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150 麒麟の行き先

俺はクオーツの許に向かうと彼女を受け取りそっと抱き上げた。

その顔には疲労の色が濃く、角が取れた場所からは血が流れている。

俺は額の傷を癒すと俺の傍に集まって来た雌たちに顔を向けた。


「ところで、さっき覚悟がどうとか言っていたな。」


クオーツと出会って日の浅い俺はまだ何も知らない事に気付いた。

ヴェリルの事も皆から聞いて初めて知ったのでこれからはもっとみんなの事を知る事が必要そうだ。

クオーツの事をもっと知っていれば今の様な事になる前に俺が全力で片を付けた。

今となってはもう遅いが今後の事を考えて聞いておく必要がある。


「麒麟の角は年に一度生え変わりますがその時以外に角を取る事は危険な行為です。命の危険もありますが、しばらく力が使えなくなり人間並みに弱体化します。しかし、麒麟の角は呪物としてとても強力な触媒になりますから今回は仕方なかったのでしょう。」


どうやら俺が思っている以上にクオーツの取った行動は危険な事だったようだ。

それだけ助けたかったのだろうが、これは後でしっかりお仕置が必要だな。


「教えてくれてありがとう。それでお前らはこれからどうするんだ?」


先程クオーツからは群れに一人だけ居る雄が行先を決めると言っていた。

なら彼女たちはリーダーを亡くし行先を見失っているのではないだろうか。

すると彼女らは周囲を見回し困ったような顔を恐らく浮かべた。


(麒麟の表情は上手く分からん。)

「進路を決める雄が居なくなってしまいましたから困りました(チラリ)。何処か良い所はないかしら(チラリ)。」

(あからさまだな。ある意味では有用な種族ではあるから聞いてみるか。餌代要らないし。)

「あら、何か失礼な事を考えてませんか?」

「カンガエテマセンヨ。」


俺は仕方なくゲンさんにこの事で了解を取るために電話を掛けた。

それにクオーツと出会った時にあの二人も羨ましそうに見ていたからな。


「すみませんゲンさん。お耳に入れたい事がありまして。」

『何じゃユウ。そんなに畏まって。また何か拾ったのか?』


酷い言い草だが反論が出来ない。

人間だけでも数十人。

犬猫に関しては数百匹面倒を見てもらっている。

そんな中で麒麟を30人程拾いましたと言ったら怒られないだろうか。

しかし、言っておかなければどうにもならない。

後々の事も考えれば絶対に必要な事なのだ。


「実は麒麟の群れと遭遇しまして。トラブルの末に行先が無いそうです。どうにかなりますか?」

『麒麟じゃとーーー!お前の言っとるのは首の長いキリンではなかろうな。お前の所にいるクオーツと一緒の麒麟か!?』


一瞬、首の長いと言われて麒麟を見たが微妙に首が長いという思いが浮かんだ。

しかし、クオーツと一緒と言う事でちゃんと伝わっている事にホッとする。


(それにしても何か様子がおかしいな。凄く嬉しそうな気がする。)

『少し待っておれ、確かこの辺に資料があったはずだ。おお、あったあった!』

(もしかして、俺がクオーツをテイムした時に凄く羨ましそうにしてたから調べてたのか?)


そして俺が受話器に耳を当てるとそこからは紙を捲る音が聞こえ、どうやら見つけた資料を確認している様だ。

その為返事はそのまま待つこと数分後となった。


『それでその麒麟が生活できるようにしてほしいのだな。』

「やけに話が速いですね。もしかして何か企んでます?」

『何を言っておる。麒麟の角は年に一度生え変わるがその角は呪いを解くための強力な触媒になる。ライラさんから貰った資料にそう書いてあるぞ。年に一回でもそれだけでかなりの金額になる希少アイテムじゃ。アリシアの秘薬も呪いには効果が無いからな。』


どうやら何かを企んでいるのでは無さそうだ。

怪しい所もあるが善意である事を期待しよう。

俺はゲンさんと道場で待ち合わせをして電話を切った。


「しばらく住めるところは見つかったから付いて来てくれ。ただ年に一度、生え変わったときの角は生活費として提供してもらう。それで良いか?」

「その程度なら構いませんよ。基本、自然に抜けた角は回収はしていますが私達には使い道がありませんから。」

(ん?今なんて言った。回収してる。なら沢山あるって事か?)


