8 人化スキル
俺は朝の日差しで目を覚ますと布団の中に温もりを感じた。
どうやらホロがいつものように布団に潜り込んできたようだ。
そう考えて俺は温もりを優しく抱きしめたがその感触はいつもと明らかに違う。
手に触れる毛は長くてサラサラなのに体に有るはずの体毛はなく、とても滑らかな肌の感触が伝わってくる。
それにいつもの犬の匂いは消え去り、子供のような少し甘い匂いが鼻をくすぐっている。
俺は寝ぼけた頭で薄く目を開け布団を捲って中を確認してみる。
するとそこには茶色の髪をした美少女が俺の腕の中でスヤスヤと寝息を立てていた。
俺は少し混乱しながらも昨日のことを思い出してみる。
(確か昨日はコボルトを殲滅して家に入って寝たはずだ。部屋にいたのは俺とホロの二人だけ。侵入者がいないのは既にマップで確認しているので間違いない。)
そして俺はもう一度マップを開くとそこに出ている表示を確認してみる。
ちなみに今の俺のマップは相手の名前を知っていれば表示されるように機能が拡張されている。
するとマップには俺の横にホロがいることになっているが、そこにいるのは見知らぬ少女だけだ。
上にも下にもホロの姿は無く、手で探ってもいないので姿が消えているわけではなさそうだ。
そうなると答えは一つだけだがそんなことがあり得るのだろうか?
ここは我が家の知恵袋にであるライラに聞いてみるしかないだろう。
俺は起き上がると服を着替えそのままライラの部屋の前に立った。
そして扉をノックすると中に向かって声を掛ける。
「ライラー。少し知恵を借りたいんだけど起きてるかー。」
『ガタガタガタ、ドッタンバッタン』
(・・・一体何をしているのだろうか?)
そして少し待っていると扉が開き、少し顔を赤らめたライラが寝癖でアホ毛を立たせて現れた。
部屋を覗けば綺麗に見えるがきっと散らかっていたのを急いで片付けたのだろう。
魔法があるので汚しても問題はないが慌てるぐらいなら日頃からこまめに片付ければ良いのに。
(まあ、最初に頼まれたのが養ってくれだからな。本人には悪いが生活能力は低そうな印象しか抱けない・・・。)
するとライラは俺が部屋を見ているのに気付き立ち位置を変更してさり気なく視界を遮った。
そして少し慌てたような感じで扉を閉めるとやっと口を開いてくれた。
「お、おはようユウ。部屋に来るなんて珍しいわね。」
するとそのあからさまな態度に怪しさが爆発しそうだが、今はそんなことはどうでも良いことだ。
それよりも重大なことが俺には起きていて藁にも縋りたいくらいに余裕がない。
「実はホロが人になってるんだ。何か知ってるなら教えてくれ。て言うか知ってるよな!知っててくれ!」
「わ、分かったから落ち着きなさい。」
「あ、ああ、そうだな。」
するとライラは少し考えると思い当たることがあったのか説明を始めてくれる。
さすが知恵袋であるライラさんは役に立つな。
「可能性があるとすれば変身のスキルね。これはレベルを最大にするとその者が望んだ姿になれると聞いたことがあるわ。ホロもそろそろレベル6を超えた頃だからもしかするとスキルポイントをそれに全て突っ込んだのかも。」
しかし、それなら困ったことが一つある。
それはホロに着せる服が一つも無いことだ。
一応見た目は身長155センチ程度なので二人から服を借りれば問題はないがホロは服を着たことが無い。
今から教えるにはかなり苦労するかもしれない。
これなら季節に合わせた服を着せて撮影をしておけばよかった。
正月や雛祭りの日には着物風の服を着せたり、ハロウィンではお化けの仮装をさせたり、クリスマスにはトナカイの仮装をさせておけば良かった!
