86 アンデット ②
「ユウー、手伝いに来たわよー。」
そう言って俺達の前に現れたのは先日助けたマーメイドのヴェリルだ。
その横には他にも数人の女性が乗り込んでおり、周りの船にも同様に多くの女性が乗り込んでいる。
どうやら多くのマーメイドがここへ助けに来てくれたようだ。
よく見れば先頭の船には見覚えがあり、その操船室にはイソさんが乗り込んでいた。
すると俺の携帯が鳴り名前を確認するとどうやら総理からの様だ。
俺は戦いながら電話に出ると用件を問いかけた。
「ユウか。テレビを見て驚いたぞ。」
(テレビ?何の事だ?)
俺は総理の言葉に周囲を見回すと少し離れたマンションの上から誰かがカメラを回しているのに気付いた。
いつの間にかテレビ局が現れ中継をしていたようだ。
「戦闘に集中していて気付きませんでした。それでマーメイドを送ってくれたんですね。」
「ああ、その通りだ。マーメイドには呪歌による浄化が出来るからな。それと、ここ最近のアンデットの動きから推測するに、その町に向かっている可能性が高いというデータも来ている。世間で報道があったのは最近だが政府はもっと前からその存在を確認していたからな。」
どうやら、世界的な報道規制が敷かれていたようだ。
しかし、それならせいぜい俺達には教えて欲しかった。
それを知っていればもう少し戦力を集中させておいたのに。
しかし、総理の持つデータが正しければ、今この瀬戸内の海中には大量のアンデットで溢れている可能性がある。
「総理、ここにアンデットが集まっている原因に心当たりはありませんか?」
「噂の域を出ないが海上に所属不明艦を見たという情報がある。もしかしたら何者かがアンデット共を誘導しているのかもしれん。」
すると総理の後ろから扉の開く音が聞こえ、何者かの声が聞こえて来る。
「総理、先日から目撃情報のあった不審船を拿捕しました。尋問の結果、ディスニア王国の者だと言う事です!」
「聞こえたかユウ。また、あの国の仕業の様だ。儂はこちらでする事があるから動けん。そちらは任せたぞ。」
そう言って総理からの回線は切れてしまい、俺はアキトのもとに向かって事情を伝えておいた。
「予想以上に腐った奴等の様だな。」
アキトは怒りの罵倒を吐き出すがまさにその通りだ。
あの国のせいで俺の平和な日常が波乱万丈な物に変わり始めている。
そろそろ対処を考える必要がありそうだな。
すると俺とアキトの傍にメノウとカエデが駆け寄って来た。
いつもは戦闘に参加する事を嫌う彼女達にはとても珍しい事だ。
「ユウさん。天使の固有スキルを使用して周囲のアンデットを一掃します。」
「負担は大丈夫なのか?」
天使は魔物ですらむやみに殺せば業が積み重なり悪魔へと変わってしまう。
しかも、今回は何万とも言える魔物が相手だ。
下手をすれば一気に悪魔へと堕ちてしまうかもしれない。
「アンデットは生物ではないので大丈夫です。それにこれは魂の救済に当たります。私達の業に影響はありません。」
「分かった。それなら任せたぞ。」
「カエデも頑張れよ。」
俺とアキトが声を掛けると二人は沖の船へと向かって行った。
そして、陸では牛鬼との激しい戦いを繰り広げ、沖ではメノウとカエデが船に降り立ちマーメイドたちに説明を行っていた。
「皆さん、鎮魂の歌は歌えますね?」
すると全員から頷きが返された。
それを見てメノウも頷くと説明を続ける。
「今から私達のスキルであなた達の歌の威力を増幅させます。皆さんはいつも通り歌を歌ってください。」
「「「分かりました!」」」
そしてマーメイドたちは歌い始める。
その声はとても澄んでおり、どこまでも風に乗って届いていきそうだ。
