表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/225

13 東京3日目

あの後ライラに朝までミッチリと指導を受けたクミは無事に結界石の作製に成功した。

もともとがクリエーター系の仕事をしていた為か飲み込みも良く短時間で仕事をものにした。

そしてクミに残っている91のスキルポイントは好きに使ってもらう事にしている。

それだけあれば自衛のために戦闘系を取ったり、更なる躍進の為にスキルを強化する事も出来る。


そして、まだ寝る時間があったので俺は部屋に戻り眠りに付いた。

昨日は色々あってかなり疲れたのでベットに入るとすぐに眠気が襲って来る。

そして目が覚めると背中に暖かい物を感じ、寝ぼけた頭でそちらに向くと優しく抱きしめた。

少し変な気分だけど暖かくて花の様な良い匂いが鼻腔を優しく刺激してくれる。

それが布団の中で微睡んでいる今はとても心地よく手で触れた髪も滑らかでシルクみたいだ。


(ん?ホロはお菓子の様な甘い匂いのはずだよな。)

「ユ、ユウ。私も心の準備が・・・。でも・・・ユウなら許してあげる。」

(それに声も違う。・・・これは・・・ライラの声か?)


俺はそっと目を開けると布団の膨らみに視線を向けて緊張に体を震えさせる。

しかしもし俺の予想が的中していればライラはどうやってこの部屋に入って来たんだ?

扉は自動ロックだし鍵はテーブルに置いてあるので勝手に入る事は出来ない。

だが床には昨日の夜にライラが着ていた服が落ちており情熱的な女物の下着まである。


(そう言えば勝負下着がどうとか前に言っていたな。)


そして布団を捲ろうと俺は僅かに体を動かすと胸に二つの膨らみが触れるのを感じた。。


「あぅ!急に動かないで・・・。」


その途端に布団の中から甘い声が聞こえ俺の精神をおろし金に掛けたようにガリガリと削っていく。

しかしそれでは終わらず布団の中の人物は更に足を絡め体を擦り付けて来た。


「う~ん。ユウ~・・・。」

(・・・まさか。)


そして俺は覚悟を決めて布団を捲り中を確認すると、そこには予想通りライラが赤く頬を染めて目を閉じ何かを呟いている。

どうやらさっきから聞こえていた変な声は寝言だったらしく俺は残念なような安心したような気分にさせられた。

それにしてはピンポイントなセリフだったがどんな夢を見ているのだろうか。

しかし、このままにはしておけないので体を起こすとライラの白い肌に触れ優しく揺り動かして起こしてやる。


「おい、起きろライラ。」

「う、うん・・・へ?」


するとライラはゆっくりと目を開けると寝惚けた顔でこちらを見上げて来る。

そして、周りを見回し首を傾げるとまるで俺の方が犯人の様な事を言いだした。


「あれ、ユウ・・・。なんでここにいるの?もしかして夜這い?」

「そんな訳有るか!周りを良く見ろ。」

「あれ・・・ホロは何処なの?あれれ、もしかして部屋が違う?」


ライラは混乱しながら周りを見回しているが、次に下を見て自分が裸である事に気が付いた。

しかし、真の問題はそちらではなくその下のシーツに描かれた立派な世界地図の方だ。

女性は男性よりも緩いと聞いた事があるがこの歳になってこれは流石に・・・。


「あ、あの・・・これってもしかして・・・。」


そしてシーツを濡らす透明な水を見ると足の先から耳の先までを真っ赤に染めた。

どうやら寝てはいてもライラには何らかの自覚があったらしい。


「もしかして・・・さっきのって、ゆ、夢じゃない・・・。」

(どんな夢かは知らないがそれは夢で間違いありません。)