すると過ぎてしまった過去を嘆く俺を見て、ライラは手を握り急いでホロの寝ている部屋へと向かい始めた。
「何を悩んでいるか知らないけど困った時はお互い様でしょ。私が色々教えてあげるからユウの部屋に行くわよ。」
そしてライラは自分の部屋から俺を遠ざけるように急いで移動していった。
それに気付いたのは問題が解決した後のことだが、余程見られたくない物があるようで聞く気はないが少し心配になったのは別の話だ。
そして部屋に戻るとホロは今も俺のベッドで丸くなり裸で眠っていた。
するとその姿を見てライラはこちらに疑いの視線を向けてくる。
しかも掛けてきた声はとても冷たくまるで浮気を見られた旦那のような扱いだ。
「ユウ・・・。何もしてないわよね?」
「当然だろ。目が覚めたらこんな状態だからライラの所に行ったんだ。」
「そ、そうなのね。ユウにしては良い判断だと思うわ。」
するとライラは頼られたことが嬉しいのか顔に笑顔を浮かべホロが眠るベッドに手を着いた。
そしてそのまま何故かポフンとベッドに顔を埋めて動かなくなってしまう。
まさかとは思うがニオイフェチって事は無いよな・・・。
「ライラさんや・・・何をしているのかな?」
「本当に何もしてないかの確認。」
するとライラはそのままの姿勢でくぐもった声で教えてくれた。
どうやらいまだに信用されていなかったようで、ベッドに付着しているニオイを嗅ぎ取っているようだ。
耳をすませばクンカクンカとニオイを嗅ぐ音が聞こえるが恥ずかしいので止めてもらいたい。
それに確認と言うなら数秒で終わるはずなのにそろそろ1分以上は経過している。
しかし、主に俺しか使わないのに男臭くないのだろうか。
そしてチェックが終了したのか顔を上げたライラは赤い顔でホロを起こし始めた。
「ちょっと、起きなさい。こんな羨まし、じゃない。こんな所で寝ないの。服を着ないと風邪をひくわよ。」
するとホロは目を擦りながら起き上がると寝惚けた顔で白い肌と形の良い胸をこちらへと晒してしまう。
ライラは急いでホロの前を隠すと鋭い視線で部屋の外を指差し俺に向かって声を荒らげた。
「ユウは少し外に出ていなさい。ここは私がしておくわ。」
「分かった。お前の部屋でも掃除しながら待ってるよ。」
「それだけはダメーーー!勝手に入ったりしたら窓を開けて全力で叫ぶわよ!」
するとライラは凄く焦りながら俺にそう言って脅迫紛いなことを言ってくる。
仕方ないので俺は掃除を諦め一階に下りて朝飯の準備をすることにした。
「それなら下で朝食の準備をしてるから終わったら下りてきてくれ。ホロも服が着れたらご飯だからな。」
「ご飯!」
するとホロの頭に今まで見えなかった耳が立ち、腰のあたりに尻尾が生えて揺れ始めた。
その耳や尻尾も俺がいつも見ているホロの物にそっくりだ。
(どうやら本当にホロみたいだな。)
俺は少し安心して部屋から出ると一階に向かっていった。
しかし、人化と言っていたが食事はどうすれば良いのだろうか。
後でライラに確認して今後の料理を作る時の参考にすよう。
「さて、今日の献立はどうするかな。最近は贅沢にし過ぎたからここは軽めにしておくか。」
俺は今日の献立を決めると材料を準備する為に冷蔵庫を開けた。
今日はパンと目玉焼き、後はホットミルクと・・・生ハムとサラダだな。
ドレッシングはシーザーと中華を用意すればいいか。
そして準備を終えた頃になるとまずはアヤネがキッチンに下りてきた。
「何か手伝いましょうか?」
「それならそこの棚にお皿があるから準備を頼む。終わったらキャベツを盛ってくれ。」
俺は並列思考で手元でパンを切りながら目玉焼きを焼き、アヤネに指示を出した。
(私生活でも使えるスキルは便利だな。)
そしてパンを焼いて後は目玉焼きを焼くだけになるとホロとライラがキッチンへと現れた。
今のホロはちゃんと服を着ていて、耳と尻尾を気にしなければ普通の女の子のように見える。
しかし、考えてみればホロには尻尾があるので普通のズボンははけないはずだ。
その部分をどうしたのかと聞くと。
「スキルで少し作り変えたの。変身に慣れれば尻尾も耳もさっきみたいに隠せるから少ししたら普通の服も着れるわよ。」
と、返されたのでそれなら安心だな。
俺は表面を軽く焼いたパンを置き、その上に焼けた目玉焼きを乗せて机の上に並べる。
この時の卵には少し塩を多めに振っておくのがコツだ。
そう言えばホロは喋れるのだろうか?
