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76 海釣り

次の日の朝。

昨夜は色々あって起きると既にライラ達は消えていた。

そしてシーツには3人分の血の跡が残っている。

1つはライラ、1つはアヤネ。

そして最後の1つはアリシアのものだ。

彼女は既にゴブリンに襲われた後なので破爪の血は出ない筈だった。

しかし、横で見ていたライラ曰く。


「は~、ちゃんと元に戻っててよかった。」


との事だった。

あの時はいつもと違い治療に時間を掛けていると思っていたがアリシアの体を襲われる前まで治していたようだ。

これにアリシアはとても喜んでいたが俺にその感覚は分からないので相槌だけに留めておいた。

そして彼女達を探すとどうやら一緒にお風呂へ入っているようだ。

家の風呂はマリベルが浴槽の容積も大きくしてくれているのでとても大きくなった。

今では5人が足を延ばしても入れる位のサイズになっているので3人ならゆったり入れる。

更に調整してもらえば深くも浅くもなるがそれはまだ試していない。

何時かはみんなでのんびり入りたいものだ。


しかし、家は電化住宅でお湯は外のタンクから取り入れる仕組みなので浴槽が大きくなった分、お湯が足りなくなってしまった。

そのため風呂のお湯は魔法で水を入れ、それを魔法で温める様にしている。

近日中にはライラが魔道具を作ってくれると言っていたので魔法での湯沸かしは少しの間だけだろう。


そして俺は立ち上がると服を着て魔法を使い室内を綺麗にする。

遅い様だがベットまで大きくなっている事に今になって気が付いた。

俺のベットは一人用だったのでよくよく考えれば4人で使える程大きくはない。

どうしたのかと見て見るとどうやらいつの間にか購入した新しい物の様だ。

前まで使っていた物は誰かのアイテムボックスの中だろうから後で返してもらおう。

日頃からこんなキングサイズのベットだと寝る時に落ち着かない。

それとも毎日、全員で押し掛ける気だろうか?


(それは無いと信じたいな。)

『スキル絶倫を習得しますかYes/No』

(なんだか久しぶりのやり取りだがこれは最後の手段にします。Noで)


時々、取得可能なスキルが増えるが絶倫が増えるとは思わなかった。

・・・いや、必然か?

しかし、彼女達の行動次第では必要になるので一応覚えておこう。

ちなみに避妊は生活魔法と白魔法にバッチリあるので問題ない。

生活魔法は行う前にかけ、白魔法は行った後に掛けると効果が出る。

ライラ達は念のために両方使っているのでしばらくは問題ないだろう。

もう少し状況が安定してから子供の事は考える事にする。


俺は部屋を出て一階に下りるとメノウとクリスが朝食の準備をしていた。

二人は俺に気付くと手を止めてこちらへとやって来る。


「ユウさん昨日は上手くいきましたか?」

「ああ、おかげさまで。それで俺の元のベットが何処にあるか知らないか?」

「それなら私が保管していますよ。でももう要らないですよね。」

「え?」

「へ?」


ここで俺の何故いらないのだろうか?という疑問と、メノウのなぜ必要なのか?という疑問がぶつかり合う。


(こいつは毎日、昨夜の様な事を続けろというのか?)

「そこまでは言いませんが大は小を兼ねると言いますからこのままでもいいのかなと。それなら一応お返ししておきますね。」


そう言ってメノウは空いているスペースに俺のベットを取り出した。

もう使いだして20年以上になるので愛着のある大事なベットだ。

出来るなら一人で寝る時くらいはこれを使いたい。


「処分されてなくてよかった。日本人は思い入れのある物を大事にする人が多い人種だからな。覚えておいてくれよ。」

「それで未だに罅の入った湯飲みを使ってるんですね。」

「そう言うのをわびさびと言うんだよ。大きく欠けたり割れたら変えるからそれまでは大事に使うようにしているんだ。だからって特に丁寧に扱う必要はないからな。壊れる時は壊れるんだから。」