それを聞いた周囲のゴーストたちは既にその身を光に変え安らかに浄化し始めていた。
するとメノウとカエデは互いに翼を広げてスキルを発動する。
「「聖歌発動!」」
するとマーメイドたちは光に包まれ船から浮き上がり始めた。
一瞬歌が止まりそうになるが次第に落ち着いて来たマーメイドたちは更に歌を続ける。
そして全員が空に浮き上がると光の舞台が作られそこに整列し、その前に二人の天使が並んだ。
するとメノウとカエデもマーメイドと同じフレーズで歌い始めた。
二人は見た目は幼いが長い年月を生きる天使であるのでその知識も幅広い。
その中には呪歌も含まれているので鎮魂の歌も歌う事も出来る。
そして、揃って合唱する事で聖歌の効力が海全体へと及んで行った。
するとここで更にアクアがこの広い瀬戸内の海水に手を加え、彼らの歌が隅々にまで届く様に操作をする。
すると海底で未だに進軍していたスケルトン達にまでその歌が届き、彼らもゴーストたちと同じように次第にその姿を水に溶かすように消していった。
そして海底には夥しい数の魔石が残されることになる。
しかしそこで、最後までこの歌に抗う魔物達が現れた。
そのモノは最後の力で周囲のスケルトン達を取り込み、次第に肥大化していく。
そして、その大きさを50メートルとした所で歌の効果に打ち勝ち、一匹の魔物として進み始めた。
そしてその気配に当然ユウは気付いていた。
消えゆく魔物たちの中で唯一、反応が大きく残る場所があったからだ。
そして、千里眼で見たモノはまさに巨大なスケルトンであった。
日本にはガシャ髑髏と言う妖怪がいるがまさにその姿そのものである。
そして巨大なスケルトンは次第に速度を増してユウ達の元へと動き始めた。
そしてこの広い瀬戸内海から一匹を残し全てのアンデットが消え去ったと同時に歌い続けていたメノウたちは船上へ下りて歌を終えた。
すると周囲の者達から拍手が送られ、彼らはマーメイド達を褒め称えた。
しかし、まだ残る一匹に気付いているのはユウだけではない。
「まだ終わっていません。これから大物が来るので皆さんは安全のために退避してください。」
メノウは船頭たちに指示を出すとカエデと共に再び空に上がり、ユウ達が待つ河口へと向かって行った。
すると一人のマーメイドが海に飛び込み同じく河口へと向かって行く。
その様子を仲間たちは温かい目で見守るのだった。
そして、ほどなくして海面の一点に波が立ち始めた。
それは移動しており、河口へと向かっている。
すると河口に近づくにつれその姿が露わになり、最初に頭蓋骨が見え始めると瞬く間に胸までが姿を現した。
それを見てヒムロたち自衛隊組の4人は陸の埋め立て地から一斉に攻撃を開始する。
しかし、命中はするが弾丸はまるで表面を滑る様に弾かれていく。
傷はつくがどれも浅くダメージと呼べるモノは与えられなかった。
「何アイツ。あれって本当に骨なの?」
「もしかすると私達の攻撃が刺突に分類されているのかも。やっぱり打撃じゃないとダメージを与えにくいみたい。」
彼らは魔弾が使えないので今の攻撃は通常攻撃と変わらない。
魔力も魔刃も纏っていない今の攻撃ではこのスケルトンにダメージを与える事は出来ないようだ。
その為ここで戦うことが出来る者はユウとアキトとアクアだけとなった。
マーメイドたちも海中の戦闘は可能だが、危険性が高すぎるために既に退避している。
当然そうなればイソさんも護衛として退避する事になるためここには既に居ない。
ユウとアキトは剣を手に取ると海面を走り出しスケルトンへと向かった。
アキトもスキルポイントを有効に使用し、水上歩行のスキルを習得している。
さらに二人は水中戦も考え、潜水も習得していた。