「ホロは喋れるのか?」
「うん、喋れるよ。スキルで言語を取ったから大丈夫。」
どうやら喋れるようで流暢な日本語で答えてくれる。
でも今までと口の形が違うことで食べるのにかなり苦労しているようだ。
口の周りにも卵の黄身がついてしまい顔が汚れてしまっている。
俺はタオルを少し濡らすとホロの前にしゃがんで口の周りを優しく拭いてやる。
「む~。」
「早く慣れないとな。」
「うん。」
そして再び食べ始めたホロは準備した朝食を完食し満足そうな笑顔を浮かべた。
それに普段は好き嫌いをして野菜を食べないのに全部食べられたようだ。
「野菜もちゃんと食べられて偉かったな。」
「うん。どれも美味しかったよ。」
そんなホロを俺は撫でながら褒めるとホロも嬉しいのか俺に甘えてジャレ付いてくる。
しかし、こうなると今後ホロの食事はどうするかを決めないといけない。
今日は人と同じものを出したが元に戻れば普通の犬に戻ってしまう。
ミネラルや塩分が多くとるのは犬にとって害悪にしかならない。
そう考えているとライラはホロに声を掛けた。
「ホロ、あなたはどんなスキルを覚えられるの良かったら教えてくれない。」
「うん。え~と~・・・。」
するとホロはスキル表を表示させると上から順に読み上げていく。
「・・・・・・・と吸収と大食と・・・。」
「ちょっと待って。あなた吸収があるの!?」
「あるよ。」
そして吸収という言葉にライラは珍しく驚いた表情を浮かべている。
もしかしてそれも成長促進のようなレアスキルなのだろうか?
「吸収は成長力促進ほどではないけど数億人に一人の割合で所持しているらしいの。しかも大食も持ってるってことは凄い奇跡よ。」
「そんなに凄いのか?」
「ええ、スキル自体はスライムがよく持ってるんだけど彼らは思考が殆どできないからスキルの意味が無いの。人だと選んで食べられるから凄いスキルなのよ。これは食べた相手のスキルを1つ覚えられるの。ホロ、そのスキルはすぐに取れる?」
するとホロは更にステータスプレートを操作し始めた。
そして終わったのか顔を上げてライラに視線を向ける。
「取れたよ。」
するとライラは突然俺の髪を一本抜いてホロの口に入れた。
ホロは俺の髪をもごもごしながらゴクリと飲み込み意味が分からず首を傾げている。
「あ、スキルが増えたよ。成長力促進?」
そしてホロは一発で大当たりを引き当てたようだ。
そのスキルはカンストすると途轍もないことになる。
なのでライラは知っていそうだがそろそろアヤネにも教えておいても良い頃かもしれない。
俺だけなら言うつもりはなかったが、ホロも持っているとなれば情報が漏れる可能性が高い。
それに強くなるにはレベルを上げるだけでは無意味で、手に入れたスキルポイントでスキルを取得したり強化しなければならない。
しかし頻繁に行動を共にしているアヤネにはいずれは俺の異常性に気付いてしまうだろう。
それがタイミングの悪い時に発覚するよりも早い段階で自分から話した方が良さそうだ。
(まあ、でもそれはもう少し様子を見てからだな。ホロにはそれまでにこのスキルを重点的に成長させてもらおう。)
そしてホロの今後の計画を決めるとライラが更に説明を続けてくれた。
「吸収を持ってると毒でもなんでも食べられるようになるのよ。これで食事の心配も解消されたわね。」
「そうか。それならこれからは一緒の食卓で料理が食べられるな。」
「え!ホント!」
「そうよ。だからレベルを上げて早くスキルを成長させましょうね。」
「うん! ホロ頑張る!」
そう言ってホロはやる気の満ちた顔で拳を握ると鼻息を荒くした。
