表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/51

逃げるタイミング

前話のIF。

ボツ理由「なんか違うな」

情けない所を見せたと、気まずげに神は語る。

あの落ち込みようからして何かがあったのだろう。

だが、それを聞く気はない。

これ以上の関心を持たれる前に帰りたいのだ。

それに、もし解決しろなんて話になったら命が幾つあっても足りない。

さっさと願いを叶えてもらって退散しよう、そう考えて口を開く。


「誰にだって落ち込むこともあるし、情けない姿だって見せることもある。そう気にすることないって」

「お主は優しいのぉ。礼と言うてはなんじゃが、お茶を飲まぬか?」

「いや!願いを叶えてくれるだけで十分だ!」


これ以上居たくなくて思わず強めの声で断る。

言い終わり、強く言い過ぎたかと不安になるが神は気にして無さそうであった。

ホッと安堵する。


「そうかの?お主がそう言うのならこれ以上は何も言うまい」

「ああ、そうしてくれ。で、どうやって叶えてくれるんだ?」


神自ら叶えてくれる願い事。

表には出さなかったが楽しみにしていたのだ。

きっと壮大な感じで叶えてくれる、そう思っていたのに……。


「ん?もう叶えたぞ?」

「は?いつ?」

「ほれ、お主が妾に願いを言った時じゃ」

「え?………はあ!?あの時か!?いや、言っただけで叶うとかあるのかよ!?」

「普通は言っただけでは叶えてやらぬが、あの時も言ったじゃろ?“今回は特別じゃ”と」


悪戯が成功したとでも言いたげに神は笑う。

実感も何もあったもんじゃない。


「マジかぁ~。てことはあれか、ちょっとした危険も回避出来るってことか?」

「試してみるかの?」


ニヤリと笑い問い返してくる。

その笑みに嫌な予感がした。

このまま試したらロクなことにならないと勘が囁く。


「………いや、止めておく。危険なんて無いに越したことはないからな」

「残念じゃ………本当に試さなくて良いのか?」

「何度聞かれても同じだからな?断るって言ったら断る!」

「本当に、本当に良いのか?今なら褒美をやるぞ?」


何この神様。何がなんでもさせようとしてくるじゃん。

褒美をやるとか手段と目的が逆転してるだろ。

何がしたいんだよ、ほんと。


「何度も言わせないでくれよ……試さないと言ってるだろ?これ以上言うなら帰るからな?」

「それは困るのぉ……仕方なし、諦めるとするか」

「そうしてくれ……」


だいぶ疲れた。

というか、何気にもう少し居ることが確定している。

身から出た錆とは言え、迂闊な発言をしてしまったと後悔。

だが、帰ると言った時に見せた寂しげな表情を見てすぐに帰りたいとは言えない。


「人と話すのは何十年ぶりではしゃぎ過ぎてしもうた。お主、話し上手と言われぬか?」

「言われた事がないよ。後、何十は盛り過ぎだろ。何人かはここ訪れてたんじゃないのか?」

「確かに訪れた者は居ったが、お主のように会話した事はない。あ奴ら暴れるだけ暴れて帰ったからのぉ」

「よく仕返ししなかったな?」


自分の家を荒らされて怒らない人間はいない。

それは神だろうと変わらないはず。

疑問に思って聞くと、笑みと共に恐ろしい返答が返ってきた。


「何を言うとる、しっかり罰は下したぞ。死ぬのすら生温い目に遭っている筈じゃ。見に行くか?」

「…………止めておく。俺、グロいのダメだからさ」

「そうか?とても良い鳴き声を聴かせてくれるのじゃが……」

「………………」


行かなくて正解。死ぬのすら生温いって何だよ。

良い鳴き声ってつまり悲鳴ってことだろ。

被害者達のことを思い胸が締め付けられる。

だが同時に、こうも思う訳だ。


(人ん家を荒らしておいてタダで帰れる訳ないだろ!)


自業自得。身から出た錆。

馬鹿やったツケが返って来ただけなのだ。

この神が悪いと糾弾はできない。

というか、下手したら俺もそちらの味方入りしていたのだ。

肝が冷える。

過去に訪れた場所で俺も似たようなことをしていた。

音を立てれば霊が出るかとか、跡を残そうとかそんな理由で。

今はやってないとは言え、恨みを買ってる可能性が高い。

その中に目の前の神と同等の存在がいたかも知れない、そう考えるだけで他人事ではいられなかった。


(ほんと、よく今までオレ無事だったよな)


思わず遠い目をしてしまう。

確かに無事だった。だが、そのツケが今このような形で返って来た。

生きてるだけまだマシか。

話を聞くに、被害者達は今も苦痛を味わってるらしからな。

今後は気を付けよう。心の中でそう決意した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