そして俺は見ざる聞かざる言わざるの三猿を装ってベッドから出るとライラに背中を向けた。

すると後ろから衣擦れの音が聞こえて来るのでライラも起き上がって服を着ているのだろう。

こうしてすぐ後ろで女性が着替えをする時が来るとは夢にも思わなかったが、澄ました顔をしていても俺自身にも全く余裕はない。

28歳にして年齢イコール彼女居ない歴で童貞な俺にとっては何をする度胸も知識も無いのだ。

ただ言える事は今にも心臓が破裂しそうな程に早鐘を打っており、頭は血が上っていっぱいいっぱいになっている。

しかし衣擦れの音がしなくなると俺の後ろに移動した背中から抱き付いて来た。


「ごめんなさい。ちょっと寝ぼけてたみたい。」

「分かってる。この事は皆には秘密にしておく。」


すると背中からは今まで聞いた事が無い程に弱々しく今にも消えてしまいそうな声が聞こえて来る。

俺はその声に振り向いて抱きしめてやりたいと言う思いが込み上げて来るが、今にも決壊しそうな理性を何とか維持して必死に体を固定した。

しかし、それが更に不安を与えてしまったのか今にも泣き出しそうな声が聞こえて来た。


「でも、あなたへの気持ちは本当よ。他の人であんなこと絶対にしないわ。だから嫌いにならないで。」


きっと夢の話と今を混ぜてしまっているのだろうけど俺はその言葉にどう答えるべきか悩む。

聞こえていた声からどんな夢を見ていたのかも、世界地図がただのオネショでも無い事も何となく気付いてはいるが本音を言えば俺は自分に自信が無い。

それに比べてライラはとても素敵な女性で話していて面白いし優しさもある。

綺麗で可愛くて多くの男がその容姿だけでも求婚を申し込みそうだ。


その反対に自分の事を思い出して自己評価してみる。

俺は薄情で自分勝手だ。

ライラを助けているのも打算が大きく占めている。

そんな俺がライラの相手に相応しいのだろうか?

・・・分からない。

俺はライラの思いを受け止めるだけの資格があるのだろうか?

・・・分からない。

俺はライラを本当に好きなのだろうか?

・・・自分の気持ちが一番分からない。

俺には自分の事ですら分からないことだらけだ。

だから俺は悩むのを止めて心の壁を取り去り素直な気持ちを打ち明ける事にした。


「ライラ・・・。」

「何?」

「俺は酷い男だぞ。最初にアヤネが襲われている時、見捨てようとした。」

「でもあなたは助けたでしょ。そのおかげで彼女は今も生きてるし幸せそうよ。」

「お前も追い出そうとしたぞ。今でも便利だから利用しているだけかもしれない。」


すると背中からクスクス笑う声が聞こえる。

しかし、俺は今の話の何処に笑う所があったのか分からず、首を傾げる事しか出来ない。


「実は私、人に頼られるのが大好きなの。それがあなたなら至上の喜びよ。もしかすると私はダメな男に惹かれる質なのかな。それにあなたはそういう時に「かも」なんて言わないでしょ。そういう時のあなたは言葉と反対の気持ちだって知ってるのよ。」

「浮気するかもしれないぞ?」

「私の父は10人以上の奥さんが居たもの。だからそんなの気にしないわ。ただ私の事もちゃんと愛してくれればそれで満足よ。そうしないと泣いちゃうから。」

「それは俺も辛いから勘弁してくれ。」


どうやら俺に逃げ道は最初から無いらしく、話していると同時に自分の想いにも気付かされた。

俺は振り返ると覚悟を決めてライラの顔を真直ぐに見つめ少しずつ顔を近づけていく。

そして緊張しながらそっと唇に触れ優しいキスを交わした。


(本当に俺には勿体ない程の女性だな。)


しかし唇が離れるとライラは不安な表情になり俺を見上げてきた。

もしかして初めてのキスだったので何か問題があったのかと不安になっていると彼女は今まで隠して来た事を素直に話して教えてくれた。


「あなたの方こそいいの?私普通の人間じゃないのよ。ドラゴンと人との混血なの。もしかしたらあなたに迷惑が掛かるかもしれないわ。」


俺は片手でライラを抱きしめ反対の手を顎に当てるとフムと考えるポーズを取る。

すなわちライラを恋人にするとその厄介ごとに巻き込まれると言う事か。


(・・・関係ないな。既に誓いは交わされたんだ。この程度は障害にはならないな。)


