No.14
入試が無事終わりましたので、また定期的に更新してまいります。
「あ、秋斗!どこまで行くの!?」
「そこの公園まで!」
__ひたすら走って走って、もうどこなのか分からなくなった頃、小さな公園にたどり着いた。
「はぁ...はぁ...。ね、ここ、どこ?」
「うーん、私鶴の知らないところ」
知らないところって...。
あまり直進はしていなかったから、確かに知らないところだとは思う。
けど、家からそんなに遠い気はしない。
「なんでこの公園?」
「ちょっとまってろって。すぐ分かる」
公園のベンチに私を座らして、秋斗は携帯で誰かと連絡をとった。
「うん、そう。そこであってるよ、うん、ありがとう。よろしく」
簡素に通話を終えて、私の隣に腰を下ろす。
「...私鶴」
「ん?」
「急に連れ出してごめんな。びっくりさせたな」
そう言って、私を頭を優しく撫でる秋斗。
その表情は、どこか悲しげな表情で。
「...なんでそんな顔するの?泣きそうだよ、秋斗」
「...こんな連れ出し方しかできなくて、すごく不甲斐ない。…ごめんな」
__秋斗はきっと、きちんと筋を通して、私を連れ出したかったに違いない。
だから、今回の状況は秋斗にとっても、苦しいものなのだろう。
「ううん。…私、秋斗に連れ出してもらえてよかったと思ってる。だって、あんな狭くて窮屈なところにいたら、いつかおかしくなりそうだから」
おかしくなりかけた私を助けたのは、秋斗と、執事の皆。そして、お父様だ。
秋斗が後悔する必要は、どこにもない。
「大丈夫!きっとなんとかなると思うの。お母様は…わからないけど、お父様なら絶対、「ありがとう」って言ってくれるよ」
ぽんぽんと肩をたたけば、秋斗は顔を上げて、ふっと息を吐いた。
「...そうかな」
「うん、そうだよ。これは私が保証してやる」
ぐっと拳をにぎって見せ付けてみたら、少しだけ表情が和らぐ。
「それでさ、これからどこ行くの?」
「んー、行ってからのお楽しみ」
「えぇ...それはずるいってば。どこさ!」
「おーたーのーしーみ。ほら、行くぞ」
行くぞといわれた直後、公園の前に白い車が姿を現した。
「行くってだからどこ...」
「あの車に乗るんだよ」
秋斗の指すものは、公園の前に止まった車だった。
よりいっそう理解不能な状況に挙動不審なりながらも、引かれるままについていく。
車の前まで来ると、白い車の窓が開いて、男の人が顔を出した。
「遅くにごめん」
「いいよー、乗って乗って」
今度は、促されるままに車に乗り、そのまま車は発進した。
「あ、あの...」
「君が私鶴ちゃん?いやー、聞いてた以上の美人だねぇ。かっわいーの」
「おい」
「秋ちゃん怖いってば!ほんとのこと言っただけだよ!」
...秋ちゃん?
「兄貴が言うと変態っぽいんだよ」
「うわひっどーい!」
...うん?
兄貴?
....兄貴?!
「ほんとのことだろ」
「もー、この弟可愛くないんだけどー!ねー、私鶴ちゃん!」
「あ、あの、いや、ちょ、ちょっとまってください!」
会話の間に割ってはいるのは申し訳ない気もするが、名前を呼ばれたついでに聞くしかない。
「...秋斗のお兄さん、ですか...?」
「うん、そうだよー?結構似てるでしょ。って、見えないかー」
あははーと笑い飛ばす、...秋斗の、お兄さん。
もう色々わけがわからない。
「兄貴の朱羽。俺の5歳上」
「そ、秋ちゃんより色気たーっぷりのお兄さんでーす」
「うるせぇよ」
後部座席からバシッと秋斗にたたかれて、「いったー!?酷くない!?」と喚きながらも、楽しそうに運転する朱羽さん。
「しゅ、朱羽さん。私たちを乗せて、どこへ行くんですか?」
「んー?秋ちゃん、いっていいの?」
「...もうすぐ分かるからいいよ」
秋斗からの承諾を得た朱羽さんは、私にさらっと行き先を伝えた。
「僕らの家だよ。秋ちゃんの実家」
....え?
...秋斗の、実家?




