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サラチア王国物語集

オレオレ詐欺電話撃退作戦

作者: 瑞條浩幹

なんだか誰かと書き方が似てしまったような気がしますが完全に無意識なので許してくださいぃぃ!

今日はよく晴れている。こういう日はウィンディに頼んで外を飛びたいものだ。


ま、研究も暗殺も楽しいのでいいんだが。

支度を済ませていると、部屋の電話が鳴り響いた。相手はルーチェだった。

「ルーチェ?どしたん?」

『今、大丈夫?ちょっと相談したいことがあるから屋上に来てほしいんやけど…。』

そういうルーチェの声はいつもより低かった。


これは、何かあったな。

「分かった。今から行くからちょっと待ってて。」

向こうの安堵のため息が聞こえたところで電話を切る。

そして、まだ熟睡しているダーネスを抱えて部屋の外に出た。




屋上に行くと、そこにはルーチェ一人しかいなかった。他の、特にソラとハル辺りは呼んでいると思ったのに。

「あ、クロス!ごめん、こんな朝早くに呼んでもうて。」

「気にせんでええよ。それより、今日はどうしたんや?」

私が話題提起すると、途端に表情を曇らせた。

「それがね…。最近オレオレ詐欺か何かの電話がずっとかかってきていてさ。」


話を聞いたところによると、どうやら最近部屋の電話に誰か知らない人が毎日かけてくるらしい。しかも、昼の12時に。

私を呼んだ理由は、そのオレオレ詐欺をしてくるやつを撃退してほしい、ということらしいかった。

「分かった。とりあえず、ルーチェは父さんにそのことを伝えて。私はみんなを呼んでくる。10分後、私の部屋に来て。」

「クロスの部屋を覗けるんか…。」

ルーチェが急に目を輝かせ始めた。そんなに私の部屋の中を見たかったのか。いつでもウェルカムだったのに。

…毒薬等々が机に置いてあるけどな。



 ◎



その頃、ほかの4人は雑談に花を咲かせていた。

「それでな、その子がさ~。」

ウィンディが話していると、不意に部屋の電話が鳴った。

「…誰?ルーチェかなぁ。」

そういってソラは受話器を取る。

「もしもし。…あ、姉様。…ん?分かった。それじゃ。」

「クロスか。何て?」

戻ってきたソラにレスが尋ねた。

「なにやら相談したいことがあるから10分後に姉様の部屋に集合やってさ。」

「クロスの部屋ですと…!?」

他の4人、いや3人もルーチェを同じ反応をした。




「集まってもらって、悪いねぇ。」

「全然!」

「クロスの部屋…案外普通やったな。」

10分後。私の部屋に来た4人は、さっきからずっと目をキラキラさせている。

そんなに見たかったのか、私の部屋。

「で、何があったんや?」

ハルがレティを撫でながら聞いてきた。

「ルーチェが来るまで待ってて。」

それにしても、ルーチェ遅いな。

「お待たせ!」

と思っていたらルーチェが部屋に入ってきた。そして部屋を見渡す。

「クロスの部屋…案外普通やね。」

君たちは私の部屋を何だと思っていたんだ。




そんなこんなで約30分は雑談をしていた。

只今の時刻は11時。そろそろ話を切り出した方がいいかもしれない。

「それで…姉様、なにがあったんや?」

流石わが義妹。思考回路が似ている。

「私やなくてな、今回はルーチェやねん。」

なんか何言ってのかわからなくなった。

「そ。実はね…。」

ルーチェはみんなにも電話の話をした。現在11時20分。




「はあ?」

「よし、ちょっと刀持ってくる。」

話を聞いた4人は、一斉に怒りをあらわにした。

「ちょ、ちょっと待って。まだ犯人の場所もわかってないんだよ。」

ルーチェが慌てて言う。

今は11時50分。よし、そろそろかな。

あらかじめ用意していた。チョーカーを首に巻く。

そして魔法の確認。よし、ちゃんと作動できるな。

「さて…。そろそろ時間だし、ルーチェの部屋に行こうか。」




部屋に着くなり、私は電話をいじくり始めた。現在11時52分。1分あればできる魔法だから全く持って問題はない。

「クロス…何してるん。」

背後に立っていたウィンディが訪ねてくる。

「犯人特定を少しばかりしてみようかと思ってさ。」


今かけている魔法は【逆探知】。前にどこかの古びた本の中に書かれていた魔法だ。

使うかどうかわからなかったが、習得しておいてよかった。

「犯人特定…?どうやってするん?」

ルーチェが心配そうに聞いてくる。

「魔法を少々かけるだけで…よし、出来た。」

「何料理みたいな言い方してるんや。」

ソラのツッコミが入る。別にあえてそう言ったので気にしない。

「あと5分だね。電話かかってきたら静かにしててな。」

「あ、でもどうするん?ルーチェが出ーへんとバレるんちゃうん?」

「ハル、姉様今例のチョーカー付けてんで。」

「あ、なるほど。」

私はソラにグッドサインを送る。ソラは嬉しそうだ。


さて。そろそろ時間だ。




プルプルプル…。

電話のコール音が静寂を打ち破る。

私は、一つ咳払いをした後、チョーカーのスイッチを入れて、受話器を取った。

「もしもし…。」

『あ、オレだよ。もう決めてくれたかい。』

さて、ここからは腕の見せ所だ。早速訳の分からないことを言われたが、適当に返事をする。

「だから、嫌だと言ってるじゃないですか。大体…。」

『そんなこと言っていいのかい?君の個人情報、もれちゃうよ?』

脅してきた。しかも個人情報やて!?出所が気になるところだが、とりあえず流す。

逆探知魔法は上手いこといっている。あと…余裕をもって1分だろうか。

「う…も、もう一度考えたいので教えてくれませんか。」

『あっはっは…。何回でも言ってあげるよ。今度、オレとデート、しないかい?』

…これ、オレオレ詐欺じゃないくてただのナンパやんけ!