だがユウは釣りは好きだが泳げなかったので水泳のスキルは他にバレないようにこっそりと取っていたのはここだけの話だ。
そのため先日、スピカがユウをサポートをして水上歩行のスキルを覚えたのが如何にファインプレーだったかが分かる。
俺は接近するとまずは聖装を纏い見えている手頃な骨に攻撃を加えた。
『ガキーン』
「かったーー。」
しかし、剣での攻撃は金属同士がぶつかる様な音を上げて弾かれてしまう。
今の攻撃で3センチ程は切り込めたが骨の太さは50センチ以上はある。
するとスケルトンは俺達へハエでも払うように腕を振るってきた。
それだけで周囲は高い波を立て、大量の水に俺達は押し流される。
『聖装のレベルが6に上昇しました。』
『聖装のレベルが7に上昇しました。』
『水耐性のレベルが6に上昇しました。』
『圧力耐性のレベルが6に上昇しました。』
『潜水のレベルが2に上昇しました。』
俺達は波にのまれたが再び海面に上がり水の上に立ち上がる。
そしてスケルトンを見れば何故かこちらに反応する事は無く河口へと向かって行く。
その不自然な動きにこのスケルトンには何か目標になる物、又は人物がいるのではないかという考えが浮かんだ。
俺はすぐにメノウの連絡をとると彼女にこのスケルトンの意識を探る様に言った。
「このスケルトンは何かを目標にしているみたいだ。何か分かる事は有るか?」
「待ってください。確認してみます。」
そしてメノウは飛び立つとスケルトンの上空て滞空し、その心に耳を傾けた。
するとそこからは予想外の言葉が聞こえて来た。
『貴様が国から逃げたせいで俺達の村には結界石が設置されなかった。』
『貴様が結界石の施設を破壊し逃走したから俺の村の結界石を修理できずに家族が死んだ。』
『国王から聞いたぞ。全ての元凶の名を。ライラ、貴様だけは絶対に殺す。』
そういった恨みの感情が今のこのスケルトンには渦巻いていた。
しかもその全ての憎しみはライラ一人に向けられている。
それを聞きメノウはユウへとその事を伝えた。
すると、ユウからは今まで聞いた事のない様な静かで底冷えするような声が返された。
「本当にあの国は俺を苛つかせるのが上手い。」
その直後、通話は切れてしまい下を見るとユウからオーラが立ち上っていた。
そして彼の中では現在、スピカによるスキル習得とレベルの上昇が行われていた。
『スキルポイントを使い鎧通しを習得しました。』
『スキルポイントを使い強打を習得しました。』
『スキルポイントを使い聖装をレベル10に上昇させます。』
『スキルポイントを使い鉄拳をレベル10へ上昇させます。』
『スキル鉄拳が轟拳へと進化しました』
『スキルポイントを使い轟拳をレベル10へ上昇させます。』
『後は思う存分暴れてください。』
(ああ、そのつもりだ。)
俺はスケルトンの頭部に飛び上ると全力で殴り付けた。
その瞬間、手から何かが砕ける音がするが相手の頭部にも罅が入る。
『高速再生のレベルが5に上昇しました。』
『高速再生のレベルが6に上昇しました。』
『鎧通しのレベルが2に上昇しました。』
『鎧通しのレベルが3に上昇しました。』
『鎧通しのレベルが4に上昇しました。』
『鎧通しのレベルが5に上昇しました。』
『鎧通しのレベルが6に上昇しました。』
『鎧通しのレベルが7に上昇しました。』
『鎧通しのレベルが8に上昇しました。』
『鎧通しのレベルが9に上昇しました。』
『鎧通しのレベルが10に上昇しました。』
『強打のレベルが2に上昇しました。』
『強打のレベルが3に上昇しました。』
『強打のレベルが4に上昇しました。』
『強打のレベルが5に上昇しました。』