「気にするな。何かあれば俺が叩いて潰す。お前の敵は今では俺の敵も同じだ。だから気にして勝手に居なくなるなよ。そんな事したら地の果てまで追い掛けて行くからな。」

「ありがとうユウ。そう思ってくれるって分かっただけでもうれしいわ。それと私の年齢だけど人間からみると100歳を超えてるのそれでも本当に良いの?」

「好きな気持ちに年齢は関係ないだろ。俺が年齢で気にするとすれば子供が無事に産めるかどうかくらいだ。」

「そのね・・・そういう事はした事が無いから分からないけど頑張ってみるね。」


するとライラは顔を赤らめると嬉しそうな表情を浮かべて胸に押し当ててくる。

その目には涙が浮かんでいたが零れた雫には朝露の様な清らかさが宿って見える。

ただ今は心臓が破裂しそうな勢いで動いているから恥ずかしさで限界を超えそうだ。


その後、服を整えたライラと部屋を出るとそこにはアヤネとホロとアリシアが腕を組んで待ち構えていた。

そしてライラを抱えると強制連行され隣の部屋へと向かって行った。


「え、あれ・・・。ぎゃーーー!助けてーーー!殺されるーーー!」


そしてライラは隣の部屋に連れて行かれそのまま姿を消してしまった。

ただ直前に見えた3人の顔には笑顔はあるが目は笑っていなかった。

どうやら今から恐怖の『オ・ハ・ナ・シ』タイムが始まるようだ。

アイツの敵は俺の敵と言ったが、俺の味方でもある彼女たちは例外としよう。

こういう時、男が変に口出しをすると拗れるだけだからな。


そして一応20分待って部屋に声を掛けると4人は素直に部屋から出て来てくれた。

連れて行った3人は普通の笑顔に戻りライラは逆に花が枯れたように酷い表情をしている。

何があったのかは聞かないが、そろそろ飯にしたいので食堂へと向かう事になった。

予定では後3時間ほどで約束の時間だ。

朝ごはんを食べて準備を整えると俺達はシンジを運転手にしてホテルから出発して行った。

当然助手席にはクミが乗りその顔には太陽も霞む程に輝く笑顔が浮かんでいる。

彼女は昨夜はもう遅いと言う事で宿直室のベットを借りてホテルに泊まっていたが、俺はマップで見た二人の距離はかなり近かった。

野暮な事は言わないし職場の仮眠ベットで致すとは思わないが二人の仲が進展したのは確かだろう。

シンジには今日これからの事も含めてクミを守ってもらいたいものだ。


そして国会議事堂に到着するとそのまま敷地内へと通され、車を置いて議事堂へと入った。

入り口には案内の人が立っており俺達を目的の場所に案内してくれる。

中に入るとそこには数百人の議員が既に座っており、俺達は一番前に設置されている椅子へと案内された。

俺達は席に座ると周りを見回し表情を確認する。

どの顔も視線がライラとアリシアに集中しており、その目を見れば何を考えているかが手に取る様に分かる。

するとライラはそれに気付いたようで俺の手を包むように握ってきた。

それと同時にあちらは初めて俺に気が付いたような顔で睨むような視線を向けて来る。


(ハッハッハ―、そうですか。そんな目を向けるならこちらも遠慮なんてしませんよっと!!)


