出会い
・・・久々に夢を見ていた。聞いたことがないはずの声なのに、懐かしく感じた。俺を・・・。
目を開ける。見覚えのない天井が目に広がる。
・・・俺は生きていた。死んだと思っていたのだがそうではなかったらしい。ベッドで俺は寝ていたようだ。
体を起こし、あたりを見渡すと、広い部屋に、なかなかに高そうな壁やインテリアなどの装飾品。ベッドの隣には高そうな小さなテーブルが有り、その上には俺のベレッタとスイッチ式ブレードが佇む。この部屋を例えるなら、昔の貴族とかが住んでそうな部屋。・・・昔の貴族?
「あ!お目覚めになられましたか!」
正面のドアの方から少女の声が聞こえる。
その声に反応し、俺はベッドから出て、テーブルの上に有ったベレッタのチャンバーを素早く確認、セーフティを解除し、ドアの前にいた金髪の少女に銃を向ける。
いきなり動いたせいで、体から激痛が走る。
「・・・っ!」
その激痛のせいで、俺は片膝を立てる。
「あまり動かないでください!あなたは大怪我をしているのですから!」
そう言いながら、少女は俺の元まで小走りでやって来る。だが、お構いなしに、俺は銃を構える。
「・・・それ以上近づくな!」
俺は最大限、警戒する。どこかもわからない場所、誰かもわからない人間ほど、警戒しないといけないものは無い。
俺の静止で、その少女は足を止める。
「・・・そう警戒なさらないでください。私はあなたの敵では有りません。現に、あなたを助けているではないですか」
「・・・俺を助けただと?何が目的だ?」
とりあえず、目的を聞く。情報が目的ならこのまま逃げるし、俺という人間なら、話だけ聞くつもりだ。
「目的は有りません。私はあなたとお話がしたいだけです!信じてください!」
・・・目的が無い?自分で言うのもあれだが、仮にも、特殊部隊の人間だぞ?情報を吐かせるだの労働力だの要求してくるのもじゃないのか?
「・・・・・・その話が本当か、今証明することはできるか?」
「えぇもちろん。もし私があなたから情報を吐かせるために、まず拷問をするでしょう。ですが、それをするための道具も無ければ人員もいない。なぜならそれをする必要が無いからです。そして、本当に興味があるのは、あなたと、あなたが持っている物です」
俺と、俺の銃?銃に関して、そんなに珍しいものでは無いはずだが。
「・・・とりあえず、俺の命は大丈夫ということで良いんだな?」
「はい。今後一切、あなたには危害を加えないことをお約束いたしましょう。この『グランフレッツ王国第一王女』の名に懸けて」
・・・今何て言った?何王国だと?その第一王女?俺は王族に銃を向けているのか??
「・・・今何王国と言った?」
「?グランフレッツ王国ですが・・・?ご存じないのですか?」
・・・ホントにどこだよその王国。地球にそんな王国存在していないはずだが?最近建国されたのか?でも、そんな情報聞いたことがない。
「・・・あぁ、知らいない。しかも、そのぐらんふれっと王国?第一王女だって?」
「グランフレッツ王国です。そうです。この国の王女です」
・・・聞き間違いではなかった。だとしたらここはどこだ?
「・・・それより、お体の方は大丈夫ですか?」
「んなわけあるか。体に風穴空いてんだぞ」
俺は真顔でそう言う。その間、俺は必死に頭を回転させる。が、そのたびに頭痛がする。おそらく、貧血によるものだろう。急に動いたことによる体の傷口が開き、そこから血が出たのだろう。俺はそのまま意識を失うのだった・・・。