俺は今後の事を考え少し分けてもらえないか交渉してみる事にした。

強力な呪いについてはまだ不安が残る事も多い。

いざと言う時に手札は多い方が良いだろう。


「なら少し分けてもらっても良いか?クオーツがこんな感じだからしばらく呪いに対して不安があるんだ。交換が良いなら何か欲しい物があれば出来る限り希望に沿った物を提供するが。」


「それなら、私達から一本ずつ提供しましょう。それだけあればしばらくは大丈夫でしょう。それと欲しい物ですが貴方とその子の子供を頂きたいのですが。」


その瞬間俺は体から殺気を放ち、腰の剣に手を掛けた。

少し揺れるがクオーツには我慢してもらおう。

それと同時にこの後のゲンさんへする言い訳も考える。


(ゲンさんには悪いがこいつらは移動中の不慮の事故で全滅したことにするか。)


すると俺の気配に気づいた様で急いで追加の説明を入れて来た。

その時には俺は剣を半分以上抜き放っている。

完全に抜き放っていれば今の俺なら彼女らの首を全て飛ばすのに10秒も掛からないだろう。


「待ってください。少し言葉が足りませんでした。もし、あなたとその子との間に男の子が生まれて私達の群れに加わりたいと言う者が居れば、その者をリーダーにしたいと思っているのです。これほど優秀な二人からなら立派な者が生まれるでしょう。」


俺はその説明に納得し、殺気を消して剣を鞘に納めた。

その条件なら生まれてくる子供に選択権がある。

それに男が生まれるかも分からないので問題は無さそうだ。


「それなら構わない。でも強制しようものならどんな手段を取ってもその首を頂くからな。」

(そう、たとえアンデットにこの身を落としたとしても。)

「わ、分かりました。それでは少しだけお呪いをさせてもらいますね。」


そう言って俺達に近寄るとクオーツに角で触れた。

するとクオーツは僅かな光に包まれたが光はすぐに消え、見た目に何も変化はなさそうだ。


「何をしたんだ?」

「男の子が生まれる様に呪いを掛けました。大した効果はありませんがしないよりはマシでしょう。」

(後でライラに詳細鑑定をしてもらおう。嘘を付いていたらその首を貰いに行けば良いだけだしな。逃げていたら何処までも追いかけてやる。あ、一応マーカーを付けておこう。・・・よし、これで逃げられないな。)

「あの、何か背中に寒い物を感じるのですが。」

「気のせいだろう。それじゃあ角を貰ったら出発するから付いて来てくれ。」


そう言って俺は角を受け取ると彼女たちを連れて行った。

そして道場に到着するとそこにはゲンさんとシロウさんが既に到着している様だ。

俺は地上に降りると2人の前に降り立ち、それに続いて麒麟たちも降りて来た。

流石に30人もの麒麟が一斉に降りて来るとかなりの威圧感がある。

俺とゲンさんは問題ないがシロウさんは彼女らの気配に当てられ顔色を悪くしているようだ。


「お前らもう少し気配を抑えないと今後の生活が大変だぞ。」

「分かりました。なら人の姿になりましょう。」


そう言って彼女たちは人の姿に変わっていく。

シンプルなワンピースの様な服だが自分達である程度は作り出せるようだ。

そして、人の姿になると気配は一気に小さくなりシロウさんも顔色が良くなってくる。

普通はすぐには落ち着かないのだが、流石は魔物ハンターを束ねる家を取り仕切っているだけはある。


「ユウ君のおかげで助かったよ。それで角の件はもう話してくれたのかい?それとそちらの子は大丈夫なのか?」

「クオーツの事は今のところ大丈夫です。それと角の件ですが今までに抜けた角を所持しているらしくてそれも提供できるそうです。まずはそれを見てもらった方が良いかもしれません。」