「は~、分かりました。なんだか変な拘りがあるんですね。」


メノウは少し呆れた顔で頷くと一応は納得してくれたようだ。

そしてメノウとの話が一段落したので今度はクリスが声を掛けて来る。


「アリシア様との事おめでとうございます。」


彼女はアリシアのメイドで主が最優先なのでこういう言い回しになるのだろう。

それでも日頃は分け隔てなく皆の世話をしてくれるのでこういう事は実際初めての事だ。


「結婚前の性行為はこの国では婚前交渉というんだが、そういう事をエルフは気にしないのか?」

「気にする方は多いですがエルフは寿命が長いので一生同じ伴侶と生活する人は多くはありません。その為、価値観は人それぞれです。私はアリシア様が納得されているのならそれで構いません。」

「その点は問題ないと思うよ。」

「ただ・・・。早くお子様のお世話もしたいものです。エルフは種族的に繁殖能力が低いので夫であるユウさんに掛かっています。どうか頑張ってください。」


さすが王族のメイドだけあってこういう事もサラリと言ってのけるな。

しかし、人間とエルフでは寿命が違うので納得は出来る。

人間が100年しか生きられないのに対してエルフは老いず1000年以上は生きられるらしい。

それから考えれば彼女の言う事も正しいのだろう。


「まあ、頑張ってみるよ。」


そして、どうやらライラ達もお風呂から出て来たようだ。

3人とも仄かに頬を上気させ嬉しそうに会話をしながら部屋に入って来る。

どうやら昨日の疲れは無さそうだ。

回復魔法があるので心配はしていなかったがこうして直に見ると安心できる。

3人は部屋に入り俺と顔を合わせると頬を赤くさせながら笑顔を向けてくれた。


「おはようユウ。お風呂を先に貰ったわよ。」

「おはようございます。今度一緒に入りましょうね。」

「お、おはようございます。うう~、なんでみんなそんなに普通なんですか~?」


そんな彼女たちに俺も「おはよう」と挨拶を返し席に着いた。

それから食卓でテレビを見ながら全員が揃うのを待っていると突然テレビの番組が切り替わり緊急速報が流れ始めた。


「現在、海外の多くの国でスケルトン、ゾンビ、グール、ゴーストが大量に発生しております。国外に行かれる方は事前に確認を行い渡航を控えてください。なお、日本国内でもゴースト、スケルトンの群れが発生している地域があります。出かけられる際には十分な注意を行い発見した際には警察に通報しすぐに避難してください。」