「こ、今度…というのは?」

大体の場所は分ってきた。もう切ってもいいのだが、ここはもう少し話を探ろう。ルーチェはすぐに電話を切っていたみたいだからな。捕獲するときに、情報が多い方が許可も下りやすいだろう。

『君が好きな時間でいいよ。』

「す、好きな時間と言われましても…私、結構忙しいもので。」

勿論フェイクだ。あながち間違ってもいないけど。

『そうだねぇ…それじゃあ、今から1時間後はどうだい?』

「場所は?」

『君の今いるところでいいよ。』

向こう側も探知してきているのは分っていたが、あえてそれを妨害しなかった。

もし、電話の相手が王女だと分かっていなければそれはそれだ。

ただ、向こうがルーチェの正体を知っていて電話をかけて、しかもナンパをしていたとなればまた話は変わってくる。


今回は後者だった。少し考えた後、声のトーンを低くして言い放った。

「いえ、その場で待っていてください。今から探知魔法であなたの場所を探ります。ではまた1時間後に、スキュバロスさん。」

『な、何でオレの名前を…。』

相手が言い終わる前に電話を切る。


探知後も話していたのは、相手の記憶を探るためでもあった。流石にすべての記憶まではいかなかったが、会った後に何をする気なのか、また形勢不利になったらどこに逃げるか、あたりの記憶は探ることができた。

「クロス…大丈夫やった?」

ルーチェが恐る恐る聞いてくる。

「てか姉様めっちゃ最後けんか売ってなかった?」

「別に…オブラード100枚ぐらい包んだけど。」

包まなかったら凄いことになってしまう。

「とりあえず、今からぶちのめしに行くで。武器もって5分後ペガサス前な。」

令嬢らしくない言葉を使ったのは見逃してほしい。正直、私は今すごく怒っている。

何でかって…デート内容がクソだったからだ。



 ◎



全員が集まったところで、一斉にペガサスに乗り込んだ。

「場所はサラチア王国国境街3‐6‐2!」

「了解!」

襲撃に合わない様に傘でバリアを貼る。

まあまあな距離だが、問題はないだろう。だってウィンディがいるんだもの。




「ここか…。」

目的地に着いた私達は、あたりを見渡す。

「人、全くおらんな…。」

「それな。まあ街の外れやから分らんでもないけど。」

ウィンディとレスが言うとおり、周りに人は全くいない。

「それで…スキュなんちゃらさんはどこにおるんや?」

ルーチェがあえて大声で言う。

それと同時に、私たち5人は物陰に隠れる。

…せめて名前はちゃんと言ってほしかったな。



「君かい?オレの事を呼んだのは。」

そういって出てきたのは、見た目が30代の男性。

「え、ええ…。電話で言ったとおり、来ましたよ。」

「そうだね。でも…こいつはいけないなぁ。」

そういうと、スキュバロスはこちら側に魔法弾を放ってきた。

どうやら、隠れる必要はないようだ。

「ばれてるんやったら仕方ないな!」

「ルーチェ!気を付けてな!」

飛び出すと同時に各々の得意魔法を放つ。ちなみに、戦闘許可はしっかりと貰ってきている。

スキュバロスも、こんな大勢だと思わなかったのか、少し動揺していた。

そして、逃げ出す。


でも、無駄だよ?


レスが地形を大きく変える。

「何!?」

スキュバロスが驚いている間に、ソラとハルが同時に壁で挟む。ついでにウィンディの竜巻。

「ぎゃふん!!」

死語を叫んで気絶したのを確認した私は、影を操ってそいつを縛る。

「討伐完了!」

「刀使えんかったん残念やわー。」

あらかじめ用意しておいたもう一体のペガサスにスキュバロスを縛り付ける。

「さてと、帰ろうか。」

「よし、帰ったら昼食やで~!」

通常運転に戻ったルーチェがもう一度叫んだ。

そういえば、昼ご飯まだだった。



 ◎



「そういやさ、クロス。」

「何?」

食堂で昼食を食べていた私達は、再び雑談をしていた。

そんな中、突然ウィンディが私に訪ねてきた。

「あの人、もしルーチェとデートしとったら何するつもりやったんや?」

「え!?」

驚きすぎて思わずパンを落としてしまった。

「逆探知の時苦笑いしてたやん!教えてや!」

私はいつ記憶を探ったといったのだろうか。


あ、ペガサスに乗ってるときに独り言で言ったな。聞こえてないと思っていたのだが…流石ウィンディ。

「そんなん、言うわけないやん!」

「言ってや!みんなも知りたいよなぁ?」

全員が頷く。

「やだやだやだ!絶対言わない!」

全財産使い果たして遊びつくすとか、言えへんやろ!!


…え、言える?

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