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0、プロローグ

 ここは辺り一面花咲き乱れる美しい花畑。その中に


「ここはどこ?」


 と、迷える女の子が一人。そんな女の子の横で一人の女性が土下座している。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


 呪いの呪文かと思ってしまうくらいに謝罪を呟いて。









 目が覚めたら辺り一面お花畑だった。何故私は花畑にいるのだろう。私は普通のOLで、いや、ブラックだったから普通ではないのか。ありきたりと言えばありきたりだが。ともかく、いつも通り家に帰ってすぐ寝たはず。


 あっ、これ夢か。もう一度寝よ。そうすれば次は現実なはず。じゃあ、おやすみな「待って下さい!! 寝ないでーーーー!!」


 誰。土下座してる。実際にしてる人初めて見たため地味に感動した。


「私は主神をやっていますティーアと言います」

「あっ、丁寧にありがとうございます。私は佐藤梨花と言います。ここはどこですか?夢ですか?」

「ここは神界です。勿論夢じゃないです!! 私が誤って雷を梨花さんの部屋のうえに落としてしまいまた。そして梨花さんは死んでしまったのです! 謝って許されることではないとわかっています。それでも謝らせてください! ごめんなさい! 本っ当にごめんなさい!!」


 そう言って私が言葉を挟む隙もなく喋り続けたティーア様が土下座を再開した。美人さんだからちょっと絵面が絵面がよろしくない。これだと私が悪役っぽいではないか。


 そして、土下座ってそんな簡単にするものではない。いや、それほどのことではあるか。そうだ、私、死んだんだった。マシンガントーク過ぎて内容がするりと通り過ぎて行ってしまっていた。こうしてティーア様と話していると、自分が死んだっていう感覚が湧かない。


「そうですか。なら、これから私はどうなるんですか?」

「死なせてしまった私が言える事ではないんですが、冷静すぎません? 普通もっと取り乱しません? ありがたいけど。……えっと、梨花さんは本来、まだまだ寿命があったのに死なせてしまったので、ここではない、いわゆるファンタジーの世界に転生してもらおうと思います。すみません、同じ世界にできなくて…………」

「うそ。異世界転生!? マジですか!?」

「ふふっ。はい、マジですよ。喜んでもらえているようで助かります」

「やったぁ! ありがとうティーア様!!」


 そこまで言って気がついた。女神と敬語なしで話していたことに。



 どうしよう。自分でも血の気がひいていることが分かる。


「ふふっ。大丈夫よ。むしろ普通に話して。様付もなくしていいわ。私ももう普通に話すから」

「えっ、あ。ありがとう」

「それでね? 私が雷を落としてしまった時にね、あなたの体がね、そのね、…………消えてしまったの」


 てへっと可愛らしく微笑んで傾けられた。可愛い。じゃなくて。


「……え? 消えてしまったの? ミスでそんなになるなんてどんなに強い雷落としたの?」

「ん? 問題そこかしら??」


 目を瞬かせているようだけど、人間はそんなもんだと思う。既に死んでいるのだから、体はもうどうなろうと私には関係ないのだし。


「あ、でも一つ。フェイは無事ですか?」

「ええ。私はあなたにしか雷を落としてしまわなかったみたいだから無事よ」


 よかったけど。よかったのだけど、どれほど低い確率で私に雷が当たったのかという話になってくる。そう言ってしまいたいのを必死で我慢した。この人は女神この人は女神。ツッコミはダメ、ゼッタイ。



 別のことを考えよう。フェイが無事でよかった。願わくは いい人に飼われて欲しい。犬だから選べないだろうけど。神の前で願ったら叶いそうな気がする。


 私はひたすらにフェイの幸せを思った。

蛇足

花畑の花の種類は梨花には認識できていません。だって神界の花だから!

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