181 霊獣トップ会議
その日の夜に食事をしていると来客が現れた。
もちろん敵では無い事は分かっているので警戒はしていない。
そして、相手も礼儀正しく扉をノックし外から声を掛けて来た。
「ごめん下さ~い。」
「は~い。少しお待ちくださ~い。」
それに対応したのはこの家で母親的存在のヒイラギである。
どうやら彼女はこの家で最も年上『ギロリ』・・・、ではなかった。
リーダー的存在らしく家に来客があった場合は彼女が対応する事が多いそうだ。
特にそれが同等かそれ以上の存在であれば尚の事だろう。
そして扉を開けるとそこには4人の男女が訪ねて来ていた。
「こんばんは。久しぶりねヒイラギ。」
「リバ様!それに皆も。」
そこにいたのはこの地を守護するリバイアサンだ。
そしてその後ろに居る者達を鑑定するとこの大陸の残り3方を縄張りとする霊獣の様だ。
フェニックスのグレン。
マウンテン・タートルのタクト
白老虎のリリ。
そして地面に横たわり、既にボロボロになっている龍王のドラドだ。
コイツはあの様子なら人数に入れなくても良いだろう。
ちなみにそれぞれの見た目だが、グレンは身長180センチほどの赤い髪に鋭い目をした強面のイケメン。
タクトは小学生低学年の様な姿で緑髪の少年。
霊獣の姿は小山の様に大きいそうだが今は穏やかな表情を浮かべてこちらを見ている。
そしてリリは160センチほどの身長に真っ白い髪と肌をした少女。
猫目で目元はきついが今は肩を落として申し訳なさそうな表情をしておりキツさが和らいで見える。
ドラドに関しては・・・、言わなくても分かるがまたリバイアサンにボコられたのだろう。
もしかすると彼女こそがこの世界で生物最強なのかもしれない。
それに話している感じだと、どうやら全員が顔見知りの様だ。
しかし、ヒイラギもドラドの事には触れてはいけないと直感が囁いたのか完全にスルーして視線を逸らしている。
それにドラゴンは周りの霊獣と殆ど関りを持たないという事なのであまり心配もされていないのだろう。
やはりこういう時に御近所付き合いは大事である。
もしドラドがこの大陸の安定の為に尽力していれば、助け起こして介抱してくれただろう。
しかし、哀れな大陸最強(仮)のドラドはリバイアサンに引きずられながら家に入って来るだけで誰も関わろうとはしない。
そのあまりのシュールさにこちらの誰もが視線すら向けないが、他の霊獣達も続いて中へと入って来る。
そしてリバイアサンはテーブルを見て興味深そうに笑みを浮かべた。
「あら、夕飯の途中だったのね。それは悪い事をしたわ。」
「いえ、リバ様の訪問とあればどんな時だろうと歓迎します。よろしければ御一緒にいかかですか?」
(え、そんな簡単に誘っても良いの?俺が言えた口ではないが形式も何もない普通の座卓だよ。)
そんな事を考えていたのだがリバイアサンはこちらにワザワザ顔を向けるとニコリと笑みを送って来る。
どうやら問題は無さそうだ。
しかし、今のままではどう見てもスペースが足りない。
部屋の広さは十分あるので更にテーブルを出して面積を広くすることにした。
まずはそれぞれにまだ使う食器を持ってもらいその他は一旦収納する。
そしてテーブルを追加して新たにセッチングをやり直した。
新しい料理や食器を並べ、周りの協力もあって1分も待たせずに食事を再開する。
まずは最も地位が高い?リバイアサンから食事を始めるようだ。
彼女は目の前のミニコンロの鉄板でベヒモスを軽く焼くと準備しておいたタレをつける。
そして口に入れると「美味しいです」と笑みを浮かべた。
「地上のベヒモスがいなくなってかなりの年月が経ちますから久しぶりに食べました。これはユウ達が仕留めた獲物ですね。」
「はい。あなたの守護する日本に出来たダンジョンの最下層で手に入れました。」
「そうですか。私はダンジョンに入る事が無いので今日は幸運でしたね。良ければまたご馳走してください。」