俺達に確認は無理かも知れないが、ゲンさんの所にはあちらのギルドから引く抜いた人員が何人も居る。

もうじき立ち上げるそうなので確認は出来るだろう。

無理なようなら一度預かってライラに頼むしかない。


「それはありがたいが一度は確認が必要だろうな。鑑定師を2人呼んであるからさっそく頼んでみよう。」


そして俺達はシロウさんを先頭にして中に入って行った。

その間に俺は家に連絡を入れてライラにこちらに来てもらえるように頼んでおく。

そして案内された部屋に入るとそこにはエルフの国で会ったクラクとゼロビアが席に座り俺達を待っていた。

何やら二人だけの世界を感じるが俺も人の事を言えた事ではないので何も言わず黙っておく。

そして抱えていたクオーツを横のソファーに寝かせると二人に顔を向けた。


「久しぶり。あれからどうだ?」

「ユウ君も久しぶりだね。ゲンさんのおかげで俺達はまた同じ職場で働ける様になったよ。それに生活が安定したら結婚もする予定なんだ。聞いた話だとかなり雇用条件が良いからもしかすると来月くらいに籍は入れるかもしれないね。」

「もうクラクったら慎重なんだから。でもそこも好きよ。早くあなたの子供が産める様に頑張りましょ。」

「そうだね。」


クラクは会った時とあまり変わらないがゼロビアはまるで別人の様になっている。

以前会った時はもっと出来る女と言うのを地でいっていたが今では彼に甘え、少女漫画のヒロインの様に見える。

まあ、最近の少女漫画はドロドロしたものも多いが今のゼロビアは完全に恋する乙女だ。

いや、愛する乙女か。

するとそんな二人にシロウさんは気にする事無く声を掛けた。


(管理職ってスゲーな。あの空気に割り込めるのか。)

「すまないが早速仕事を頼みたい。ここに麒麟の角があるのだが詳しく見てくれないか?」

「分かりました。」

「任せなさい。」


そう言って二人は先程までの雰囲気を完全に消し去り真剣な顔になる。

流石に仕事中もあれでは周りも困るだろうと思っていたが大丈夫なようだ。

ちゃんと仕事と私生活を分けることが出来るようで安心した。


そして二人は鑑定を終えた様で角を置いて顔を上げた。


「結論から言えば質的には問題がありません。しかし古い物の為に麒麟の霊力が抜けています。ただ、今回は彼女らが協力してくれるという凄く稀なケースです。彼女らに再び霊力を込めてもらえれば問題なく使えるでしょう。もし、呪いを解くのに使うなら浄化を込めてもらえば効力は更に高まるはずです。」

「それなら問題ないわ。角が生え変わるまでしばらくあるから言ってくれればその都度、角を浄化しましょう。」


するとシロウさんは納得して頷いた。

そして麒麟たちに向くとこれからの事を話し始める。


「分かりました。それなら角はそちらで保管してもらい、必要な時に買い取りに来ます。当面の生活費として10本ほど売っていただきたい。もし、他に仕事を希望されるのならこちらで適した内容のものを斡旋しましょう。」


どうやら魔物の対処が出来る者は多いが、呪いに関しては不足しているようだ。

それでゲンさんはあんなに大喜びでこの話に喰い付いたのだろう。

少し前までは冗談で済んでいたものが冗談では済まなくなった。

ステータスを得れば呪いを受けると明確に表示される。

それが故意であれ偶然であれ目に見えてしまう様になってしまえば不安も大きくなるだろう。

軽い物なら魔法で対処が簡単だが、重い物では対処に限界がある。

どうしてもそれに特化した者や知識のある者が必要になって来るのだ。

そう考えれば呪いと浄化の両方の力に優れ、それらに敏感な麒麟は打って付けの人材だろう。


「それなら暇にならない程度に仕事もしましょう。私達はそこの男とそこの娘の子供が大人になるまではここに暮らす予定です。それにこの国は少し飛んだだけでも自然が豊かだと分かります。色々回るついでに仕事も済ませましょう。」


