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俺は前世男子だった!?  作者: Silky Black
前世騎士だった少女
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前世騎士だった少女03

 柔らかな朝日が部屋に差し込み、小鳥の囀りが聴こえなくもない中、俺は目を覚ました。

 「朝ご飯だよ~」

 と一階から声が聞こえる。

 ちなみに俺の自室は二階にある。神川家は一軒家の二階建てだからな。

 「はーい、今行く~」

 ふふ、家では娘らしく振る舞えと言われているからな。

 こんな言葉使い好きでやってるわけじゃねえぞ?

 だってシュシに従わねば制裁の名の下に極刑が執行されてしまうからな。

 制服に着替え席につくとシュシも笑顔で席についた。

 何もしなけりゃ美人さんなんだよなこの人…

 Sイッチが入ってしまうと昨日みたいになってしまうんだがな。

 「あれ、そういや親父は?」

 俺はいつもいるはずの変態の存在がないことに気づき指摘した。

 「ああ、達雄さんなら…」

 シュシは人差し指で奥の部屋を指した。

 俺がそちらをみると…

 なんか丸まった布団がいた。

 そしてその中から首だけが飛び出していて白目を剥いている。

 「何アレ。」

 「朝なのに抱きつこうとしてきた変態よ。」

 「それは変態だな。」

 「でしょ?だから張り倒した後布団に体育座りで入れたあとぐるぐる巻いてから縛っておいたの。」

 「流石にそこまでしなくても…」

 「制裁女と変態男。」

 「シュシも親父もさり気なくオタクだよね。」

 「ママと呼びなさい。」

 「すみませんでした。」

 シュシに睨まれたので俺は即行で謝っておいた。


 「職場に遅れない程度に起こしてあげてね。」

 食事を食べ終わったのでカバンをもち、学校へ向かう。

 朝は美紀とは別々だからな。

 一人登校だ。

 一人で歩きながら考える。

 暇さえあればすぐこれだ。何をしていてもこのことが気になってしまっていて今の俺には重りになっている。

 だから早く解放されたいのだけれども、これはそう簡単に片付く問題でもない。

 前世、俺は自分で言うのもなんだがかなりのやり手だったはずだ。

 そんな俺が寝首を掻かれるなんて、なぜだ?


 しばらく歩いて気がついたら学校についたので思考を無理やり止める。

 俺は現世に何をするために生まれてきたのだというのか、そもそもなぜ前世の記憶があるのか。

 いまいち釈然としないモヤモヤしたものがどこかに溜まるような気分になるが無視してそのまま階段を上がり、教室に入る。

 まだ美紀はきていないようだ。

 俺は教室の窓側後ろから二番目の席に座り、また考えに浸る。

 最後に呼んでいたのは誰だ。

 二回も生を俺は何のために授けられたというんだ…

 「…いったい何のために生まれてきたんだ。」

 「おいおい、なんだよその深刻そうなセリフ。鬱病末期のセリフだぞ。」

 俺の独り言に口を挟んできたのは一つ後ろの席の頭がよろしくない超スポーツマン、中谷海紫なかたにかいしだ。

 「なんだ、通称バカか。」

 「うわ、人の名字くらい覚えてくれよ。」

 「覚えてるよ。」

 「じゃあそれで呼べよっ」

 「中谷バカし。」

 「注意、俺の名前にバカは入りません。」

 「中谷バカだし。」

 「いや、そうだけどね!?俺がバカなのは認めるけどね!?」

 こいつはいつでも元気だな。羨ましい限りだぜ。

 「ちょっと考えごとしてただけだよ。気にすんな。」

 ちょっと離れた所にいる男子たちがこそこそと可愛いなど囁きあっているのが聞こえた。

 俺はツンデレじゃねえし、まず男だっての。

 「考えごと?何のだ?相談くらいなら乗ってやるぞ?」

 いつものへらへらした顔とは一変して真面目な顔になり俺に問いかけてきた。

 そんな海紫のギャップもあってかついつい俺は呟いてしまった。

 「…分からないんだ…。自分が何のために生まれてきたのか、何をしたらいいのか分からないんだ。」

 それは俺自身とても自分の口からでたものだと思えない程に小さく、か弱い少女の声だった。

 ああ、自分のことを少女っていうの嫌だな…

 きっと海紫を除いて誰にも聞こえない程小さい声だったのだろう。

 何が恥ずかしかったのか海紫は頬を赤らめた。

 「重い話だなーオイ。でも、相談してくれて良かった。」

 はにかみながら海紫はそう言った。

 なぜだか急にこちらも気恥ずかしくなってきて、はにかみ返す。

 「あ、いや、あのごめんな、急に変なこと言って…」

 「でも意外だな。」

 「何が?」

 「いや、神川みたいなリア充してます人間がそんなことで悩んでるだなんてさ。」

 「おい、不穏な発言はやめてくれ。」

 「だってお前めちゃめちゃモテんじゃん。羨ましいくらいだよ。」

 あははは~と海紫は笑う。

 てかお前も十分かっこいいし、モテてんじゃんか。お前が鈍感すぎて気づいてないだけだよ。

 「あくまで俺の考え方だけどさ。何のために生まれ、何をするべきなのかなんて誰にだってそんなこと分からないし、決める権利なんてないんだよ。唯一その権利があるとしたら自分自信。何かをして生まれた意味を見いだすのはあくまで自分なんだよ。

 俺はさ、俺の命は自分の人生を楽しむために生まれてきたんだって考えてる。だから俺は今を楽しむために精一杯生きてる。生きる意味なんてそんなんでいいんじゃないかな。

 刹那的思考って言われたらそこまでなんだけど、『今』を楽しまなければもったいないきがするんだ。『今』は文字通り今この時にしかない。だったらどうせなんだし楽しんだ方がいいじゃん?一度しかない人生なんだからめいいっぱい楽しまなきゃな。」

 そこですこし長い海紫の演説は終わった。

 「『今』を楽しむか…」

 確かに普通なら一度しかない人生。前世で俺は精一杯楽しめたのだろうか。

 いや、来る日も来る日も戦ばかりだったあの日々に俺は疲弊しきってしまい、楽しんでいられなかった。

 そして俺は普通なら与えられることのない二度目の生を受けた。

 なら、今度は、今度こそは自分の人生を楽しんでみてもいいかもしれない。

 「…決めた。」

 なぜ二度目の生をうけたかなどは分からないけれど、俺も自分の人生を、『今』を精一杯楽しもうと生きようと思う。

 「俺もこの人生楽しみきってやるっ。」

 そんな俺をみて海紫はニコッと笑った。

 「んじゃ今度遊ばないか?」

 その海紫の誘いに

 「うんっ」

 俺は少女らしく元気に頷いた。

 俺、男だけどな。



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