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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門
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リーザとの出会い 2

暗がりの中でもはっきりと分かる。

今私は、見た事も無い美女をこの腕に抱いている。

外国人さんかな?ほっそりとした体にシルバーグレイの美しい髪を巻き上げているようだ。

意識は有るみたいだ。何かに苦しんでるようでもない。

「どうしました?大丈夫ですか?」

声を掛けたが返事は無い。ああ、言葉、日本語が通じないのか。

でも私は英語その他、外国語喋れ無いからな。

「どこか調子が悪いのなら救急車を呼びますよ」

その人はゆっくりと目を開けた。


通りをゆっくりと走り去る、車のライトに照らされた濃いグリーンの瞳に私は見つめられた。

グリーンの瞳は、少し不安そうにキョロ、キョロと目をゆっくりと左右に動かした。そして彼女は弱々しく微笑むと

「ダイ・ジョー・ブ」

と片言の日本語が帰ってきた。


お、日本語行けるじゃん!でも、大丈夫と言った割には体を動かそうとせず、ダランと脱力してしまってる。

病院に連れて行くのが一番だと思った。

それにこの後、厄介事に巻き込まれても嫌だしな。

そう思った時、彼女が再び口を開いた。

「スコシ・ドコかで、、、少し休めれば、体も戻りますジュツ使えるでしょう」

あれ?日本語普通に話せたのか、、、ジュツ?

「どうか、ドコカの場所へ運んで、安全なこのまま、連れて行ってもらえませんか」

そうしている内に、夜空が一瞬輝き(今度は十分に遠くだ)続いてゴロゴロゴロ、、、と知っている落雷が発生した。

彼女は落雷にビクっと反応した。

この雷に合わすかのように雨足が強くなった。

どうしたもんだか。

迷いつつも私は彼女を背負うと、アパートに向かって走りだした。


背負う彼女は力無く、ぶらぶらの状態。

何かの奇病?もしくは本当はどこか体調が悪いのか、体を痛めているかも知れないので慎重に、でも出来る限り早く。

雨が強く降り出して来ちゃったな。ああ、タクシー拾えば良かったのか。

でも、この停電の町で救急車にせよ、タクシーにせよ、車に乗るのは少し危険かも知れなかった。


何とか程なくして、私のアパートの玄関前に到着した。

調子の悪い、見ず知らずの女性を自分の部屋に連れ込む。

男の一人暮らし。彼女が呟いた『安全』とは真逆な場所だな。

何か少し罪悪感。


彼女を背負ったまま、ポケットから鍵を取り出し中に入った。

「パチンッ」

と廊下の壁スイッチを入れても電気は点かず。このアパートも町中と同じく停電していた。

取り敢えず彼女をベットのヘリを背中で当てて座れる状態で下ろし、バスタオルを取りに走った。二人共本降りとなった雨の中を傘もささずに移動したので、ずぶ濡れだ。

暗がりの中、彼女にバスタオルを渡そうとしたが、どうやら受け取る為に手を上げる事もままならない様だ。

私は彼女に近づくと、そっと顔からアゴの下、首回り、髪の毛、肩や腕と順にバスタオルで拭いて行った。

さて問題だ、これ以外の濡れた体の部位をどう拭くべきか。それと、濡れた洋服をどうすべきか。


このままで風邪をひかれても困るので、取り敢えずタオルを二枚重ねにしてから数回畳み、私の手の平がその厚みでもって彼女の体に影響しずらい状態を作った。我ながらナイスなアイディアだ。

これなら不要な誤解は生じないだろう。たぶん。

後で『体の自由が効かない事をいいことに、私の体をなぶりものにした!』とかで、訴えられたら嫌だもんなぁ。

さて、準備は整った。再び彼女の体を拭き出した。


さてさて、次だ、第二段階だ。

濡れた洋服。やっぱ着替えさせないといけない。

「何か着替える物を準備しますね」

暗がりで彼女の表情が伺えない。

私はキチンと洗濯がされているグレー色のスエットの上下を準備した。


「これに着替えて下さい」

暗がりの中、彼女の少し困った顔が伺えた。

「ダメ、チョットダメです。それ、着替えお願いしたいデス」

ええ〜!ちょっと待てよ。なんかソレまずいよ。

「お願いシマス」

幸い停電中でハッキリと裸を見る分けではないしな。部分的に触れてしまったら?それは役得としておこう。

「では失礼して上衣から」

停電のなか、手探りで前ボタンを外す。

濡れた衣類は体にまとわり付き、勝手が効かない。

動かない彼女の右腕、右肩と服をずらし、、、片腕だけでも思いの外手こずる。続いて左腕、左肩の順で、、、

何とか上衣を上へ抜き取るようにして脱がせられた。

その下のシャツはどうやら背中にボタンが有り、ベットを回り込んで背中のボタンを外した。

アーモンドのような楕円のボタンを糸で作った輪に通してあるようで、これまた少してこずった。

前に戻って正面からシャツを引き抜く。

シャツのその下、、、ブラジャーは付けていなかった!