『強打のレベルが6に上昇しました。』
『強打のレベルが7に上昇しました。』
『強打のレベルが8に上昇しました。』
『強打のレベルが9に上昇しました。』
『強打のレベルが10に上昇しました。』
『圧力耐性のレベルが7に上昇しました。』
『圧力耐性のレベルが8に上昇しました。』
『圧力耐性のレベルが9に上昇しました。』
『圧力耐性のレベルが10に上昇しました。』
『スキルポイントを使用し加速を習得します。』
『スキル打撃耐性が打撃無効へと進化しました。』
どうやら一発本気で殴ったは良いが、俺の体もかなりダメージが来たようだ。
すぐに治りはしたがまさか自分で殴って耐性が上がるとは思わなかった。
だが、そのおかげでもう殴ってもこちらにダメージが返って来ることは無い。
俺は更に強力になったスキルで再び本気の一撃を放った。
するとスケルトンは腕を上げ防御の態勢に入る。
しかしその防御に回した腕は俺の全力の攻撃に耐えられず、粉々に砕け散った。
しかも今回は打撃無効と圧力耐性のおかげで俺にダメージはない。
するとスケルトンは先ほどと違い俺を殺す意思の籠った拳を向けて来る。
『スキルポイントを使用し受け流しを習得します。』
俺はそれを拳で払いのけ更に先ほど殴った頭部を再び殴り付ける。
「ウラーーー!」
すると今度は罅ではなくその部分を中心に大きく周囲が砕け散った。
『受け流しのレベルが2に上昇しました。』
『受け流しのレベルが3に上昇しました。』
『受け流しのレベルが4に上昇しました。』
『受け流しのレベルが5に上昇しました。』
『受け流しのレベルが6に上昇しました。』
『受け流しのレベルが7に上昇しました。』
『受け流しのレベルが8に上昇しました。』
『受け流しのレベルが9に上昇しました。』
『受け流しのレベルが10に上昇しました。』
しかし、スケルトンは急所となる所を破壊するまではそう簡単に死ぬことは無い。
しかもこのスケルトンは集合体の為、その身を細く、小さくしてまで失った腕を再生させた。
そして両手を取り戻したスケルトンは激しい乱打を放ってきた。
しかし、どんなに乱打を放とうと俺には先見のスキルがある。
俺はその攻撃を掻い潜りその首に強烈な蹴りを放って頭部をもぎ取った。
そして今度は俺が乱打を放ちその頭部を木っ端みじんに破壊する。
するとスケルトンは態勢を崩して海に倒れると海底へと沈んでいく。
しかし、俺にはスケルトンが考えている事が手に取るようにわかる。
こいつの最優先目標はライラだ。
なら、こいつは姿が見えにくい海底に倒れたのを良い事にそのまま這ってでもライラの所に向かうはずだ
俺はマップを開くとその位置を確認し海へと飛び込んだ。
やはり予想した通り、奴は海底を這うようにライラのもとに向かっている。
だが人間は水の中の活動が著しく制限される。
息は出来ないし体は水の抵抗で動きは鈍くなる。
しかも動きの制限は互いに一緒でも息をしなくて良いスケルトンにとっては海底はこちらよりも有利な戦場になる。
そのため俺が海に入った事に気付いたスケルトンは向きを変えると俺に向かってきた。
『潜水のレベルが3に上昇しました。』
『潜水のレベルが4に上昇しました。』
『潜水のレベルが5に上昇しました。』
『潜水のレベルが6に上昇しました。』
『潜水のレベルが7に上昇しました。』
『潜水のレベルが8に上昇しました。』
『潜水のレベルが9に上昇しました。』
『潜水のレベルが10に上昇しました。』
スキルのレベルアップで息の苦しさは緩和されたが活動時間はそれほど長くなさそうだ。
俺は必死に泳ぎも取り入れながら接近し戦いを続けた。