その言葉の直後に俺はゲンさんに視線を向ける。
するとゲンさんも頷いて了承してくれたので一つの案内を行うことにした。
日本で人外を持て成すならここしかない。
「なら、気軽に我が家へお越しください。精霊王も頻繁に現れますし家は海から1キロ程の位置にありますので訪れるのも楽でしょう。ただ、可能ならその時は人の姿でお願いします。」
「分かりました。以前の時にはこちらの感覚で移動してしまい多くの人間を驚かせてしまいました。トラブルにはなっていませんか?」
「その対応はもうじきこちらの総理大臣が手を打ってくれると思います。」
そう言って俺はゲンさんに話を振った。
名目上、ここにはリバイアサンの調査で来ているので話の筋書きくらいは考えているだろう。
「はい。あなたの事は津波の件と合わせて我が国の恩人と大きく発表させていただきます。」
「そうですか。手間を掛けます。」
「いえ、この程度は手間ではありません。我々の情報伝達手段は発達していますので。」
そして俺達との会話が一段落すると視線は再びヒイラギに向けられた。
最初に俺達と話したがそちらこそが本当の目的だろう。
それにここにはこの大陸を代表する霊獣達が揃っている。
それぞれ一人で来ているので各霊獣の中でも責任のある地位の者が来ているのだろう。
「それでは食事をしながら本題に入りましょう。」
その声でリバイアサン以外の者も食事を開始した。
しかし、白老虎のリリだけは料理に手を付けず、今回の事で責任を感じているのか表情も暗い。
するとそんな彼女にヒイラギは優しい表情で声を掛けた。
「リリも食べて。美味しいわよ。」
「でも・・・私は・・・。」
しかし、リリは俯いてしまいさらに表情を曇らせた。
もはや何時その頬に涙が流れてもおかしくない程に落ち込んでいる。
するとそれを見て周囲も食べる手を止めてしまった。
しかし、ヒイラギは顔の向きを変えるとある一角を見て笑みを浮かべる。
その一角ではリアトリスとワカバが仲良くご飯を奪い合っていた。
その空気を読まない、または読めない者たちは今も美味しそうにご飯を食べている。
「ほら、私達は大丈夫よ。だからあなたも今回の事は気にしないで。あなたが私達に害意を抱いていない事は分かっているのだから。でもご飯を食べながら説明はしてね。」
「分かった。全部話す。」
そう言って彼女もようやく、少しずつ料理を食べ始めた。
そのため周りも食事を再開し、それと同時に説明も始められる。
「あれは半年程前の事なんだけど一部の虎人達に変な事を言う者が出始めたの。その者たちは霊獣に支配されない国を目指していると言って周囲に声を掛けてた。」
「ちょっと聞きたいんだが霊獣は支配をしてるのか?」
俺の知識だと霊獣は護る存在であって支配はしていないはずだ。
町に一緒に住んではいるが領主というよりもまとめ役と言った方が正しい。
しかし、種族が違えばそれも違うかもしれない。
例え圧政でなくても合う合わないはあるからだ。
「いいえ、支配なんてしてない。だから最初は誰も気に留めなかったの。でも次第にその声は大きくなり、私の周りでも同じ事を唱える者が出始めた。この時点で私はその異常性に気付き調査をはじめたの。」
「その時点で獣王のスキルには気が付かなかったのか?」
「獣王はとても稀なスキルなのよ。それにあれは特殊なスキルだから英雄と言われるような行動を何度もして他者を導かなくては得られないの。」
「それに獣王に従ってる奴等はステータス上でも表示はされないからな。」
「ええ、その通りよ。でもよく知ってたね。」
そりゃ、身近に居るから当然だな。
周りは気付いてないようだがリバイアサンだけは違う様で口元に手をやってお淑やかに笑っている。
ただ、ここで口外をされると面倒なのでお肉の中でも特に良い所を皿に盛って横へと置いておく。
すると一瞬だけ悪い笑みを浮かべたので賄賂は通じたようだ。