『威圧レベル10』


そして俺は威圧を込めた瞳で睨んでくる奴等の意識を尽く刈り取った。

それだけで半数近くの人間が突然意識を失いその場で泡を吹いて倒れていく。


(本当におめでたい連中だ。健康管理はお早めに~。)


その状況に国会議事堂の前に救急車が殺到したが俺の知った事ではない。

たがそのおかげで有難いと思う者もいたらしく、国を代表する総理は運ばれて行った者達に笑みを向け胸を撫で下ろしている。

もしかすると普段から足を引っ張っている邪魔者だったのかもしれない。


そして半数近くはいなくなったが会議は問題なく行われるようだ。

まあ、あの威圧を受けてすぐに目を覚ます奴が要るなら参加させる価値はあるだろう。

しかし、戻って来る者は一人も居らず、多くの空席の中で開始の合図が発せられた。


「それでは今回の議題は現在町を騒がせている通称魔物、モンスターについてです。それについて、この度は重要参考人に来ていただきました。彼らは現在各地に結界石という物を販売して多くの利益を上げています。それについてお聞きします。それでは総理からどうぞ。」


すると総理は前に立つとマイクに向かって喋り出した。


「結界という非現実的な装置を販売しているようですがそれについてお聞きします。あれは本物ですか?」


するとアリアが手を上げ前に出る。

そして結界石を置いて起動させた。


「これが結界石です。あなた達の中で今から5分以内に私に触れられればどんな言う事も聞きましょう。」

「それはどんな事でもですか?」


しかし発言を許可されていない議員の一人が厭らしい笑みでライラに問いかけた。


「どんな事でもです。奴隷にでもなって差し上げましょうか?」


『ガン!ガン!』

「静粛に。両者、口を慎みなさい。」


しかしその後に複数の議員がライラの言葉に乗せられて挑戦を試みた。

だが彼女が言った5分が過ぎ、10分が過ぎようと誰もライラに近づく事すら出来ない。

ちなみにこれは普段の結界石とは違い普通の生物も弾く事が出来る。

飛行機の事もあって聞いてみると魔法陣を変更して新しく作ってくれた。

これがあれば飛行機を飛ばす事が可能で公表すれば飛行機会社が喜んで買ってくれるだろう。

そして、挑戦者の全員が引き下がった所でライラは結界石を仕舞いマイクへと短く答えた。


「これで証明を終わります。」


その時点で総理の笑みは深くなり試した者の多くは顔を歪めて悔しそうにライラを睨む。

その中でも納得している者もいるので本気で試した人も居るのだろう。


そして会議は進むがお昼となり一時休憩となった。

その理由としては会議中に再び数名の議員が倒れたからだ。


(ホントウニドウシタノダロウカ?)


そして俺達は食堂に案内されそこでお茶を振舞われる事になった。

しかし、そのお茶に俺の危険察知が反応し異常がある事を知らせてくれる。

そのため鑑定を使用し、お茶を確認すると中には思考力を低下させる毒が含まれていた。


(これは敵対行動か?やっちゃっても良いのかな?)