上半身裸の状態で再び厚手のタオルを作り、ポンポンポンと優しく叩くようにして濡れた衣服の後を拭いた。

彼女の頭からスエットを被るように着させ、後に袖を通した。

袖に腕を通す時、少し彼女の胸に触れてしまった。

大きい、、、

不可抗力だ!が役得だ!


次に下半身、スカート(のようなモノ?)に取り掛かる。

ベットのヘリを背に両足を投げ出すような体勢にしてから、スカートを引っ張る。

ダメだ。お尻がしっかりと乗っちゃってる。

私は彼女を抱きかかえるようにお尻を浮かせ、スカートを抜き取った。

その状態で厚手にしたタオルで腰回りと脚をポンポンポンと先程と同様にして拭いた。

パンツはさすがに私が脱がせるのに抵抗が有る、、、以前にダメだろう。なので、そのままでいいだろう。

今度はスエットのズボンを両脚から通し、最後にもう一度腰から抱え、お尻を収めた。

あれ?パンツ履いて無い??


「ふぅ~」

何とか一通り着替えを済ませる事が出来た。

何か等身大の着せ替え人形を着替えさせたみたいで、妙な気分だが。

まだ彼女は体を動かせそうもなく、私は彼女を抱えベットに横にして、タオルケットを掛けた。

あ、何か匂ったらやだなぁ。万年床では無いが、清潔とは言えないぞ。

「体調はどうですか?痛むような所は有りませんか」

暗がりの中に浮かび上がる彼女の横顔のシュルエットが美しい。

「ダイじょうぶです。少しこのまま、いさせて下さい」

日本語、普通じゃん。日本人かな?

私は彼女をベットに寝かしたまま、自分の着替えをしに隣室に向かった。


停電で真っ暗な中、タンスや衣装ケースを適当にまさぐり、着替えを選んだ。

あ、せっかく女性の来客なのに自分が着替える格好を考えて無かった。まあいいや。

着替え終わりタオルで頭を拭いていると照明が点いた。

どうやら停電が復旧したな。

私は彼女の様子を見る為に隣室のへと向かった。


隣室も照明が点き、ベットに横たわる彼女を照らしている。

先程暗がりの中、車のライトで見た美しい顔立ちであったが、照明の下ではっきりと彼女の顔が見れた。

天使爆誕!女神降臨!この世のモノか!より美しく、可愛い。

「気分はどうですか?」

彼女は微笑みを向けてくれた。美しい。

「ありがとう」

どうやら顔を左右に動かしたり、肘から先ぐらいなら動かせるようになったみたいだ。

でも、体の自由が効かなくなるなんて、奇病か何かなのかなぁ。

彼女の束ねていただろう美しく長い髪は、雨に濡れ、先ほど暗がりの中で中途半端にタオルで拭いたせいか乱れまくっていたし、しっとりとまだ少し濡れていた。


私は洗面所に向かい、滅多に使わないドライヤーといつの日かホテルの備品を持ち帰った未使用のブラシを持って彼女の横たわるベットの横に膝まづき、髪の毛を乾かす事にした。

彼女の顔を横向きにし、先ず頭頂部から後ろにかけてドライヤーとブラシをかけ出した。

彼女のシルバーグレイの髪は艶々で美しく、キラキラと輝いている。

ドライヤーを弱に設定し、ブラシでそおっと、そおーと髪をとく。力を入れたりドライヤーの熱風で彼女の髪を痛めたり、傷つけたくなかった。

そもそも女性の髪の毛にこんなふうに触れる事は無かったし、ましてや女性の髪を乾かす、ブラシでとかすなんて初めての経験である。

なんか、ドキドキして来た。

彼女の髪に触れる度、ドキドキが増して来る。

だめだ、このままだと心臓が保たないかも知れない。

おっ、いい事思い着いた。

「お客さーん、かゆいトコ無いですかぁ~」

咄嗟の床屋さんごっこ。

「・・・。」

反応が無い。何か辛い。気まずい。

そ、そうだ!

「ちょっと待ってね」

そう言って彼女が横を向いたまま観れるようにテレビを移動させ、テレビを点けた。

「もう少しで髪を乾かせれると思うけど、テレビでも観ててね」

彼女は食い入るように画面を凝視し出した。ちょっと驚いた、テレビ観た事無かったのかなぁ。

まあこれで先ほど滑った、床屋さんごっこを誤魔化せるな。


私は彼女の美しい髪の毛を乾かす続きに戻った。

乾かす場所は後部分から側面へと移しだした。

同じように上から下へ、そおっと優しくそおっと

額の横から耳に髪が掛かる感じで。

耳に、

あれ?何か違和感。

耳、、、耳の形が、、、少し尖ってる?

彼女の耳がぴくぴくと動いた。


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