ」ちょっとびっくりしているエルさんです。

「ちょっと、隔たっていて、”遠い”ですからね。……でも確かに奥にいますね」眼をつむって、ナギさんの存在を確認するシルフィさんです。

「へ、へえ、ここからわかるんだ」ちょっと驚いている、ナギさんの奥さんのナミさんです。

「ナギさまの存在なら、肌で何度も感じていますから(触診で)なじんでいるのです」にこりと笑いながら返事をするシルフィさんです。

「……ほう、お嬢さんは随分その、うちのと、親しいようだね」にっこりと笑いながら、大柄な女性が、静かに、お盆に、湯のみを置いて、尋ねます。

「三日おきくらいに会ってますから(診察で)」

「ナミ様、ナミ様!ナギ様は彼女の診察で、頻繁に会っているだけでしてね!」エルさんが、少し慌ててフォローします。

「ああ、知っているよ……ところで、診察の状況を私が聞いてもいいかね?」笑みのままで。

「はい、もちろんいいですよ!眼とか、耳とか、鼻とか口とかを診てですね、銀色のこうラッパみたいな器具で音を聞いたり、とんとんと、胸や、背中を叩くのです、あとこう、手を取って、手首に指をあてて、”脈”をはかるって言っていました」

「……うん、存外普通だな、いや待て、あれの実力で、そういう手段(聴診、打診など)が必要になるのか?」ぶつぶつとつぶやくナミ様です。

「で、最近は”呪い”の対策でマッサージをしてくれるようになりまして」ちょっとうっとりとした顔をする少女が言います。

「ん?」

「え?」大柄な美女と、黒羽根金髪美女が変な声を出します。

「なんでも、呪いで、”ちゃくらのながれ”の乱れがでて、身体への負荷が知らず知らずに溜まっているから、解消してくださっている、とのことで、これが、とても、気持ちよいのです!(こりがほぐれる的な意味で)」その時の事を思い出して、少しうっとりとした表情になる10歳くらいの少女さんです。

「……だ、大丈夫。まだ治療の範囲だと思います」エルさんが擁護する発言をします。

「そ、そうね。変な誤解をしたら悪いわ、ね」語尾が震えているナミさんです。

「全身隈無く優しくさすってくれるので、気持ちよくて、ついつい眠ってしまうほどなのです」嬉しそうに言うシルフィさん。

「「……」」無言になる大人の女性二人です。

「結構”力”もつかうみたいですよ?マッサージの後とか、ナギ様、眼が充血したり、疲れて息が荒くなったりしてますから……そこまでして、”呪い”対策をしてくださって、本当に感謝しているのです」にぱりと無邪気に笑う、美少女さんでした。

「……ぎるてぃ(Guilty=有罪)」ぎぎぎという音とともに、エルさんの方を向くナミさん。無表情な感じです。

「ですかねー」こちらは、冷たい微笑の”堕天使”さんです。

 

 丁度そんなとき、奥から、ヤマトお爺さんと、軽薄そうな青年の姿をした、この社で奉っている神様であるところの、ナギ様が、登場いたします。

「うー、なんだか久しぶりに仕事した気がするー」気だるそうに、肩をもみながら言ってます。

「いえ、実際、かなり間隔があいてますから、もう少しこまめに”掃除”に付き合って頂くと助かるのですが……」何を”掃除”しておられたのでしょう?

「あれ?ナミさん、来てたんだ」へらりと笑いながらナギさんが言います。

「うん、来てたんだよ。”あっち”の連中から、”ふらふらしている親神”の首根っこを捕まえて、引っ張って来いって頼まれてね……」冷ややかに笑いながらナミさん。

「こっちも仕事してたってのに、ヒドい言い方だなー」

「でも、もういいの」

「へ?」

「『神は死んだ』のよ」ぎらりと眼を輝かせ、獣じみた挙動で、軽薄青年へと襲いかかる大柄な美女さんです。

「なんでー、僕なにかしたー?」

「やかましい、胸に手をあててよーく考えやがれ!」

「誤解だと思う!」ぎゃーぎゃーと騒ぎながら、徒手空拳がぶつかりあって、空間が震えています。

 達観した表情で、夫婦喧嘩用の”結界”を張るヤマトお爺さんです。

「えっと、なんで?」展開に付いていけてないシルフィさんです。

「ええと、まあ、夫婦間のコミニュケーション、かしらね?……それはそうと、シルフィちゃん、診察のあと、目を覚ました時に、身体になにか違和感とか感じなかった?」みょうに真剣な、深刻そうな表情で、少女に尋ねるエルさんでした。


 もちろん、ただのマッサージなのでそういう(どうゆう?)心配はありませんよ?

 ……多分


 神が死んだくらいの些細な事件しかおきていない、ある平和な初夏の日常でございました








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