伊神という男sideナヨ
廃村編スタート
「久しいのぉ。伊神」
久方ぶりに相見えた旧友に対し、妾は手を上げる。
「久しぶり。あの時以来だから100年?200年?いや、300年ぶりか?ホントに懐かしいよ」
相変わらず時間感覚が狂っとる。
妾も言えた義理ではないが、長生きをするものではない。
だが、お陰でまた娘と会えた。
そう思えば長生きも悪くないものじゃ。
「お主は相変わらず歳を取らぬな」
「はは!これでも僕はかの方の血を引いてるからね。他の人よりも歳は取りにくいよ」
よくもまぁ、言うのぉ。
青年のような見た目で数百年生きとるくせに。
「お主を基準にしもうたら他の人間なぞ、赤子も同然じゃ。嘘は良くないぞ」
「まるで母親みたいなことを言うね?いや、今の君は母親か。久しぶりに戻って来た我が子がそんなに嬉しいんだ?」
ギリッ!
「そうじゃな。お主のお陰でまた娘に会えた。その事には感謝するのじゃ」
「おや?君が素直に感謝するとは珍しい。もしかして、槍でも降る?」
「はっ!そうかも知れぬのぉ。このまま、であればな」
白々しい。いつまでこの茶番をつ続けるつもりじゃ。
「おぉ、怖い恐い………そうなる前に帰らないと――――なんて言うと思った?」
「茶番に付きおうたのじゃ、礼としてそのまま帰ろうとは思わんのかのぉ?」
「無理無理。せっかく見つけた被験体だよ?この僕がわざわざ譲ってやる訳ないじゃん」
「黙れっ!!」
もはや我慢の限界じゃ。あやつにとって娘は、ナツキは、ただの玩具に過ぎぬ。
妾が守ってやらねばこやつに何をされるか。
例え死ぬことになろうとも刺し違えてやる。
「プッ!ハッハハハハハハ!!ぁあ~~面白い!!君がまさかそんなに子思いとは知らなかったよ。安心して。さすがに僕も君から子供を取り上げるほどバカじゃないからさ」
「………本当じゃな?」
「ホントほんと。嘘じゃないって。ここには鏡の様子を見に来ただけだよ」
……嘘は言ってはおらぬか。こやつの豹変ぶりは相も変わらず慣れぬ。
何を考えているのか分からぬ相手は気味が悪いのじゃ。
「はぁ……様子を見たら帰るのじゃよ。後、今は鏡ではなくナツキと呼ぶのじゃ」
「え?名前変えたの?」
「ん?それに何か問題があるのか?」
伊神の反応がおかしい。
やらかしたとでも言いたげじゃ。
ただ名前が変わるだけで何の影響があると言う。
「これは速くしないと不味いことになるね」
「っ!?待て!!それはいったいどういうことじゃ!?」
慌てて問い詰める妾に聞かされた話は寝耳に水であった。
「このままだとナツキだっけ?堕ちるよ」
別キャラ視点の場合は会話文多めで行きたいと思います。
要望があれば主人公視点も同じ物に変更いたします。