それにしても、ゲンさんやサツキさんを相手にしているようで油断が出来ない。
さすが片方は遠い親戚で、片方は先祖返りなだけはある。
「それで、調査が遅れて逃がしてしまったと言う訳か。」
「まさにその通りね。そして2ヶ月ほど前に町で事件が起きたの。多くの虎人が私達の家に押しかけ襲って来た。でも私達はこの大陸の四方を守る霊獣としては最強種。だから戦って一部は捕らえたんだけど多くの者が町から逃亡してここに来てしまった。」
「私達は魔法に長けてるけど奇襲には弱いものね。虎人は接近戦を得意とするから相性は最悪だったわ。」
「本当にごめんなさい。話を聞いて急いで駆け付けたけど間に合わなかったの。まさかこんな所まで逃げているなんて思わなかったのよ。
「僕の方も気付かなくてごめんね。亀人はドラゴンの縄張りには近づかない様にしてるから気付けた子が居なかったんだ。」
「それは仕方ないわ。あなた達の堅い守りもドラゴンの爪や牙には太刀打ちできないもの。」
「それにどうやらそこのヒューム達がヒイラギ達を助けてくれたのよね。あなた達には改めてお礼を言うわ。」
そう言って白老虎達は揃ってこちらに頭を下げて来る。
先日に会った雄の麒麟の事もあるので少し心配していたが、こちらの霊獣たちはヒュームだからと言って侮ったりはしないようだ。
それにあの獣王はおそらく霊獣に頼らない自分が一番上に立つ国が欲しかったのだろう。
しかしそれは欲に魅入られた者の所業でしかない。
そんな事をすれば誰がこの大陸を浄化すると言うのか。
ここの霊獣は狭い範囲だが上手く地域を分割して浄化をしている。
せっかく上手く回っている状況を崩して個人のエゴで突き通す意味はない。
それにあの様な者が強い呪詛を世界に広げるのだろう。
そう思えば今の内に始末できたのは行幸だったと言えるかもしれない。
「理由は分かったわ。それで何故リバ様までこちらに来られたのですか?」
まさか焼き肉の匂いに釣られたとかは言わないよな・・・。
「心配しなくても私はマーメイドたちの声を聞いてここに来ました。そして事情を聞けばどうやら私の土地で問題が起きていると気付いたのです。そして意外にもユウ達が彼女達だけでなくあなた達も助けてくれたと知ったのです。」
「そうだったのですね。」
しかし、なんだか2人とも納得しているが何でそこで意外にもって言葉が出て来るんだ?
俺が犬の仲間である狐を見捨てる筈がないだろ。
それこそ、相手が神であったとしても喧嘩は買ってやるよ。
そして、俺が心の中で息巻いているとヒイラギは不思議そうな顔でこちらを見て来た。
「それにしてもリバ様は彼らとかなり親しいようですが。」
「まあ、偶然のなせる業ってところだな。」
普通に考えれば海の者と陸の者なのでかなり不自然だろう。
これも偶然の産物だが出会いとは本当に奇な物だ。
それにホロの聞いた声の方向に来るとリバイアサンの管理する土地があり、加護を受けている俺達が助ける事になるとはここに来た当初は考えもしなかった。
「そうですね。理由は省きますが彼らには私が加護を与えているのです。私も最初に聞いた時は驚きましたが世界は広い様で狭いですね。」
「「「「え!?」」」」
すると霊獣たちは驚きの表情を浮かべこちらを見て来る。
確かに知らなければ驚く事かもしれないが、これでゲンさんとサツキさんがそこで倒れている龍王の血縁者だと知ればもっと驚くだろう。
「そう言えば何で龍王はボロボロなんですか?」
「実は私はここに殆ど居られないのでドラドには何かあった時には対処するようにと言っておいたのです。しかしそれを守らず、ケガを理由にサボっていたのでお仕置をしておきました。」
(それってもしかして先日リバイアサンが滅多打ちにしたのが原因では・・・?)
「何か意見でもありますか?」
するとその事に考えが至った所でリバイアサンから瀑布の様な威圧と般若の笑顔が向けられた。
そのため俺程度が取れる行動はただ一つしか無い!