俺はそれを見てとうとう起きたかと納得しながら食事を続ける。

この世界は以前まで、テレビで言っていた様な魔物は空想の産物だった。

その為、世界中に戦争の爪痕が放置され、今も処理されていない遺体や白骨が大量にある。

特に過去、その場が戦場になった場所は特に酷いだろう。

それは人に限った事ではない。

ライラの話によれば中型犬以上の骨ならスケルトン化する可能性が十分にあるそうだ。

ゾンビ、グールに至ってはネズミサイズから可能性があると言う事なので油断できない。


そして、それはこの町にも言える事である。

この町は大戦中は軍港で、大規模な空爆で多くの人間が死んでいる。

今はオリジンのおかげで一時的に魔素が薄くなっているがアンデット系の魔物が大量に発生する可能性も小さくはない。

以前もアキトたちがスケルトンの討伐に苦労していたのでこの町の自警団では荷が重いだろう。

そうなれば俺達も出動する必要がありそうだ。


もっとも、あの時と違いアンデット系の魔物の対応方法はライラがまとめて国にレポートを提出している。

余程の事が無い限りは問題は無いだろう。


ちなみにその対処法で代表的なのは魔力の籠った物で攻撃する事。

白魔法にあるターンアンデットを使用する。

人魚のハルが使える呪歌の鎮魂の歌を聞かせるなどがある。


他にもいくつかあるが概ねこんな所らしい。

火も有効だが火事になる恐れがあるのでこれは緊急の時以外は使用されないだろう。

それなら白魔法を強化した人員を育ててターンアンデットを連発した方が安全だ。

なにせ弱点属性だとしても直ぐに燃え尽きる訳ではないので魔物は燃えながら動き回ることになる。

開けた所ならともかく狭い場所では逆に危険だろう。


そして緊急速報は終わり、俺も食事を終えて立ち上がった。

時間はまだ早いが自警団のリーダーをしているツキミさんに連絡をしておく事にする。

国には資料を渡しているがそれが地元の自警団まで情報が流れているか分からないからだ。

いつ起きるとも分からないアンデットの発生にはなるべく早く対処する必要があるだろう。

そして、俺が電話を掛けるとツキミさんはすぐに出てくれた。


『待っていたぞ。ユウ君も今の緊急速報を見たんだろ。』

「ええ、それで対処法はご存知ですか?」

『いや、こちらにはまだ情報は来ていない。なので、君からの連絡を待っていたんだ。』


やはりそうか。

本当に行政の動きは遅い。

あのレポートを出して既に3週間近くなる。

なぜ早く多くの団体に発表しないのか。

これだと他の所にもまだ伝わっていない可能性が大きいな。


「分かりました。それなら今からお教えするので書く物はありますか?」

『大丈夫だ。それとこちらから付き合いのある他の場所にも連絡しておくが問題ないよな。』

「構いません。早く情報を拡散させましょう。」


俺は電話で対処法を伝え、後の事は任せる事にした。


「それともし問題があったら言ってください。すぐに駆け付けますから。」

『ああ、そうさせてもらう。』


そして電話を切ると俺は倉庫に向かい歩き出した。

大きなイベントも終わり時期としても丁度いい。

俺は久しぶりに釣竿を取り出し海に向かう事にした。

別に釣れなくてものんびり海を眺めるのも良いものだ。

他のメンバーに声を掛けると今日は家でのんびりしたいらしい。

俺は道具一式を持つと海へと向かった。


「今は12月だけど少し暖かいし風も無くて良い感じだな。」


俺は単純な作りの延べ竿を取り出すと先端に糸を結びその糸の先に針と鉛を取り付けた。

そして釣具屋で買った餌のゴカイを針につけて海に沈めると岸壁に沿ってゆっくりと歩き探りを入れて行く。


「お、当たりはあるな。」


そして小さな当たりを感じるとそこで足を止めて何度か誘いを入れる。

すると竿先が曲がり針に魚が掛かった。

俺はゆっくりと竿を持ち上げて魚を確認すると体長15センチほどのメバルが釣れていた。


『釣りのレベルが3に上昇しました。』


(お、釣りスキルが上がったな。でもこれって上がって意味あるのか?)

『大物が釣れやすくなります。』

(そうか。でもこの辺には小物しかいない筈だから期待は出来ないかな。)


そして俺はその後ものんびりと魚を釣り上げて行く。

それにより釣りのスキルレベルは7まで上昇した。


(そういえばここから沖に投げるとカレイが釣れるポイントがあったな。少し投げてみるか。)


