表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/70

第六話:ビジネスマンの戦闘服

「ふう、休憩」


 外回りを全部終えて、やって来ました西中央公園。

 こちらは中心部の中央西公園とは違い、広い敷地に、屋根付きベンチ、公衆トイレ、自動販売機、そして、広いドッグラン。


 あれから何時間も経っているから、さすがにメリーさんはいないだろうが、どんなもんかと様子を見に来たわけだ。

 外回りはすでに終えているから、休憩がてら立ち寄っても不思議ではない。会社に帰還する前の休憩だ。問題ない。……うん、理論武装完了。


 自動販売機で適当に飲み物を買い、ベンチに座ってぐびぐびやっていると、また電話。

 待ってましたとばかりにスマホを取り出す。



(T_T)



 うん? 今度は泣かされているのか? メリーさんよ?


『……もしもし、わたし、メリーさん』


 はいはい、こんにちは。沈んだ声だしてどうしたよ?

 犬と遊びすぎて疲れきったか?


『ドッグランで遭遇したマダムたちに拐われて、ランチとお茶をご馳走になったの』


 そりゃ良かったな。

 マダムっていうと、さっきの電話から聞こえてきた感じからすると、高級住宅街のセレブたちかい?

 まさか、近所のおばちゃんをマダムとは言うまい。

 てかな、メリーさんや、拐われたは言い方悪いだろう?


『服を汚してしまったお詫びって、全身磨かれた上に新しい洋服まで買ってもらったの』


 うん? 磨かれた? 風呂にでも入れられたか? まさか、エステとかではあるまい?


『洋服のコーディネートに四時間もかかるとか……。控えめに言って、狂ってるの……』


 ああ、マダムたちがお上品に笑いながら、洋服を取っ替え引っ替え、着せ替え人形にされてるメリーさんが思い浮かぶよ。


 しかしまあ、俺もスーツ選びには時間を掛けた記憶はある。

 服の良し悪しってのは、分かる人には一目見ただけで分かるみたいだもんな。

 格上の取引先にお邪魔するからと、大枚はたいてオーダーメイドしてもらったの着てったら、挨拶もそこそこに、いきなり、


「良いものを着ているね」


 って言われて、値段や店どころか、おろしたてってことまで当てられたことがあったよ。

 その時は、嫌な汗かきまくったな。

 しかし、穏やかな雰囲気ながら結構誉められた気がする。

会社に戻ったら、上司が電話口で誉められたらしく、珍しく上司から大絶賛されたっけ。

 そんなに喜ぶくらい難しい取引だったのかよって、心の中で愚痴ったのは、もはや思い出の彼方だ。……去年のことだけどな。


『ランチは、高級フレンチのフルコースだったの。……自分が今何を食べているのか、説明されないと分からないのは、悔しいと言うか、もったいないと言うか……。とにかく、美味しいということだけは分かったの』


 それは良かった。しかし、メリーさんはソーセージで喜んでた点なんか考えると庶民派なんだな。あるいは、予想以上に子供なのか?


『犬のシャンプーは意外と楽しかったの。あんなに走り回ってた犬共が大人しくなるのは、意外だったの。そして、労働した後のお茶もお菓子も美味しいの』


 お、声の調子が上がってきたぞ。満喫してるようだな。

 有無を言わせぬマダムたちに連れ回されて大変だったろうけどさ。


『また電話するの』


 がちゃ、つー、つー、つー。


 うーん、メリーさん、何者なんだろうな……。


人物紹介

・俺:主人公。男性。

……備考:職業・会社員。大枚はたいた良いスーツは、良い思い出と共に宝物になっている。今でも、ここぞ、という時に着ると、気合いが入る。


・メリーさん:謎の存在、たぶん。女性(推定)

……備考:初フレンチに、喜ぶよりは戸惑っている。たくさん疲れたけど、一日楽しんだ。


・西のマダム:セレブ。女性。

……備考:愛犬とたくさん遊んでくれたメリーさんを気に入って連れ回した。

ちなみに、西の住宅地の一部が高級住宅街になっている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] メリーさんがかわいいです。 [気になる点] どうやったら、メリーさんから電話をもらえるのか。 [一言] 主人公の男性さんも可愛くて、好きです。 (あえて更新の翌朝に読むスタイル) 笑い…
[一言] うーん、ダメだ。メリーさんが誰(何)なのか全くわからない。作者様のミスリードに見事に乗っかっている気がします……
[一言] 磨かれた?? 気になる表現ですね……。 何かの伏線だったりして……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