「ナニモアリマセン。」
「よろしい。」
君子危うしには近寄らず。
昔の人は良い諺を残してくれたものだ。
この言葉が何度、俺を救ってくれたことか。
しかし、それで納得も出来た。
恐らく他の二人は情報交換と無事を確認しに来てくれたのだろう。
仲が良いのは本当の事のようで安心する。
そう言えばこの大陸のギルドはどうなっているのだろうか。
連絡が取れなくなっているそうなので何かがあったはずだ。
俺がその事を聞いてみるとその理由が明らかになった。
どうやら獣王の配下がギルドに侵入し連絡用の水晶を破壊してしまったそうだ。
ギルドの水晶は非常時の連絡にも使われる重要な魔道具なので情報の拡散を恐れての事だろう。
しかし、グレンとタクトの所は虎人ではなくそれぞれ担当する鳥人と亀人が犯人らしい。
どうやら、獣王というスキルはその名の通り全ての種族に有効の様だ。
もしかしたらいずれは大陸の支配も考えていたのかもしれない。
最初の計画が成功し、リリたち白老虎を支配できていれば大きな足掛かりになった事だろう。
俺達が未然に防ぐことが出来たのは偶然だが、そう考えるとドラドがそれを放置した結果、ボコられたのにもなんだか納得してしまう。
彼らの持つ役割は世界にある驚異の排除なのでこの事態には動かなければならなかったはずだ。
もしかすると世界で最も役割を放棄しているのはドラゴン達かもしれない。
その後、少しずつ雰囲気は和んでいき酒も入り始めた。
するとリリが少し悲しそうに、ある話題を口にする。
「そう言えば獣王のスキルで心を変えられた者たちの処分はどうするべきかな。こちらに来てしまった者は全員殺されてしまったけど私の所にはまだ4千人規模の人々が苦しんでる。ハッキリ言って自分たち以外を食料としてしか見ない者たちを残しても害にしかならない。殺すしかないのだろうかな?」
現在、その者たちは隷属の首輪で行動を制限する事でどうにか生活させているらしい。
しかし、それも何時か限界が来るだろう。
どうにかして元に戻す手段は無いかと心を痛めている様だ。
そんな暗い雰囲気を払拭するようにホロがある提案を口にした。
「なら、私がどうにかしてあげようか?」
「良いのかホロ?」
「いいよ。みんな困ってるみたいだから。」
せっかくリバイアサンの口を封じたのにこれでは意味が無くなったな。
もしかしてあの時の笑みはこうなる事が分かっていたからかもしれない。
すると霊獣たちの視線がこちらに集中し、その目には当然警戒も見て取れる。
どうにかすると言う事は獣王と同質か、それに類するスキルを所持している事の証明でもある。
当然、被害を出している種族程その脅威を肌で感じて理解しているはずだ。
そんな中でホロの事を少しは知っているヒイラギが冷静に言葉をかけた。
「それは有難いですがどういった方法を使うのか教えてもらえますか?」
「私は獣王が進化したスキル、獣帝を持ってる。獣王の支配を解除して元の状態に戻せる。」
しかし、その言葉に俺は驚きを隠して即座にステータスを確認してみる。
するとそこには獣王ではなく獣帝の寵愛と漢字が一字だけ変化していた。
いつの間にとは思うが恐らくはホロが彼らの声を聞いた辺りだろう。
今まであんな事は言って無かったのでスキルが進化し獣人達の声が届いたと考えられる。
「それで、あなたはその人たちをスキルで支配すると。」
「そんな事しないよ。元に戻すだけ。私はユウと一緒に日本に帰るから面倒は見れないの。それにユウはいつも言ってるの。責任を持てないなら連れて帰っちゃダメって。でも私の影響を少し受けるかも。」
「そ、そうですか。それで、それはどういう影響ですか?」
ヒイラギは少し顔を引き攣らせて俺をチラ見するがあくまでペットの話である。
俺はそれを先に説明すると他の霊獣からも理解を得る事が出きた。
しかし、ヒイラギのその質問は当然だろう。
