No.8
「いらっしゃっせー!!サッカー部特性サッカーたこやきだよー!!」
「こちら、2年A組みでコスプレカフェやってまーっす!」
「的当てしませんかー!?なんと!!全部打ち抜けば!!プレゼントがもらえちゃう!!」
「11時から体育館で演劇やりまーっす!!ぜひごらんくださぁい!」
たくさんの呼び込みの声が飛び交う。
皆していろいろなことを言っているのに、どうしてかどれも聞き取れてしまうのはどうしてだろうか。
生徒の笑顔は、きらきらと輝いていた。
誰もが楽しそうに、売ったり、買ったり、遊んだり。
__なんて楽しいところなんだろうか。
「私鶴、なに買う?」
「え?あ、どうしよっかなー」
思いのほか周りに気をとられていたらしく、秋斗の声でわれに返った。
「お、私鶴の好物あるよ」
「どこどこー?...おいぃ?」
秋斗はにこにこしながら、かわいらしい女の子二人が売っている、緑色の物体を指差す。
「ほら。きゅうりの浅漬け」
「うるさいわ!どうやったらこれが好物になるんだよ!!」
ケラケラと愉快に笑う秋斗。
しばいてやろうかこいつ。
「嘘だってば。たこ焼きとジュースでも買うかー」
「うん、きゅうり以外ならなんでも。きゅうり以外な」
大事なことなので二回言いますよっと。
「じゃーちょっと座れそうなところ探してきてくれる?俺買ってくるよ」
「わかったー、よろしくねー」
ひらひらと手を振って、秋斗は人ごみに紛れていった。
さて...。座る場所なんてあるのかな。
「うーん、皆階段とかに座ってるのよね」
どれだけ『普通』に憧れていても、階段や地面に座るのは抵抗がある。
綺麗な場所で、綺麗でおいしいものを口にするという、昔からの金持ちの風習は、私の体にも浸透しているのだ。
「とはいっても、突っ立ってたら邪魔だよね」
試してみるのもいいかなと思い、階段のほうを見てみると、丁度、カップルと思わしき二人が腰をあげた。
「先輩、サッカー部のほうにはいかなくていいんですか?」
「んー、気が向いたらいこうかな」
「うーん...行くことをおすすめしますが...」
「僕が売ると暴動が起こるんだよ」
「...なるほど」
そんな会話をしながら、二人は立ち去っていった。
「ラッキー!」
階段にかけよって、すかさず場所を確保する。
秋斗の場所と人が通れるくらいに隙間をつくって、そー...っと、腰を下ろす。
「...別に何も感じないな」
わりと何も感じなかった。
「秋斗に場所伝えておかないと」
ケータイをとりだして、
『チョコバナナ屋さん近くの階段にいるからね~』
そう打って送信すれば、約10秒後にすばやく返信が来た。
『了解。すぐそっち行く』
...相変わらず素っ気ない返事だ。
そりゃ顔文字いっぱいだと気持ち悪いけども。
そんなことを思いながら、屋台や人を眺めている時だった。
「すみません」
不意に、頭上から声がかかった。
「あ、はい?」
びっくりして、顔を上げた。
「...え?」
__顔をあげて、声をかけてきた人を認識した。
「探しましたよ、私鶴お嬢様」
...どうして....なの....。




