第一話:着信
着信アリ
スマホの着信に気付いて、うんざりする。
今日一体何度目だろう?
しかも、着信音から、登録してない番号からの電話だ。
今日はもう、取引先の無茶振りに付き合わされて精神的にくたくただ。
しかし、どこからの着信か確認しなければならない。
重要な取引先の、部署違いとか、出先からの携帯や公衆電話の可能性もあるからだ。
チッと舌打ちしながら、スマホを取り出すと……
( ´ ▽ ` )ノ
画面には、……顔文字?
……いやいや、普通は数字が表示されるだろ? それとも、今はこういうのも電話番号として使えるのか?
分からん。分からんから、とりあえず出てみることにした。
『もしもし、わたし、メリーさん』
電話口から聞こえてきた声は、可愛らしい少女の声。
……いやいや、メリーさん? 昔の都市伝説は知ってるが、いたずらにしては可愛らしいな。
『今、駅前通りを南に向かって歩いているの』
うんうん。俺とは別方向に進んでるんだな。突っ込まないぞ?
『前のパパが持たせてくれたガラホのバッテリーがダメになってきたから、ヤマモト電気に行ってスマホに買い替えようと思うの。念願のスマホデビューなの』
は?
つい、周囲を見回してしまう。
しかし、声の主とみられる電話中の少女はどこにも居ない。
いやいや、突っ込みどころ満載だが、声を出さない俺を誰か誉めて欲しい。
前のパパって?
今のパパは一緒なのか?
一人なのか?
契約できるのか?
金は持ってるのか?
『また電話するの』
がちゃ、つー、つー、つー。
……固定電話から掛けたのかよ? ガラホって言ってなかったか?
結局、俺からは一言も話さないまま、一方的に電話が切られた。
何が起きているのか、全く分からなかった。
人物紹介
・俺:主人公。男性。
……備考:職業・会社員。安アパート一人暮らし。彼女無し。
・メリーさん:謎の存在。女性(推定)
……備考:都市伝説として有名な存在。その都市伝説と同一の存在か、現実の存在かどうかなど、一切不明。