俺は投げ竿を出して仕掛けを結ぶと餌を付けて沖へと投げた。

リールには300メートル以上は糸が巻かれているが、手加減して投げたのに150メートルの所まで飛んだ様だ。

何故分かるかと言えば糸の色が50メートルごとに違い、それで見分ける事が出来る。

これだと本気で投げたら糸が切れるか竿が折れていたかもしれない。

俺は一度巻き直して餌を確認すると、ポイントに向けて再遠投した。


「カレイは煮付けが上手いからな。釣れたらメノウに頼んで料理してもらおう。」


そして俺はその後も延べ竿を垂らし、投げ竿を時々操作しながら釣りを楽しんだ。

すると俺の握る竿に大きな反応が返って来た。


「おおー!この時期には珍しい大物だ。これはチヌかもしれない!」


チヌは冬場になると沖に行くので岸壁付近にはあまり居ない魚だ。

そのため今の時期に釣れるのは稀だが冬のチヌは寒チヌとも言われ味が良いので期待できる。

何が掛かったのかは不明だが竿は限界までしなり糸からは『キューー』という音が響き渡る。


「こいつはデカすぎる。糸が切れるかもしれない。」

『魔石で道具を強化しますか?』

「その手があったか。スピカ、糸を魔石で強化してくれ。」


針は最初から大物を想定してチヌ針を使用している。

竿も560センチの長めの竿なので問題ない。

しかし、糸はナイロン製の1,5号なので最も心配がある部分だった。


『了解しました。魔石を使い糸を強化します。』

『・・・成功しました。強度が3倍まで上昇ました。』


「よし、それなら少し強引にいっても大丈夫そうだ。相手も浮いて来たから一気に引き上げる。」

俺は飛翔で足場から浮くと竿を立てて一気に魚を引き上げた。


『ざば~~~。』


「よっしゃーーー大物ゲットだぜ!」


俺は釣れた魚を見てその黒い巨体に興奮する。

魚は予想通りチヌ(黒鯛)だったが大きさが60センチはありそうだ。

これは大鍋に入れて酒とキャベツよシイタケでコツ蒸しにしてもらおう。

俺は早速、活ジメを行い血を抜くとそれをアイテムボックスに仕舞い口元をニヤケさせた。


「釣りはこういう事があるからたまらないな。」


すると今度は投げていた竿に大きな当たりがあった。

しかし、あまりに引きが強かったため、立てかけてあった竿が海に向かって一気に飛んで行ってしまう。


「ちょっっっと待てーーー!」


俺は瞬動と縮地と身体強化を使い走るが竿は既に海の上だ。

その為、飛翔も使い竿に手を伸ばし海に落ちる瞬間に何とかキャッチする事に成功した。

しかし、勢い余って海に飛び込みそうになった所でスピカが素早くサポートをしてくれる。


『スキルポイントを使用し水上歩行のスキルを取得しました。』


俺はそれにより海面を足場にしてその場で踏ん張り竿を立てた。


「ナイスだスピカ。」

『水上歩行のレベルが2に上昇しました。』

『水上歩行のレベルが3に上昇しました。』


『釣りのレベルが8に上昇しました。』

『釣りのレベルが9に上昇しました。』

『釣りのレベルが10に上昇しました。』


どうやらかなりの大物の様だ。

その引きに俺の手の中にある竿が悲鳴を上げ、糸は先ほどのチヌの時の様に泣き続けている。

リールからは止めどなく糸が引き出されているので仕方なく俺は走って糸が出るのを食い止めた。

この辺の海は遠くまで浅瀬になっていて深い所でも150メートルしかない。

それに対してこのリールには300メートルは糸が巻かれているはずだ。

そう簡単には逃さないからな。


「スピカ、今度は道具一式を魔石で強化してくれ。」

『了解しました。』

『魔石により竿、リール、糸、針を強化します。』

『成功しました。全ての性能が3倍まで上がります。』

『付与により糸に靭性強化を行います。』

『付与により針に剛性強化を行います。』

『共に成功しました強度が初期値の20倍に強化されました。』


「お、おう。スピカは俺のスキルを使えたんだな。」

『補助的なスキルだけなら使用は可能です。』

「助かる。これで逃がしはしないぜ。」


初めてスピカが俺のスキルを使用可能だと知ったがこれは今後を考えればかなり大きい。

彼女は眠る事が無いので俺が寝ている間にスキルを使て警戒する事が出来るかもしれない。

それが可能なら就寝時の不意打ちを回避する事も出来るので今度確認しておかなければならないだろう。


そして俺は強化された道具を使い少しずつ相手を追い込んでいった。

かれこれ30分以上格闘しているので相手もそろそろ限界なのかリールに少しずつ糸が戻って来る。

そして糸の状態から後20メートルといった所で相手がいきなり向きを変えこちらに突撃してきた。


「まさかカジキか!?」


カジキは時に最後の悪足掻きで攻撃を仕掛けて来る事があるらしい。

そしてその長い上顎で相手を突き刺すのだが見えて来た魚影はカジキのモノではなかった。

それはあえて言えば人だろうか?

それは海面に到着すると拳を握り俺の腹めがけて振り上げて来た。


「イッタイのよこの人間がーーーー!」


そして突然現れたのは赤い瞳に長い緑の髪をした全長160センチほどの人魚だ。

どうやら俺はハルと同じマーメイドを釣り上げたようだ。


(しかし、口が悪いなコイツ。というか尾ひれに糸が絡まっているので怒っているだけか?)