危険な性質の影響を受けるなら元に戻ったとは言えない。
更に強力なスキルの影響となると今より悪化する可能性まである。
まさか、俺が見境なく色々な獣人や霊獣を拾っているとは思っていないだろう。
『まさかの無自覚。』
(俺は見境なく連れて帰ったりしてないぞ。)
『そうですね。全員が美女や美少女ばかりですものね。』
(・・・偶然だ。)
しかし全員が女性であるのは本当に偶然だったが、ライラと付き合い始めてからは意識してそうしている。
それにスピカが言う様に全員が異性としてとても魅力的なので急に拾って来た男を家に上げると何をするか分からない。
それでなくても家には男関係で嫌な思いをした者も居るので俺自身も神経質になっている所もある。
『実を言うと、私もあなた以外の男性は苦手です。』
(それならこれからも俺の方針は変えなくても大丈夫だな。)
『馬に蹴られる者を量産する必要は無いでしょう。』
まあ、馬でなくてもちょっかいを出して来た時点で俺が蹴り飛ばしてやる。
そして、スピカとのやり取りを終えるとホロが獣帝を使用した際に起きる変化点を告げていた。
「そうだね~・・・きっとご飯を美味しく食べたり、のんびりしたり子供好きになったりとかかな。」
そしてホロはあまりにも平和的な影響を口にしてご飯を頬張った。
しかし、それこそが俺の知るホロと言える。
すると彼らの動きが止まり少しすると安心したように苦笑を浮かべた。
そしてリバイアサンは他者の考えが読めるので既に口に手を当ててクスクスと笑っている。
「彼女の言葉は真実です。私が保証しましょう。」
そして鶴ではなく龍の一声によりリリはホロへと駆け寄りその手を取った。
その顔には真剣な表情が浮かび目元に涙が滲んでいる。
「なら頼みます!仲間と友を救ってください。」
「良いよ。私はその為にここに来たから。」
そしてそれに続き他の二人もホロに声を掛けた。
どうやらあちらの被害者もまだ生きている様だ。
「なら俺の所も頼む。報酬は払おう。」
「僕の所もお願いするね。」
そう言ってグレンとタクトもホロへと依頼を口にした。
どうやら次はこの大陸をグルっと回らないといけない様だ。
「どの順番で回るのが良いかな?」
その質問は確かに大きな意味を持つ。
この大陸には中央にドラゴンの縄張りがあって直進は出来ず、どうしても迂回しないと目的地へと辿り着けない。
龍の許可があれば別だが肝心の龍王は今も床に放置されてピクリとも動かないまま気絶している。
下手をしたら今の状況すら理解していないだろう。
「ならば私が代わりに許可を出しておきます。アナタ達は好きに通りなさい。霊獣たちはは先に縄張りへ戻り一番近い街に問題のある者たちを移動させて待機しておくように。彼らには使命があるのだからあまり時間を取らせてはいけませんよ。」
(え、俺達に使命なんてあるの?初耳なんだけど。)
「それでは私は帰るとしましょう。グレンとタクトは一人で大丈夫ですね。」
「俺達は空を行けるから大丈夫です。しかしタクトは少し時間が必要でしょうから最初は俺の所に来るのが良いと思います。」
「そうだね。僕は移動が遅いからそうしてくれると助かるよ。リリの所は人数も多いから一番最後が良いかな。」
「そうね。分散させてるから来るまでには集めておくわ。」
そして予定を決めると彼らはそれぞれに別れて帰って行った。
俺達が動くのは明日からとなりまずは南へと向かいその後に北へと向かう。
そして最後に西へと向かってリリの所に居る犠牲者を治療する事になる。
ドラゴン達にはリバイアサンが声を掛けてくれるそうなので大丈夫だと思いたい。
それに一応中央は避けてなるべく迂回する形は取るつもりだ。
問題児が多いドラゴンなので許可を貰ったとは言っても油断は禁物だろう。
マップを最大まで広げて警戒を行いながら移動する事にした。