その声に他の麒麟たちも賛同し頷きを返した。

そして、話がまとまったところで部屋にライラが入って来る。

ライラは挨拶もそこそこにソファーに眠るクオーツへと駆け寄った。

そして状態を確認するとホッと安堵の息を零す。


「かなりの疲労してるけど命に別状はなさそうね。この子は私が連れて帰るけどユウはどうするの?」


俺が確認のためにシロウさんに視線を向けると、彼は軽く頷いて答えた。


「こちらは既に問題はない。一緒に帰ってやりなさい。何かあればこちらから連絡を入れよう。」


それならと俺はその言葉に甘え連絡先を渡してクオーツを抱き上げる。

そしてライラと一緒に部屋を出ると外へと向かって歩き出した。



「あの子は良い男に巡り合えたのね。居なくなった時は心配したけどあれなら大丈夫そう。」

「もしかしてここが彼女が昔いた群れですか?」


するとその麒麟は首を横に振り「違うわ」と答えた。


「あの子が居た時の群れはもう無いの。突然現れたドラゴンにその時のリーダーは殺されてしまったから。私はあの子の育ての親を少しの間だけしてただけ。偶然彷徨っていたところを今の群れに拾ってもらったの。おそらくあの時の群れの生き残りは殆どいないわ。でも何であのドラゴンはあんなに気が経ってたのかしら。」


そう言ってその麒麟は昔を振り返り悲しそうに言葉を零した。

その後この事はゲンの口からユウに伝えられることになるが、それはもう少し先の話である。



家に帰った俺とライラはクオーツを自室のベットに寝かせていた。


「それにしてもクオーツがこんな無茶をするなんて。」

「一応周りの麒麟に聞いたが通常は絶対にしないらしいな。」

「そうね。きっとこの子はユウの期待に応えたかったのよ。それだけあなたの事が好きなのね。」


そう言ってライラはクオーツを寝かし終わると立ち上がり扉に向かって行った。

どうやら看病は俺に任せるみたいだ。


「ご飯になったら呼ぶから。それまで傍に居てあげて。」

「ああ、助かったよ。」

「こういう時はそうじゃないです。」

「そうだな。ありがとう。」


俺の言葉を聞きライラは「フフッ」と笑うと部屋から出て行った。

俺自身、至らない所が多過ぎる。

強くなっても出来ない事は多く、こうして仲間や家族を危険に晒している。

言い訳をしようとすれば幾らでも出来るかもしれないがそんな事をしていたらいつか大事な者を失ってしまう。


(もっとしっかりしないとな。)


