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第二話 初登校

俺って小学生の頃どんな感じだったっけ...


通学路を歩きながら考える。


正直なところ小学一年生の頃の記憶は後悔の記憶しか残っておらず、友達とどんな話をしていたか、どんな遊びをしていたかはあまり覚えていないのだ。


変にキャラ作ってもボロが出るだけだし、そこまで変えずに行くか。


そんな結論に至り、気づけば校門まで歩いてきていた。


俺の通う小学校はタイムスリップ前と変わらない北小学校。


パラレルワールドに飛ばされて全く違う人達という可能性も考えていたが、その点は大丈夫そうだ。


受付を済ませ、タイムスリップ前と同じ1組へ案内された。


教室へ着き、早速挨拶をする。


「おはよう!今日からよろしくー」


すると一気に先に入っていた生徒達の視線が集まり、数秒間の沈黙が訪れた。


こっちからすると全員顔見知りのようなものだから普通に挨拶しちゃったけどミスったな、なんて思っていると、一人の生徒が挨拶を返してくれた。


「おっす!よろしくな!」


彼の名前は渡辺翔太(わたなべ しょうた)


超絶明るいやつで服装が暖色系以外着ていることを見たことが無いという生粋の陽キャである。


タイムスリップ前は陰キャ寄りだった俺は向こうが話しかけてくるので全く話さないわけではなかったが、休日遊ぶような友達というほどではなかった。


そんな彼に挨拶を返してもらったおかげで教室の空気が変わり、他にも挨拶を返してくれるやつもいた。


席は名前順となっており、苗字が渡なので当然一番後ろの席だった。


そして前に座っているのが先ほど挨拶を返してくれた翔太である。


席へと座り、早速翔太に話しかける。


「さっきは挨拶返してくれてありがとう。一瞬時が止まったかと思ったよ。」


『いや、実は俺も来た時挨拶してさ、誰も返してくれなかったんだよな。』


『だから返すの遅くなっちまった、ごめんなー』


あ、こいついいやつだ、と再確認し時間までお互い軽く自己紹介をし合った。


その後、続々と生徒が入ってくるが、誰一人挨拶することなく、まあこんなもんだよなーなんて思っていると担任の先生がやってきた。


『皆さんおはようございます。』


『「おはようございまーす」』


相変わらず俺としょーた(さっきの自己紹介の後そう呼ぶことになった)だけ挨拶を返し、入学式へ向けて説明を受ける。


そのまま体育館へ案内され、入学式が始まった。


めちゃめちゃ長い式を想像していたが思っていたよりも短く、30分程度で終わり再度教室へと移動させられる。


教室へ戻ると、早速自己紹介をする流れとなった。


『では先生から自己紹介します。』


『先生の名前は佐藤昭子、好きなことはピアノを弾くこと、嫌いなことはこんな感じで黒板をひっかく音です。』


『『『「うっ...」』』』


相変わらずの無神経さで先行き不安になる。


そのせいで色々と事件が起き、一つの後悔が生まれてしまうので今回は阻止していきたい。


名前順で一人一人自己紹介がされ、緊張と不安からか泣き出すやつ、ずっと黙っているので順番を飛ばされるやつなんかもいたが、どんどんと進んでいき、しょーたの番までやってきた。


『渡辺翔太、好きなことはサッカーっす。』


『嫌いなものは母ちゃんのおならっす!』


『これからよろしくー』


自己紹介を終えるとクラスは爆笑に包まれ、流石だなと思いつつもこの後自己紹介しにくいなと思った。


『面白い自己紹介をありがとう!このクラスのムードメーカーは渡辺君に決まりかな?』


『じゃあ次渡君、渡辺君に負けないような自己紹介をよろしく!』


もう気にしたら負けだと思い、自己紹介を始める。


「初めまして、先々週からここ北海道に引っ越してきました、渡行時です。」


「好きなことはいっぱいありすぎてここでは答えられません。」


「得意なことは名前を覚えることで、みんなが自己紹介してくれたので全員の名前覚えました。」


「答え合わせも含めて同じ好きなことがあるか話しかけてくれると嬉しいです。」


「嫌いなものは父ちゃんのおならです。」


「これからよろしく!」


名前を覚えることについてはタイムスリップしてきていることもあり、自己紹介をしてもらうまで忘れているやつがほとんどだったが、大体は思い出すことが出来たのでこう言うことが出来た。


我ながらユーモアあふれつつ天才感も出せた良い自己紹介だったと思う。


『渡君、自己紹介ありがとう。』


『素晴らしい自己紹介だったわ!これから渡渡コンビとしてクラスを盛り上げていってね!』


こうして自己紹介が終わり、明日からの簡単な説明の後は自由時間となった。


自己紹介の甲斐もあり、クラスのほぼ全員と話すことが出来た。


一通り話し終えた後で下校の時間となる。


母が待っているので一緒に帰る。


『今日はどうだった?お友達できた?』


「うーん、まあまあかな。」


『そんなこと言って、さっきまでお友達と話してたの見てたんだから。』


そんな話をしながら家へ向かう。


こうして二度目の人生初の登校を終えたのだった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


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次回、初めての授業

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