それにライラは俺の心配もお見通しだったようでこちらに笑顔で視線を向けてくる。
どうやら料理を作るのは手伝わないのにちゃんと見る所は見ていたということだ。
俺はそんなライラに苦笑を返すと心の中で評価を少し上げておいた。
しかしこいつは時々見た目以上に年上に見えるから不思議だな。
もし機会があるなら見た目通りの年齢なのか教えてもらおう。
ファンタジー世界の定番として、この見た目で100歳と言われても信じられそうだ。
それにしても必要な物がどんどん増えていくな。
そろそろ追加の買い出しにでも行くか。
ホロの件もあるが二人とも結界石を売ったお金が入って必要な日用品を買う余裕ができている。
俺は朝食の片付けをしながら皆にこれから出かけることを告げた。
「服とか食材とか買い足しに行こうか。二人ともそれなりにお金ができたから大丈夫だよな。」
「ええ、大丈夫よ。」
「私も大丈夫です。」
特に今のライラは結界石が順調に売れたのでかなりのお金を持っている。
特に神戸のビッグネームなブランド牛を飼育している牧場が複数の結界石を惜しげもなく買ってくれた。
そのおかげで今のライラは億単位の貯金がある。
それとアヤネは周辺の家が結界石を複数購入してくれている。
リョウタの家には無料で提供したのでそれがモデルケースとなり買いが殺到したのだ。
値段は単純に5万円にしてあり最近ではこれぐらいの金額の物は溢れているので誰も文句を言う者は居なかった。
それにこの値段で安全を買えるなら安いものだろう。
しかも家一軒分の結界なので燃費が良く、ゴブリンの魔石一つでも10日は維持できると判明した。
それに俺の友達が結界石を宣伝してくれたので広範囲から買い注文が来ている。
そのおかげでアヤネも貯金は数百万に達しており、売り始めて半月も経っていないのに凄い売り上げだ。
そして元手がタダ同然なので売り上げがそのまま利益になる。
これだけ個人で稼ぐと確実に税務申告やらが大変なので税理士に依頼することになりそうだ。
しかし出かける時にホロにリードを渡されたが付けるわけにはいかない。
今は変身して可愛い少女となっているホロに付けて歩けば確実に警察を呼ばれてしまう。
(まあ、来ればだがな。)
そして今日はそのままホロの服や装備、追加の食料を購入して家に帰った。
食品売り場では今も新鮮な食材が供給されているが、それがいつまで安定するかは分からない。
現在はまだゴブリンとコボルトという2種類しか確認されていないが確実にその数は増え続けているらしい。
普通なら政府なりなんなりに行くのがいいのだろうが、いまだに情報を出し渋っているようだ。
もしかすると現在の状況に危機感を抱ききれていないのかもしれない。
それにこれに関して俺の危険感知が反応しているので、申し出たとしても碌なことにはならないだろう。
まずは結界石を売り世論を味方に付けることができれば良いがそう簡単にはいかないだろう。
(まあ、俺たちだけで結界石を作るのにも限界があるのでいつかは話し合いをする必要があるけどな。それまでになるべく強くならないといざという時に誰も守れずに後悔することになりそうだ。)
そして夕方になったので自警団が使っている詰め所へと向かうことにした。
それに彼らが動くのは主に夜なので昼間は殆ど人が居らず夕方から集まり始める。
今の所、昼間にはほとんど魔物を見かけることが無く、夜行性なのか活発に動くのは夜がメインだ。
夜はあんなにいる魔物も昼にはどこかに消えてしまう。
山に潜んでいるのか消えるのかはまだ確認していないが、現状ではそれが俺たちに有利に働いているのも確かだ。