これだけ大物なら確かに釣るのに苦労してもしょうがないだろう。

しかし、怒っていなけければマーメイド特有の美人な顔なのだが、今は怒りに染まっていて台無しだ

しかし、マーメイドは俺に向けて更に言葉を投げつけて来る。


「人が魔物から必死に逃げてるんだから邪魔しないでよ。食べられたらどうするの。」

(ん?何か不穏な単語を言っているぞ。)


俺はマーメイドの拳を簡単に受け止めるとマップを起動させた。

するとそこには俺の真下に魔物が存在するのが映し出されている。

しかし、マーメイドはそんな事よりもどうやら俺が簡単に拳を受け止めた事が気になったようだ。


「な、マーメイドダイブからの一撃を簡単に止めるなんて・・・あなた何者よ!まさか私達を狙った魔物ハンターなの!」


マーメイドがこちらに話しかけて来るが、それに答える余裕はなさそうだ。

俺はマーメードを抱えると水を足場に一気に飛び上った。

その瞬間にスキルを飛翔に切り替えて更に高く飛び上る。


「な、何処触ってんのよこの変態。下ろしなさいよ。」


するとその直後に俺のいた場所から巨大な口が出現しこちらを追う様に飛び上って来た。

その光景は凄まじく、昔に見た映画のワンシーンにそっくりだ。

しかし、このマーメイドはどうやら下りたいらしい。

俺は優しくマーメイドから手を放すとそのまま下に落とした。


「え・・・嘘・・・。」


すると彼女は重力に従って牙の並ぶ巨大な口に向かい落ちて行った。

そして口は『ガチン』と大きな音を立てて閉じられ向きを変えると下へ落ちて行く。

それで体の全てが見えたがどうやら体調20メートルはありそうな巨大なサメのようだ。

そして俺の手には当然、食われる寸前のマーメイドが再び抱えられている。

本人の希望通り一度手を放したがサメの口が届かない事は分かっていた。

しかし、このまま落とすと回収が面倒なので竿を引いて空中で回収しておいたのだ。

そのおかげで今の彼女は震えながら大人しく俺にしがみ付いている。

後でハルの所にでも送り届ければ大丈夫だろう。

すると涙目のマーメイドは震える声で話しかけて来た。


「ご、ごめんなさい。もうあんなこと言わないから捨てないで。」


何やら捨てられそうな女みたいなセリフだが実際放り捨てたので間違いではない。

ただ、男女の関係ではないだけだ。


「冷静な判断をしてくれて助かる。それであれは何だ?」


一応鑑定で名前がメガロドンである事は分かっている。

しかし、俺はそれ以外の事は分からない。

ここは同じ海の魔物である彼女に頼る他ないだろう。


「あれは海に住む亜竜の一種でメガロドンって言うの。硬い外皮と強い狂暴性があって、鉄の船だって噛み砕いてしまう程の強靭な歯と顎を持っているわ。奴は私達マーメイドが大好物で出会えば誰かを犠牲にして逃げる事になってるの。バラバラに逃げて追い掛けられた者が犠牲になるのよ。」


「なら、仲間の所に戻っても蟠りはないな?」

「ええ、私だって何人も犠牲にして生きて来てるもの。生き残って群れに合流した者だって何人もいるわ。」

「それとあれは海で簡単に遭遇するほど多く生息しているのか?」

「そんな事はないわ。あれはシャークって魔物が長い年月をかけて何段階も進化したものだから世界に数匹しかいないわ。」

「なら倒せばしばらくは安全と言う事だな。」

「倒すって。あんなのどうやって倒すのよ!?」

「釣り上げるに決まってるだろ。人類を舐めるなよ。」

「人類だから出来ないんでしょ!」

「まあ見て居れば分かる。」


俺は一旦、陸に戻ると昔馴染みの釣具屋へと向かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 彼女は眠る事が無いので俺が寝ている間にスキルを使て警戒する事が出来るかもしれない。 ↓ 彼女は眠る事が無いので、俺が寝ている間にスキルを使って警戒する事が出来るかもしれない。
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