『水泳のレベルが2に上昇しました。』
『水泳のレベルが3に上昇しました。』
『水泳のレベルが4に上昇しました。』
『水泳のレベルが5に上昇しました。』
『水泳のレベルが6に上昇しました。』
『水泳のレベルが7に上昇しました。』
『水泳のレベルが8に上昇しました。』
『水泳のレベルが9に上昇しました。』
『水泳のレベルが10に上昇しました。』
しかし、スキルレベルが上がっても少し前まで泳げなかった俺では上手く動く事は出来ない。
そして次第に息も苦しくなり始めたため、一度呼吸をするために海面へと向かおうとした。
するとそんな俺を阻むようにスケルトンは進路を塞ぎ手を伸ばして来る。
殴られるのは効かないが掴まれると厄介だ。
しかし、そうなると更に動きが制限され俺は次第に追い詰められていった。
どうやら海の中に入ったのは失敗だった様だ。
するとそんな俺に高速で接近する影があった。
その影は横から俺を抱き留めると急激な速度で浮上していく。
そして、俺の目には大きな魚のヒレが懸命に水を蹴り、長い緑の髪がなびいているのが見えた。
そして海面に飛び出るとそのまま俺を抱きしめて来る。
その顔を見ればどうやら先日助けたヴェリルの様だ。
(そういえばさっきここに来た船に乗ってたな。あの時は戦闘中で声も返せなかったがこれは後でお礼をしておかないとな。)
そして俺は海面から飛び上ったまま空に制止するとヴェリルが落ちないようにその腰を抱えた。
「助かったヴェリル。あと少しで溺れる所だった!」
すると彼女は俺のピンチを救えたことが嬉しいのか笑顔で頷いた。
「良かったわ。ユウを助ける事が出来て。でもあなたは人間なんだから水の中で無理しちゃダメよ。それにあなたの仲間が心配そうに見てるわ。アイツもあそこに向かってるんでしょ。それなら急いで戻らないと。」
ヴェリルはそう言って寂しそうに俺から手を放した。
しかし俺は頷きを返すとそのままヴェリルを抱えたままライラの所へと向かって行く。
そしてその状況に驚いたのは、それを促したヴェリルだった。
「ちょっと、私はここに残るから降ろして。ほら、キャッチ・アンド・リリースって言うでしょ。」
すると俺はニコリと笑いヴェリルに視線を向けた。
「残念だが毒の無い魚はリリースしない事にしてるんだ。みんなにも紹介するからついでに家に泊って帰れ。さっきの礼にメガロドンの肉で歓迎してやる。」
するとヴェリルの顔が耳まで赤くなり自分から抱き着いて来た。
それを見て俺は了承と受け取り彼女をライラ達の前に連れて行く。
「紹介するけど先日知り合ったマーメイドのヴェリルだ。」
するとなぜかヴェリルを見たライラ達から冷たい視線を向けられ、更に無言で溜息をつかれる始末。
テイムをしていないのになんだか凄い冷めた対応だ。
「今助けてもらった礼に今夜家に来てもらおうとおもうんだ・・が・・・・?」
そして家に泊って行くと告げるとライラ達は俺の傍からヴェリルを遠ざけるとヒソヒソと一緒に内緒話を始めた。
しかし、その直後俺の後ろの海から猛烈な勢いで巨大スケルトンが海面を割って現れる。
だが、既にライラ達は興味が無いのか離れた所で未だに話を続けていた。
こうなると溜息を吐きたいのはこちらの方だ。
俺は拳を握るとスケルトンに一瞬で肉薄して徹底的に破壊し尽くした。
それにさっきは苦手な海上と海中で手古摺ったが、ここは陸なので俺の土俵だ。
するとスケルトンは今度こそ消え去り、巨大な魔石を残してその姿を消した。
足場さえしっかりしていればこんな物だ。
やっぱり怒りに任せて勢いで動くのは危険と言う事だな。
そして俺は気が晴れた思いで表情を緩めると、皆のもとに向かって行った。