しかし、その法則もいつ壊れるか分からないが最近では多くの人が昼に活動して夜は家に引き籠っている。
この町では現在、そんな生活をしていて以前に比べれば夜の人通りは極端に減っていた。
そして俺は詰め所に入り既に来ていた人たちに声を掛ける。
「よう、頑張ってるか?」
「あ、ユウさん。こんばんは。この間頂いた装備、役に立ってますよ。おかげでコボルトと戦った時に軽傷で済みました。」
「役に立って良かったよ。こっちも我儘を言ってるのは自覚してるから困ったことがあったら声を掛けてくれ。」
「分かりました。」
ちなみに俺はゴブリンの巣で見つけた装備を綺麗にして彼らに渡している。
希少な物はライラに見てもらって省いたが鉄の剣や革鎧などはそのまま渡しておいた。
しかし巡回する者はそれを装備しているがまだ数が十分に足りているとは言えない。
一人一個は専用の装備を持つようにしておく方が何かあった時に便利だろう。
その為、俺は昨日手に入れたコボルト装備の革鎧と鉄の剣を彼らに渡すことにした。
30組はあるので全員ではないがそれなりに行き渡るだろう。
「それと昨日の夜にコボルトの団体さんが家に来てな。返り討ちにしたから今日はその装備を渡しに来たんだ。」
「それは助かります。整理はこちらでするのでここに置いてください。」
「ならここに積み上げておくな。」
「え・・・積み上げる?」
俺はそう伝えて剣と革鎧を取り出してテーブルの上や床に並べていく。
しかし、置ききれないのでやっぱり何段かに重ねることになってしまった。
それを見た周りの者は目を丸くして驚きの表情を浮かべているが、こうなるから俺は自警団とは別行動をしている。
(これだけの数を買ったとしたらかなりの金額になるだろうな。)
「ユウさん、アンタいったい何匹倒したんだ?」
「ああ。ここにある装備の数だな。30匹はいた気がするが正確には数えてないな。」
すると彼らは驚きが呆れに変わり装備に視線を落とす。
どうやらお金ではなく数が問題だったようだ。
レベルの上がり方からしてコボルトはゴブリンの数倍の強さを持っている。
だからこの反応も仕方ないのかもしれない。
「だが、前回もタダで譲ってもらったのにまた貰っても良いのか?」
「気にしないでくれ。みんなの安全には換えられないからな。それにこれもある意味では拾い物だ。お金はかかってないから気にせず使ってくれ。」
整備や修復のためにライラが少し働いているが、それは町を守っている一環として彼らも同じだ。
彼らはお金が出ないのにこうして町の安全のために時間を割いて戦ってくれている。
政府がなんらかの手段で援助や褒賞を準備してくれればいいのだが、そういった動きも今のところは無さそうだ。
そのため自警団は常に金欠なので「それなら」と言いながら俺が出した鎧や剣を奥の部屋に運んでいく。
すると作業を若い者に任せて残っていた男がこちらに声を掛けてきた。
「やっぱり戦いに協力はしてくれないのか?」
「すまないな。俺は他の所を回ったりしているから。それにこの先のことを考えれば皆が強くなる必要がある。危険な相手が出た時は協力するけどそれ以外は可能な限りそちらで対処してくれ。」
「そうか。まあ、ユウさんが食料関係を回っているのは皆も知ってるから誰も文句は言わないよ。こうして装備も寄付してくれるしな。」
どうやら俺の行動は何処かで洩れているようで知ってるとすればリョウタか精肉店の店長辺りだろう。
そして互いに苦笑を浮かべ互いに情報を交換すると俺は家へと帰っていった。
そろそろ夕飯の支度をしないと腹を空かせた奴らが冷蔵庫の食材を漁りそうだ。