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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第1章 冒険者大会の狂った前夜祭
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第42話 会議②


「……ひとつ言えるのは、この件は外野に振り回されているということだ」


 支部長が、そう断定するにように言う。

 彼の頭の中では、王立騎士団=ここに集まっているメンバーという図式が成り立っているのだろう。王立騎士団に付随して活動したいとか言っていたわけだしな。


 この図式を前提にすれば、確かに市警そのものは外野に映ることだろう。俺が依頼した探偵も同様に違いない。


 支部長ベースで話が進むのも癪なので、俺は口を挟むことにした。


「支部長。ひとまず他のメンバーの考えも聞いてみませんか? 」


 と、イザークたちのいる方に手を向ける。

 イザークやロミーナは『遊撃騎士団』のメンバーだし、エリンについても主体的な思惑があるようには見えない。


 だが、まずは意見を聞くというのは間違っていないだろう。


「そうだな。ではイザーク君たちは、この件をどうしたい? 」


 支部長から意見を求められ、イザークがその場で立ち上がった。


「私も、支部長の意見に賛成です。しかし、ハンターの今後の出方に対応するため、『遊撃騎士団』も総員を招集し、事に当たった方がよろしいのではないでしょうか? 市警の特別予備隊が動員されたわけですので、それに対するハンターの出方が気になります」


 予想通り、イザークは支部長の案に賛成のようだ。

 まあ、補足意見は決して悪くないが。


「そうだな。その点も検討することにしよう」


 今度はロミーナが立ち上がった。


「私は、皆で分け隔てなく協力すべきかと思います。調査する以上は、協力し合って犯人の逮捕することを目標にしませんか? 」


 なるほど。

 今ここにいるメンバーたちも、主体的に動くべきだと言いたいわけだ。てっきり、支部長の案にそのまま賛成するものと思ったが、意外だな。


「ロミーナ君。助け合いの精神は大切なものだ。だからこそ、王立騎士団に協力すべきなのだ」

 

 と、支部長が言う。

 付随的に動くのも、確かに『協力』のあり方の1つと言えるが、ロミーナの言う『協力』とは、それぞれが対等な立場で協力すべきということである。

 

 やはり、支部長は自身の思惑に誘導しようと考えているようだ。


「あの……そろそろ私もいいですか? 」


 エリンが、申し訳なさそうに声をあげた。


「エリン君か。良いぞ。キミの意見を言ってみたまえ」


 支部長に促され、エリンが1度深呼吸をする。


「あの、私はイゴルの……イゴルさんが依頼したという探偵にも協力してほしいと思っています。ゲルトという存在が判明したのも、その、探偵の方からの情報と言ってた……言っていましたし」


 エリンは緊張している様子を見せつつも、立派にそう言った。

 と、同時に俺も無意識に立ち上がっていた。


 今ここにいるメンバーの中で、俺と契約関係にある探偵に視点を向けたのは、エリンだけだ。他のメンバーは、あの探偵を軽く扱っている節があったというのにな。


「エリン君……」


 支部長も、驚いている様子だ。

 まあ、あの探偵は優秀に違いない。奴のおかげで、俺は色々と助けられている。だが迂闊に彼を巻き込むようなことはしたくない。何せ、≪裏≫から情報を集めるわけだからな。

 余計に話がややこしくなる。


「イゴルも何か言って」


 エリンがそう小声で囁く。

 支部長が腕を組み、ただ一点だけに視線を向けていることを見かねたのだろう。

 

「確かに、俺が依頼している探偵は優秀ですが、彼は多忙の身でもあるのですよ。彼は彼なりの方法で仕事をしているんで、あまり手を煩わせたくはないですね」


 実際どれほどの依頼を受けているかは知らないが、忙しいということしておけば良い。


「なるほど、忙しいのか。ならその探偵には、引き続きイゴル君を通して協力してもらうとしよう」


 支部長も同意見のようだ。

 まあ、あくまでも王立騎士団に付随して活動する方向に持って行きたいだけだろう。そのため邪魔になりそうな要素は、理由を付けて排除したいわけだ。


「……忙しいなら、仕方ないか。冒険者じゃないわけだし」


 エリンも素直に応じた。


 さて、この中で意見を述べていないのは、俺だけとなった。

 何を言おうか……。


 それとも、何も言わずにやり過ごすか……。


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