すると横から総理が現れ給仕の者に指示を出した。


「君、これを下げなさい。そして私と同じ飲み物を。」


そしてその声には覇気があり有無を言わせない力が感じられる。

これが一国を代表する者の貫禄かと思っていると給仕は急いで別のお茶を用意してくれた。

その際、給仕が軽く舌打ちした事を俺は聞き逃していない。

それでも次に出て来たお茶に毒は入っていないようなのでもう少し我慢してみる事にした。

ただし下がって行く途中に給仕の男は体調不良でその場に倒れ、持っていた毒入りのお茶を頭から被って病院に搬送されて行ったのは言うまでもない。

そして俺達は喉を潤してから対面で日本茶を啜る様に飲む総理に視線を向けた。


「君たちのおかげでかなり静かになった。感謝するよ。」


しかし総理はそれだけ言うと席を立って消えて行った。

これがどういう意味かは分からないが食えない爺様の様で老獪とはあの様な者の事を指すのだろう。

その後、俺達も少しして席を立つと元の部屋に戻り席に着いた。

そしてステータスプレートを開いてそこに映る映像を確認する。

これには携帯の機能が統合されているので電話やメールの他にテレビも見る事が出来る。

今の所は問題なく会議の映像が流れているので問題が無かったが、それも休憩後になると急に変わってしまった。

いつの間にか映像は別の物に差し替えられ、俺達は会議を邪魔するように騒ぎ立てながらある事ない事を叫んでいる

それを周りの議員がまるで正義の味方のように言葉で抑え込むと言う驚くほどに精巧な合成映像だ。

日本の高いCG技術を世界に知らしめるには十分持って来いだが悪者が俺達なのはいただけない。

ならばCGで簡単に再現できない事をしてやろうじゃないか。

俺は立ち上がり議員がいなくなって縦一列に空いている区画に立つ。

そして手を掲げ魔法を纏わせるとそのまま真直ぐ振り下ろした。


「カマイタチ!」


すると俺の手から烈風が生まれ議員たちの間を切り裂いて走る。

そして風が納まった後には机が綺麗なV字に割れ傍にいた議員の髪が天井付近まで舞い上がっている。

どうやら鬘だった者が何人かいた様で驚きながらも頭を押さえて逃げる様に退出して行く。

まあ、いいタイミングで今の光景は映っていないのでお茶の間を騒がせることは無かっただろう。

しかし地毛を持った議員には自分の髪よりも今起きた事の方が気になっている様だ。


「な、何をしたのだ!?」

「国民に配信されている映像が切り替わってるぞ。」

「何を出鱈目な事を言っている!」

「調べてみろすぐに分かる。」


そう言って来たのは奴隷と言う言葉に真先に反応しライラに突っかかって来た議員のオヤジだ。

今も俺の言った事を嘘と決めつけ碌に確認すらさせようとしない。

しかし総理は違うようで報道陣を睨みつけると何処の局の仕業かを即座に調べさせた。

結果、配線が途中で切断され、あるテレビ局が電波ジャックしていた事が判明する。

彼らは後に国から膨大な賠償金を迫られ破産して潰れたがそれは関係のない話だ。


この後、総理の謝罪を挟んで放送は再開された。

これは全国放送なので多くの国民が見ており、しかも直接自分たちの安全に結びつく内容だ。

後で知った事だが視聴率は過去最高を記録したらしい。

こんな重要な事を妨害したり直前で倒れた議員がどう責任を取るのか凄く楽しみだ。

そして最後にライラが堂々とした態度で総理に、そして世界に向けて告げた。


「私はこの結界石を独占する気はありません。あなた方が望むなら製法を開示しましょう。国が管理したいなら国に。世間に開示してもいいなら全世界に。それとこれを作るのは難しい事ではありません。そこにいるクミという女性は半日で製作を可能にしました。私達もこれから作って行きますが数が足りないので出来れば協力を要請します。」


ライラはあくまでお願いする形を取り総理に提案した。

これがあれば逼迫している国庫はかなり潤うだろう。

技術を他国に売るだけでも膨大な利益になる。

俺達は別に世界がどうなってもいいが結界石の知識を独占するつもりは全く無い。

俺達の目的は結局のところ自分たちの平和と安全なので結界石が普及した方が良いと考えている。

それにこの映像はおそらく世界中に拡散しているので既に俺達の手を離れたと言ってもいいくらいだ。

それにもし他国が結界石の技術を家に盗みに来たら茶を出しながら情報を渡すだろう。

ライラを連れて行こうと言うなら相手を殺してでも抵抗するが、結局のところ俺達にとってこの情報はその程度の価値しかないのだ。


そして総理は立ち上がると俺達の前まで来てその場で頭を下げた。

国の代表がするにはあまりなタイミングだがそれは誠意と受け取っておこう。

それに彼は世界を代表して頭を下げたのだ

俺はライラに視線を向けてメモリースティックを3本取り出して総理へと渡す。

どれにも同じデータが入っており残り2つは予備だ。

失くしてもすぐに複製が出来るので問題はないがバックアップは常に必要だろう。

なぜこんな事の出来る者が上にいて今まで全く動かなかったのか疑問だが、足を引っ張る者が多かったと考えれば納得だ。


その後、俺達は国会議事堂を出てホテルへと帰った。

長いような一日だったがこれで結界石が軌道に乗れば俺達も自由に動ける。


(は~・・・帰りはどうするかな~。飛行機は乗りたくない~。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