No.7
お久しぶりです。
更新滞ってしまい、申し訳ありません。
家から車で30分。
徐々に賑やかな声が聞こえてくる。
その音に、心が弾んだ。
「いってらっしゃいませ」
学園の前だと目立つからと、学園の手前の駐車場で降りることにした。
「いってきます」
「いってきます、ありがとうございました」
秋斗はていねいに頭を下げると、運転手はやわらかい表情で会釈をし、運転席へと戻っていった。
「いこう!秋斗!」
私はどこかのスイッチが切り替わったように、くるっと学園へ方向転換した。
今にでも小躍りして舞いそうなほど、私の心は高鳴っていた。
久々の人の賑わいの声。
まだ遠くから聞こえているだけなのに、十分すぎる賑わいだ。
「あぁ。その前にはぐれないように、ほら」
そういうと、秋斗は自分の左手を私に差し出す。
「...ん?」
「手、繋いどかないと、私鶴だからどこいくかわかったもんじゃない」
「は、はぁ?!失礼だなぁ!」
こいつお嬢様を馬鹿にしてますよ、ちょっとだれか。
「もう、大丈夫だから」
差し出された手を無視して先に行こうとした直後、私の右手は即座に掴まれてしまった。
「お嬢様?方向音痴が調子のったこと言わないでくださいませ?」
「痛い痛い痛い!!!ごめんってば!!わかったから!!」
お、おい!この執事、全力で人の手首握ってくるぞ!
手加減なしだぞこれ!
「ん...。じゃ、行こうか」
秋斗は、私の右手を優しく握ってから、歩き出した。
「あ、秋斗!」
「ん?」
少しだけ顔をこちらに向ける秋斗。
「今日は、私お嬢様じゃないから!普通の、普通の高校生だから...。秋斗も、私の友達だからな!」
...今日は、普通の高校生。
お家柄に苦しまない、いたって普通の高校生。
「わかってるよ、私鶴。...心配なだけ。俺自身が、私鶴を心配してるだけなんだ」
__学園の前まで来ると、さすがに賑わいがすごかった。
一瞬、秋斗の声がかき消されそうなほどだ。
「秋斗は心配性だな」
「...お前だからだよ」
「へ?なんて?」
さすがに今度はかき消されてしまって、思わず聞き返す。
「なんでもない。さ、どっからまわろうか」
そういって私を振り返った秋斗の表情は、笑っているのに、どことなく寂しげで。
「おなか減った!なんか食べよう!」
私自身、気にしないことにするしかない気がした。