俺はクオーツの横に椅子を取り出すと腰を下ろしてその顔を見詰めた。

現在俺のレベルは61。

今日の麒麟を倒して1上昇した。

それに最近は特にレベルが上がらなくなってきている。

これは本気で何か方法を考える必要がありそうだ。

しかし、その為には武器が心許ない。

最近力が高まり武器を酷使している為いつ限界が来るか不安になる。

そろそろドワーフの国へ行った方が良さそうだ。


そして、考え事をしていると俺の手に小さく温かい手が乗せられた。

目を向けるとどうやらクオーツが目を覚ましたようだ。

俺はその手を握り返すと優しく微笑んで声を掛けた。


「大丈夫か?」

「もう大丈夫。無理に角を抜いたから体に力が入らないの。それに少し寒いわね。」


俺は寒いならと空調の気温を調節しようと腰を上げたがそれを彼女の手が遮った。

いつもと違いその弱々しい力につい離れそうになるが俺は再び腰を下ろしてその手を握り返す。


「何かしてほしい事があるか?」

「何でも良いの?」

「ああ。俺に出来る事ならな。」


するとクオーツは顔を赤くして布団で顔を半分隠すと恥ずかしがりながら俺にお願いを告げた。


「なら・・・。ユウの体温で温めて欲しいな。」


そう言ってクオーツは掛けていた毛布を捲り俺を誘った。

俺は苦笑を浮かべると上着を脱いでその横に入りクオーツを優しく抱きしめる。


「温かい。ユウは優しいね。」

「そんな事はないよ。こう見えて冷たさには定評がある。」

「フフ。誰が言ってるのそんな事。」

「それは秘密だ。お前に教えたら蹴り殺しに行きそうだからな。」


するとクオーツは潤んだ瞳で俺を見詰めると次第にその顔を近づけて来る。

俺もそれに合わせて顔を近づけると互いにキスを交わした。

しかし、今回は軽い物ではなく互いに求め合う様な激しいキスだ。

すると次第に口以外も激しく求め合い俺達はその身を重ねた。

そして全てが終わるとクオーツにお願いをされて腕枕をしている。

ただ、頭を乗せるのではなくうつ伏せで顎を乗せているので仕草がちょっとホロに似ている気がする。

それにとても嬉しそうで今にも鼻歌でも歌い出しそうだ。


「これがみんなが言ってた幸せの痛みなのね。こんな感じは初めてだけど何だか嬉しさで胸がいっぱいになってるわ。」


恐らくは弱体化の影響もあるのだろう。

そのため俺との行為が彼女に痛みを与えてしまったようだ。

日頃から痛みに慣れていないクオーツにはかなり苦しいかもしれない。

俺は彼女の腹部に手を当てると軽い回復魔法を流し込む。

これで痛みが少しは和らぐはずだ。


「温かくて気持ち良い。気を使ってくれて嬉しいわ。でも私は大丈夫だから今はこのままでいさせて。」


『絆が深まり加護が寵愛に変化しました。』

『寵愛を通じて彼女の枯渇した霊力を補い回復させます。』

『眷族を使用し彼女を強化します。』

『強化に麒麟の角を10本使用。霊力を限界まで注入。貯めていた霊力が失われました。』

『眷族であるクオーツを強化開始。』


「何これ!何かが・・・流れ込んでくる!」


すると彼女の額から新しく白銀の角が生え、それが伸び終わると意識を失ってしまった。

俺は彼女に寄り添うように抱きしめるとそっと頭を撫でる。

そして今回は珍しく途中で介入してきたスピカに声を掛けた。


(スピカ、今回はやり過ぎじゃないのか?)

『今の機会が最高のタイミングでした。おそらくは今以上のチャンスはユウさんの心情を考えればあり得ないでしょう。』


確かに俺はもうクオーツにあんな無茶な事をさせるつもりは無い。

だからと言って今回の事は負担を掛け過ぎなのではないかと心配になって来る。

するとクオーツは目を覚ますと蕩けた様な表情を浮かべてこちらを見詰めてきた。。


「なんだかユウを傍に感じられてとても嬉しかったわ。あと・・それと・・・まだお願いは聞いてくれるの?」


どうやらこの様子だと痛みや苦しみを感じて意識を失った訳ではなさそうだ。

これなら俺が心配しなくても大丈夫だっただろうか。


そしてクオーツは真っ赤な顔で何かをおねだりしたいようだが額の違和感を感じて頭を動かした。

その時に角が俺に振れ、彼女は自分の角が新しく生えている事に初めて気が付いた。


「角が・・・生えてる。それに力も戻って・・いえ、凄く強くなってる。」


彼女はベットの上に座ると体に流れる力を探りその大きさに驚愕している。

おそらく俺が感じている範囲でも数倍にはなっているだろう。

クオーツは自分の状態を確認すると再び視線を向けて来た。


「元気になったからお願いはもうダメ?」


なんだか寂しそうな顔をしているが俺はある事を思い出しニヤリと笑みを浮かべた。


「そう言えばクオーツには無茶をした罰を与えないとな。」


するとクオーツは少し下がり俺から離れて逃げようとする。

どうやら俺の罰は今までの事から何かの痛みを伴う事だと思ったのだろう。

しかし、今回は趣向を変え、彼女に屈辱を味わってもらう事にした。


「何をするの?」

「クオーツは跨るのは嫌いと言ってただろ。今回はあえてそれをすると言う事で許そうと思う。いやならしばらくベットでの事は無しだ。」


するとクオーツは悩んだ挙句に頷いた。

そして結果的にはとても(マッサージが)気持ちよかったとだけ言っておこう。

彼女の跨り嫌いも解消されたので次回もお願いして今回は一石二鳥だった。

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